第5章 産業の動向
5.15 建設業
受注競争は厳しくなっている。このような状況の下、国内の中小建設企業からは、専 門技術や技能を持つ人材育成のための政府のサポートやインセンティブの供与が欠 如しているために、大手企業や進出する外国企業との競争力が育たない、等の声も 上がっている。
その中で、政府は、2017年1月12日に建設サービス業全体の規則として法律2 017年第2号を施行した。中央政府と地方政府の責任と権限を規定し、建設サービ ス事業の種類、内容、区分を明確化、建設業許可と事業体認定証の取得義務、外国 建設会社の要件、工事請負契約、サブコン、瑕疵担保責任、労働安全、技術移転促 進のための労働力(専門家)、教育指導、情報システム、罰則など14章106条から 構成されている。2019年までには、全ての実行細則を制定予定となっており、さら なる公平性と秩序の確実性を保証されることが期待される。
2) 許可制度
建設業に従事する企業及び個人業者は、建設サービス振興機関(LPJK、英文略 称CSDB)の資格審査を経て、事業体認定証(SBU)登録をしなければならない。
事業体認定証(SBU)は「建設サービス振興機関規程2013年第10号」に則り、
資金力・工事実績などに応じて8段階(P~B2)があり、外国/外資建設会社は最高 の格付であるB2であることが義務付けられている。
また、事業体認定証(SBU)には、建設関連業界組織への加盟が必要となる。
インドネシアには幾つもの建設関連業界組織があるが、インドネシア建設協会(AK I)、インドネシア全国建設会社組合(GAPENSI)及びインドネシア土木・構造エンジニ ア協会(HAKI)、インドネシアコンサルタント連盟(INKINDO)が代表的なものであり、
ゼネコンでは国内大手とならんで外国企業も多くAKIに加盟している。AKIの会員数 は現在131社で、そのうち日本を含め30社前後の外国企業が加盟している。
尚、事業体認定証(SBU)登録後、国内企業は所在地地方自治体発行の建設業 許可(IUJK)(公共事業大臣規程2011年第4号)、外資企業は投資調整庁発行の外 資建設業許可(IUJK PMA)(公共事業・国民住宅大臣規程2016年第3号)、また、
外国駐在員事務所は、投資調整庁発行の外国事業体建設業駐在員事務所許可
(Izin Perwakilan BUJKA)(公共事業大臣規程2014年第10号)取得が義務となっ ている。
5.15 建設業 159
5.15.2-表1 建設サービス業者資格決定条件
(単位:百万ルピア) グループ 格 付 純資産 施工能力 実績(過去10年間)
累計/1件当たりの最高金額 1 自営 P 条件無し 0~300 条件無し
2 小規模 K1 K2 K3
51~500 201~500 351~500
0~1,000 0~1,750 0~2,500
条件無し 1,000/なし 1,750/なし
3 中規模 M1 M2
501~
2,001~
0~10,000 0~50,000
2,500/833 10,000/3,333
4 大規模 B1 B2
10,001~
50,001~
0~2,500 0~上限なし
50,000/16,600 250,000/83,330
5.15.3 外国建設会社の進出形態
日系建設会社がインドネシアに進出する場合、駐在員事務所の設置と現地法人の 設立がある。
1) 外国建設会社の駐在員事務所設置
外国建設会社の参入は、公共事業大臣規程2014年第10号により規制されて いる。外国建設会社とは、外国法に基づいて設立され、その本拠地が外国にある建 設 業 者 や 建 設 コ ン サ ル タ ン ト で あ り 、 外 国 建 設 会 社 の 駐 在 員 事 務 所
(Representative Offices)とは、外国籍のインドネシア事務所と定義されている。
現地法人を持たずに工事受注を希望する外国建設会社は、インドネシア国内に 駐在員事務所を設置しなければならず、そのためには投資調整庁の事務所許可が 必要である。
(1) 申請書類
申請書
本社のデータ(定款・登記簿、事業許可、監査済み財務報告書など)
出身国の在インドネシア大使館からの推薦状(例:在イ日本大使館)
国家レベルからの承認を受けた能力統一証明書/SBUの写し
本社からの駐在員事務所所長に対する任命書
駐在員事務所長のパスポート/居住証明書(KTP)の写し
駐在員事務所長候補者の履歴書
地方役所発行の外国建設会社の事務所所在地証明書
表明書(書類の信憑性、本社の役員(取締役/監査役)の兼務)
(2) 管理費
10,000米ドル相当(コンサル業の場合は5,000米ドル)を納付。管理費は、許可 延長の度に納付の必要がある。
(3) 許可の有効期限と活動可能範囲
有効期限は3年間とし、インドネシア全国で活動を行うことが出来る。
(4) 入札参加/受注条件
外国建設会社は、合弁事業(Joint Operation)とすることで国内のプロジェクト に参加する事ができる(同大臣規則2014年第10号第11条)。ここでいう合弁 事業とは、一社の外国建設会社(最大シェア70%)と一社または複数社の国 内建設会社(最小シェア30%)との間で、限られた期間内に1つまたは複数の プロジェクトを実行するために行われる事業を指し、インドネシア法に準ずる新 たな法人組織を指すものではない(同大臣規則2014年第10号第1条6)。
合弁事業に参加する国内建設会社は、下記の条件が義務となる。
事業体の形態は株式会社(PT)であること
インドネシア国籍である個人、インドネシア国家、地方自治体、民間事 業体、国営企業、地方自治体公社から出資されて設立された企業であ ること
大規模(B)の事業体認定証明(SBU)を保有していること
建設業許可(IUJK)を保有していること (5) 受注可能な建設案件
上記、合弁事業(Joint Operation)で、以下の条件の建設作業を行うことが出 来る。(同大臣規則2014年第10号第12条)
資金源 :
国家/地方予算
融資、外国からの寄付
外国投資、国内投資
法律・法規に基づく民間からの資金 条件 :
高リスク、 高技術、請負金額が高額(施工者は1,000億ルピア(約8.5 億円)以上、設計/監理は100億ルピア(約0.85億円)以上)の全ての 条件にあった工事のみ
※注) 1JPY = IDR 117で計算
5.15 建設業 161
2) 国内建設会社との資本合弁による外国資本現地法人設立
外国建設会社は、国内建設会社と資本合弁により、現地法人を設立することが出 来る。また、操業前に外資建設業許可(IUJK PMA)の取得が義務となる。(公共 事業・国民住宅大臣規程2016年第3号)
(1) 申請書類
投資調整庁からの原則許可
会社書類 (定款、納税者番号、所在地証明、環境許可など)
事務所賃貸契約書
事業体・技術責任者の滞在・就労許可(KITAS・IMTA)/居住証明書(K TP)の写し
外国建設会社の本社の役員(取締役/監査役)の兼務に関する表明書 (2) 資本参入
外資規制(大統領規程2016年第44号)により、外国建設会社は最高67%
の資本参入することが可能。上記、5.23.2-表1「4 大規模 格付け B2」
規模の会社設立をしなければならない。
(3)許可の有効期限と活動可能範囲
有効期限は3年間とし、インドネシア全国で建設作業を行うことが出来る。
(4)受注可能な建設案件 資金源 :
国家/地方予算
融資、外国からの寄付
外国投資、国内投資
法律・法規に基づく民間からの資金
条件 :
高リスク、 高技術、高額のいずれかの条件にあった工事
5.15.4 最終課税制度
2008年より、建設業には最終課税(ファイナルタックス)制度が適用されている。こ れは収益に関係なく現金主義会計に従い、客先側が業者に支払う出来高から2-
4%を源泉分離課税することで法人税の納税は終了するというもの。企業の格付けに よりパーセンテージは異なり、零細企業は適応税率2%、現地法人の場合は3%、外 国法人の場合は4%課せられる。但し、外国法人でも事業体認定証(SBU)登録済み の場合は3%となる。また、外国法人には、非居住者への支払いに対する源泉税(2 0% 日本は租税条約により10%)が別途かかるため、注意が必要である。