第5章 産業の動向
5.16 流通業
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(2) 輸入業者としての許可書
輸入を事業としてを行う場合、上記の通り輸入業の事業許可証を投資調整庁
(BKPM)から受ける必要がある。それ以外に、製造輸入業者(メーカー等)はA PI-P(Angka Pengenal Importir Produsen 製造輸入登録業者番号)を、一般輸 入業者(商社等)はAPI-U(Angka Pengenal Importir Umum 一般輸入登録業 者番号)を商業省から取得することが、商業大臣規定 2015 年第 70 号
(No.70/M-DAG/PER/9/2015)で義務付けられている。API-Pの事業者は生 産工程で利用される資本財を自社で使用するために輸入することが認められ ているが、API-P事業者が輸入した資本財は他社に販売・譲渡することはで きない。API-Uの事象者は事業許可証(SIUP/IUT)に記載されている輸入品 目の輸入が認められる。API-Uの輸入品目記載欄は320文字に記載が限られ ているため、事業者によっては輸入品目が書ききれない場合も見られるが、事 業許可証に記載があれば問題ないとBKPMは指導している。
上記の包括的な輸入業者登録以外に鉄鋼製品や、タイヤ等個別の商品の輸 入に際して、さらに別途輸入許可証の取得が求められる品目があるので個別 の確認が必要。
5.16.2 卸売業・小売業
1) 外資規制の状況(1) インドネシアでは長期間に亘り、インドネシア国内企業保護の観点から卸 売業(wholesaler)、小売業(retailer)等のいわゆる流通業への外資参入は認め られていなかったが、1997年11月の規制緩和以降、自由化が行われ、199 8年には制限付きながら外国資本の小売業参入も認められた。
(2) 卸売業について、インドネシア政府は2016年5月18日付で改訂版ネガテ ィブリスト『投資分野において閉鎖されている事業分野及び条件付きで開放さ れている事業分野リストに関する大統領規定2016年第44号』を発出し、これ までの投資ネガティブリスト(大統領規定2014年第39号)を見直した。この結 果、2014年の改定で外資比率が33%に制限された卸売業(distributor)は、外 資出資上限が67%に引き下げられたほか、製造業とアフィリエイトの関係にあ る卸売業については100%での設立が可能となった。製造業とのアフィリエイト の関係にある卸売業とは①製造業者との資本関係があること②取扱商品の生 産拠点がインドネシア国内にあることの2点で、これを満たす場合、卸売業を外 資100%で設立することが認められる。それ以外は外資比率上限は67%に制 限される。
(3) 小売業については営業床面積が一定以上規模のものに限り、外資参入が
認められている。
現行のインドネシア政府規定『投資分野において閉鎖されている事業分野及び条 件付きで開放されている事業分野リストに関する大統領規定2016年第44号(ネガ ティブリスト)』では、小売業において外資参入がみとめられる規模・業態は以下の ように規定されている。
番号 営業床面積 外資出資比率上限 条件 1. 営業床面積が2000
㎡以上のデパートメ ントストア
外資100%出資可
2. 営業床面積が 400-2000 ㎡のデパートメ ントストア
外資上限67% a.独立店舗型ではなく、モー
ル等の内部に所在するこ と。
b. 輸出業績に従って、売り 場面積を拡大すること
外資系の小売業は、日系ではのファーストリテーリングの「ユニクロ」が2013年 に初出店しているほか、「イオンモール」も2015年 5 月に開業している。日系以外 では、仏系Carrefour(現在はTransmart Carrefour)、韓国系Lotte Mart、アラブ首長 国連邦系 Lulu Hypermarketが開業している。食料品以外ではスウェーデン系のア パレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)、デンマーク系家具販売店の「IKEA」
が営業を開始している。
2) 卸売業・小売業の概況
2016年のインドネシアの一人当たり名目GDPは既に3,605.1ドル(中央統計 局発表)に達し、大消費地のジャカルタでは約15,000ドルに達する。経済大国と してG20に仲間入りしたインドネシアは、人口構成に占める中間所得層の増加が国 内消費を拡大、2016年は5.02%の経済成長率を記録し、2016年のGDPの56.
5%は個人消費が支えている。
内需に支えられた安定成長のインドネシア、就中、首都ジャカルタでは流通小売 業の消費者獲得競争が過熱しており、インドネシア小売業者協会(Aprindo:会員 企業約600社。国内店舗数約35000店)の発表によれば、2016年のインドネシ ア国内の近代的小売業売上高は、前年比10%増の200兆ルピア(約1兆7000億 円)だった。アジア地域ではインドの16%、中国の10.4%に続くアジア3位の売上 高の伸びとされる。同協会の2017年の売上高伸び率目標は前年比12%増の22
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0兆ルピアに設定されている。
インドネシアの小売業界は過去、大きく分けて3業態で構成されており、①「パサ ール」(伝統市場)、②スーパーマーケット・ハイパーマーケット、③富裕層向けの百 貨店であった。 しかし近年の規制緩和により外国資本の小売業参入が認めらた事 や、中間所得層の増加に伴い、従来の3業態構成には変化が生じている。 その傾 向としては、伝統市場の低迷が顕著化し、他方、外資系スーパーマーケット・ハイパ ーマーケットの台頭が進み、ミニマートの店舗展開競争、日系コンビニチェーン(ロ ーソン、ファミリーマート、セブンイレブン他)の進出等が著しくなってきている。
近年、インターネットの普及により、従来型の店舗販売ではないオンラインショッ ピングの需要も急速に高まっている。
(1) 食品流通事業
他のアジア諸国と比較すると、インドネシアの食品流通事情は大きな遅れ をとっていると言われている。 原因の一つは、インドネシアが1万数千以上の 島々で構成されており、各島々を結ぶ流通手段が十分に整備されていないこ とがある。また、ジャカルタ、スラバヤ、バンドン他の主要都市では大渋滞が恒 常化しており、交通インフラの脆弱さが流通事情を困難にさせている。特に冷 蔵物・冷凍物を運搬する手段には限りがある。流通市場で全国規模の輸送手 段を確保しているのは非常に限られた数の業者であるが、それらは地場の大 手食品会社や消費財製造業の一部門であることが多く、そのような流通業者 でも自社で全域をカバーすることは殆どなく、各地域に展開しているエージェン トや下請け流通業者に業務を委託することで、物資の流通がなされているの が現状である。 このような背景から、インドネシア全体では小規模かつ零細 流通業者、卸売業者、小売業者が無秩序に存在しているのが実態である。
道路事情は、都市間を結ぶ主要道路と鉄道網が限られており、陸路を利用し た物流トラック、バス、乗用車、自動二輪車等が集中することから、渋滞が蔓延 しており、物流スピードへの影響は大きい。
インドネシア政府はインフラ整備を急務の課題としており、2014年10月に就 任したジョコ・ウィドド政権でも最重要課題の一つになっており、進展が期待さ れる。2016年の改訂版ネガティブリストで冷蔵保管業(コールドストレージ)へ の外資100%出資許可、フレイトフォワーダー業、倉庫業の外資出資比率引 き上げ(49%→67%)が行われたのも、インドネシア政府の流通事情改善に 向けた政策と言える。
(2) 外資系スーパーマーケット・ハイパーマーケット
外 資 系 ハ イ パ ー マ ー ケ ッ ト 大 手 は イ ン ド ネ シ ア 企 業 グ ル ー プ CT
Corporation傘下のフランス系Transmart Carrefour。インドネシア食品の取扱 いに加え、輸入外国食品も取り入れる事で、上位中間所得層をターゲットとし た店舗開発を進めている。2016年末現在国内全体では102店舗を展開し ており、報道によれば、2019年までの今後3年間でさらに100店舗を増設 する計画。
Carrefour以外では、韓国系Lotte Martがあり、2016年末現在で店舗数を
46に伸ばしている。ターゲット市場は Carrefour 同様に上位中間所得層であ
り、食品だけに留まらず生活日常雑貨にも注力して幅広い商品数を売りにし ている。
(3) インドネシア系スーパーマーケット・ハイパーマーケット
小売り大手のヘロー・スーパーマーケットは国内で205店舗を運営してい る。2016年に不振だったコンビニ事業から撤退した。
リッポー系のマタハリグループはインドネシア国内に2016年11月現在14 9店舗を運営している。これ以外にはラマナヤグループなどがスーパーマー ケット事業を手掛けている。
(4) ミニマート、日系コンビニチェーン
中間所得層の拡大に伴い、都市部を中心にミニマート市場は益々競争を過熱 させている。店舗面積500㎡以下、一般的なスーパーマーケットより小型の小売 形態には「ミニマーケット」と「コンビニエンスストア」の2種類がある。 ミニマーケ ットは住宅地で店舗展開を進め、食品や生活雑貨を販売する小型スーパーを指 す。「インドマレット(2016年6月現在で12,900店舗)」「アルファマート(2016 年6月末で11,711店舗)」等がマーケットリーダーとされる。
これら2大ブランドを追いかけるのが「セブンイレブン」と「ローソン」の大手外資 コンビニチェーンである。 2009年にセブンイレブンが「モデルン・インターナショ ナル」の運営でインドネシア進出を果たし、2016年12月現在約200店舗で営業 している。2011年8月にはローソンが南ジャカルタ、クマン地区に1号店をオー プンさせており ローソンはインドネシアの大手流通・小売会社アルファ・グルー プとの協力で運営されており、、2016年6月現在38店で営業を行っている。「セ ブンイレブン」と「ローソン」は店の内外にテーブルやカウンターを設け購入した商 品をすぐに食べるられるような「イートイン」のスペースを設け、主に若年層をター ゲットにした店舗展開となっている。