第5章 産業の動向
5.14 二 輪
5.14.1 概 況
インドネシアの二輪車市場は、中国、インドに続き、世界第3位の規模である。二輪車 は、インドネシアの人々の日常の移動を支える交通手段として、欠かせない存在となっ ており、市中は多くの二輪車で溢れているが、近年市場は低迷、2016年の販売は、6 00万台弱に留まり、2年連続の減少局面となっている。
5.14.2 需要推移(メーカー出荷実績)
2008年のリーマンショックによる世界同時不況で、一時的に市場は落ち込んだも の、2011年には過去最高の800万台を記録した。2012年は資源バブルの崩壊や 二輪車ローンの頭金規制や補助金付きガソリンの値上げ(4,500ルピア→6,500 ルピア)などの政策の影響もあり、700万台レベルへと減少。2013年、2014年に8 00万台弱水準まで回復したものの、2015年は大幅なルピア安の進行による産業セ クターの低迷、コモディティ価格の低迷などの影響を受け、650万台まで減少。更に2 016年も市場低迷は続き、600万台弱迄市場は縮小した。
5.14.2-図1 インドネシア二輪車出荷実績(2004年~2016年)
出所:AISI
5.14.3 市場特性
交通インフラ整備が途上であるインドネシアにおいて、二輪車は日常の移動手段と して欠かせない「生活必需品」と言えよう。特に地方都市部では経済的なパーソナル コミューターとして彼らの生活を支えており、老若男女問わず国民の足として愛され活 躍している。
二輪車のカテゴリーでは、過去にはアンダーボーンタイプ(ベベック)が主流であっ たが、最近ではスクータータイプ(マティック)の構成比が約80%と、主流となっている。
その要因として簡単・便利な使い勝手、燃費性能の向上、リーズナブルな価格帯にユ ーザーニーズに合ったモデルが増えたことなどが挙げられる。
3,880 5,074
4,427 4,675 6,211
5,851 7,367
8,012 7,065
7,744 7,867 6,480
5,931
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000
'04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16
5.14 二 輪 155
その他のカテゴリーでは、所得水準の上昇や普及率の向上で、お客様の嗜好の多 様化が進んできており、比較的高額なスポーツタイプが2015年には構成比14%と 伸びてきている。2016年は市場の冷え込みにより、趣味性の高いスポーツタイプの 販売台数は伸び悩んだが、市場の回復とともに構成比は拡大するであろう。
環境面では、2013年8月より、排出ガス規制がユーロ2からユーロ3へと強化され ており、各社が燃料供給装置をキャブレターからFI(フューエルインジェクション)へと 切換え、環境性能の向上を進めてきた。ユーザーの視点で言うと、FI 化により、燃費 性能も向上している為、より環境性能、燃費性能の高い二輪車の浸透が進んでいる。
ところで、インドネシアでは、サッカー、バドミントンといったスポーツが非常に人気 が高いが、それに負けないくらいにモータースポーツの人気も高く、モトGP(ロードレ ース世界選手権)に代表されるレースに対する関心が高い。テレビの地上波でモトG Pの放映があることから、週末のレストランではレースの状況に熱狂する場面をよく見 かける。また、国内のモータースポーツも盛んでありインドネシア国内のいたるところ でレースが開催されており多くの人が参加や観戦を行って楽しんでいる。
5.14.3-図1 カテゴリー別 構成比率の変化(2005年~2016年)
出所:AISI
88% 84%
73% 63%
53% 46% 38% 30% 23% 19% 11% 9%
4% 8%
18% 26%
37% 45%
52% 59%
63% 67% 75% 79%
8% 8% 9% 11% 10% 9% 11% 11% 14% 14% 13% 12%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
'05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16 アンダボーン スクーター スポーツ
5.14.4 日系二輪車製造販売会社
インドネシアの日系二輪車メーカーにはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキがあり、
日系4社で出荷実績の99%以上を占めている。日系メーカーは、車両自体の品質の 良さに加え、充実した販売網、きめ細かいアフターサービスで信頼が高く、顧客の心 を掴んでいるといえる。
5.14.5 今後の展望
2016年は600万台の販売に留まった。2017年も回復は厳しいとの見方から昨 年と同程度の市場規模となることが想定される。2016年の年末に発表された税制 変化など、販売に大きく影響する政策が予期せず出現することがあり、短期的な二輪 車の販売規模を想定することは難しい。
中長期的に見れば人口や所得の増加、若年層を代表する購買層の拡大があり、今 後、二輪車需要は回復基調となることが想定される。また、近年のルピア安も手伝い、
二輪車の輸出競争力が向上したことから、輸出の拡大も期待できる。
一方、都市部に於いては、今後、公共交通インフラが整い、二輪車の代替え手段が 拡大することが、需要減要素となってくることも想定される。
先行き不透明な環境下にはあるものの、インドネシアにおける二輪車産業は、当面、
主要産業の一つであり続けることに変わりなく、日系企業の重要拠点としての存在感 を維持していくだろう。
5.14.4-表1 日系二輪車製造販売会社 メーカー 製 造 会 社 HONDA PT.Astra HONDA Motor
YAMAHA PT.YAMAHA Indonesia Motor Manufacturing SUZUKI PT.SUZUKI Indomobil Motor
KAWASAKI PT.KAWASAKI Motor Indonesia