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第5章 産業の動向

5.9 非鉄金属産業(アルミ、錫、ニッケル、銅)

5.9.4 銅

(1) 概要

インドネシアは世界有数の銅生産国である。世界最大級の銅・金鉱山であ るパプア州Grasberg鉱山とスンバワ島Batu Hijau鉱山で生産が行われてお り、2016年の生産量は約74万トンであった。Grasberg 鉱山は

Freeport-McMoRan(米国)が権益を所有している。また、Batu Hijau 鉱山にについて

Newmont Mining(米国)の他に日本企業が出資してたが、2016 年

インドネシ

アの資源会社PTアマン・ミネラル社に全株式が売却された

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(2) 動向

2014年1月に施行された改正エネルギー鉱物資源大臣令は、銅鉱山会 社に3年間の期間限定で銅精鉱の輸出を認めたものの、同時に、事実上の 輸出禁止に相当する高率の輸出税が賦課されることとなった。これを踏まえ、

PT Freeport Indonesia(PTFI)社のGrasberg鉱山は操業度を約4割まで落と

し、同社はインドネシア政府との折衝を続けた。その後両者は同年7月に覚 書を締結、輸出税率の緩和に合意し、銅精鉱の輸出許可を得た PTFI は生 産を再開した。

両者間の合意では、製錬所建設計画の進捗率に応じた輸出税率の設定、

並びに、鉱業事業契約(COW)の再交渉内容となる「ロイヤルティの引き上 げ(銅3.5%→4.00%、金1.00%→3.75%)、PTFI資本の政府または インドネシア資本への30%譲渡(追加分20.64%)、鉱区の見直し縮小」

が織り込まれ、6か月以内に新たなCOWを締結することとなっていたが、そ の後 COWが更新されることがないまま、3年間の猶予期間を経て2017年 1月を迎えることとなった。

インドネシア政府と PTFI 間において明確な合意がないまま迎えた2017 年1月11日、インドネシア政府は政令2017年第1号、及びエネルギー鉱物 資源省令第5号、第6号を発布。向こう5年間のうちに製錬所を建設すること を条件に、銅精鉱の輸出継続を認める内容ではあったものの、同時に鉱山

会社に COW から IUPK(生産操業特別鉱業事業許可)への即時移行、及び

インドネシア資本への51%の資本譲渡が義務付けられた為、PTFI はこれ に反発。同社は山命を迎える Grasberg ピットから坑内掘り操業への移行を 計画しているが、大規模投資を必要とする同計画の実施には2021年以降 の操業許可が確約されることが必須。斯様な背景により、PTFIは現行COW の満期である2021年までは、同COWにて規定された法的権利は放棄でき ないとの立場を崩しておらず、インドネシア政府との対立が深刻化している。

(3) 銅製錬

インドネシアにおける銅製錬は、PT. Smelting(PTS)が東ジャワ州のGresik に保有するグレシック製錬所が同国最初かつ唯一の稼動している銅製錬所 である。同社は1996年2月に設立され、1998年8月に建設を完了、1999 年5月から商業生産を開始した。操業開始時における電気銅生産能力は年 産20万トンであったが、段階的に能力増強を行い、2009年9月には生産能 力30万トンに達している。同製錬所の製錬プロセスには、特に環境面で世界 の高い評価を受けている三菱連続製銅法が採用されている。

PTSの設立は、インドネシア政府がグラスベルグ銅鉱山を運営しているPT.

Freeport Indonesia(PTFI)に対して、同国内に銅製錬所を建設することを鉱

山権益更新の条件にしたことに始まる。当初の建設計画はメタルゲゼルシャ フト(独)と日鉱金属で進められていたが、投機の失敗によりメタルゲゼルシ ャフトが撤退したために建設計画も頓挫、その後PTFIの要請に応じる形で三 菱マテリアルがその計画を引き継いだ。

60.5%を出資する三菱マテリアルが実質的にオペレーションを担当する ほか、PTFIは25%出資している。また、三菱商事RtMとJX日鉱日石金属が それぞれ9.5%、5%出資している。

(4) 生産・販売

主要生産品である電気銅は、インドネシア国内の電線製造会社に販売さ れるほか、東南アジアを中心に輸出されている。また、主な副産物として年 間90万トンほど精算される硫酸は同製錬所隣接の肥料工場に全量販売さ れ、70万トン程度生産される銅スラグはインドネシア国内のセメント会社等 に販売されている。金・銀等の有価金属を含有するアノードスライムは、貴金 属原料として日本等に100%輸出されている。

販売においては、経済成長に伴って拡大するインドネシア国内と近隣東南 アジア諸国の需要を取り込める立地上の優位性が生かされている。

(5) 動向と課題

銅精鉱と同様、銅製錬プロセスの副産物である金銀含有スライム(スライ ム)についても2014年1月より3ヶ年の輸出継続が認められた。この期間中 においては、半年毎の輸出許可を取得することを条件に、課税なしで輸出を 継続することが認められた。

2017年1月、エネルギー鉱物資源省令第5号、及び第6号にて、インドネ シア政府は向こう5年間における無課税でのスライムの輸出継続を認めたも のの、同政府主導で国内貴金属製錬所の建設を推進する姿勢を鮮明に。輸 出許可の取得にあたって国営企業 Antam が作成する貴金属製錬所建設計 画の提示を義務付けている。

2) 銅加工(電線・ワイヤー)

インドネシアの電線・ワイヤー製造は1962年より開始され、現在国内33社が 電線工業会(APKABEL)に加盟し電線・ワイヤー等を製造している。製造能力 はアルミ等その他素材を含め、110万トン/年規模(公表ベース、主要20社合 計)となっている。

1997年アジア経済危機、2008年リーマンショックと2度に渡り需要が低迷し たが、2009年以降は電力・通信インフラ整備、自動車・消費財等の生産投資が 進み、一貫して需要の拡大が続いてきた。2014年以降はオイルガスプラント、

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一般事業投資に一服感があるものの、オフィスビル、商業施設等の一般汎用ケ ーブル需要は依然として堅調であり、またジャカルタMRTに代表される公共交 通インフラ需要の拡大ならびに国内電力不足対策として政府が進める電源開発 プロジェクトに伴う発送電インフラの拡張、整備に期待が寄せられている。