第4章 経済の概況
4.1 経済動向
65
4.1.1 2015年の経済動向
1) 経済成長
2015年の実質GDP成長率は、4.9%で政府目標である5.7%を大きく下回り、
成長の鈍化が鮮明になった。経済成長率が5%を下回るのはリーマン・ショック後 の2009年(4.6%)以来、6年振りだった。
成長鈍化の一因は民間消費の減速だ。民間消費は前年の5.1%から、5.0%に 鈍化した。公的支出、固定資産形成の成長率はそれぞれ、5.4%、5.1%で前年よ り増加し、経済成長を下支えした。また輸出、輸入はともに前年比でマイナス成長だ ったが、輸出から輸入を引いた純輸出ではプラス成長を維持した。
産業区分別に見ると、世界的に資源ビジネスが低調であったため、鉱業がマイナ
ス 5.1%成長と精彩を欠いた。他方、情報・通信や金融・保険サービスの分野は高い
成長率となった。ごみ・廃棄物・リサイクルや建設などインフラ関係も好調を維持し た。製造業、農林水産業はいずれも4%前半となり、成長の減速が表れた。
四半期ごとに見ると、新政権設立後の予算執行が遅れたことで、第2四半期まで 公的支出が低調だったが、第3四半期には伸び率が上昇した。第4四半期には民 間消費、固定資産形成にも回復が見られた。
2) インフレ・為替・金融
2015年のインフレ率は、1月に軽油を除く燃料補助金を全面撤廃したことで上昇 が見込まれたが、世界的な原油価格の低下を背景に低い水準で推移した。特に運 輸・通信・金融に関してはデフレとなった。こうした影響で、通年のインフレ率は3.3 5%という低い水準だった。年間を通じたインフレのピークは、ラマダン(断食)月に あたる7月で、7.28%まで上昇したが、8 月以降徐々に減速した。11月、12月は 4.9%、3.35%と下降した。
為替(中央銀行発表の月末仲値)は、年始に1ドル12,474ルピアで始まり、米 国のドル利上げ観測などの影響で年間を通じて大きく変動した。最安値は9月29日 で1ドル14,728ルピアを記録した。その後、連邦準備銀行(FPB)による米ドルの 利上げが予想より緩やかであることが判明すると、ルピアの対米ドル相場は反転回 復し、年末時点で1ドル13,795ルピアとなった。
インドネシア中央銀行によると、2015年末の国内銀行の貸出残高は4,803 兆ルピアに達し、前年末比で 10.2%増加した。
4.1 経済動向 67
3) 雇用情勢
インドネシア中央統計局によると、2015年8月の労働力人口は前年同月より51 万人増えて1億2,238万人であった。うち完全失業者数は756万人で、前年同月 よりも32万人増加した。完全失業率は0.24%悪化して6.18%となった。一週間 の労働時間が35時間未満の不完全就労者の人口は、前年同月より146万人減少 し、3,431万人となった。また就業者の学歴別割合を見ると、小学校卒業以下が4 4.3%、中学校卒業が18.0%、高等学校卒業が17.3%強、大学卒業が8.3%
だった。
4.1.2 2014年の経済動向
1) 経済成長
2014年の実質GDP成長率は前年比5.0%で、前年から0.6ポイント減少した。
2012年以降3年連続で成長率が鈍化した。7月に行われた大統領選挙の結果を 見極めるため、投資の先送り傾向が見られた。政府予算の執行も伸び悩んだ。
固定資本形成は、前年の5.3%から4.1%に減少した。投資家の間で様子見や 先送りの風潮が強かった。また公的支出についても6.2%から2.0%へ大きく減 退した。輸出の減退も顕著だった。消費は5.1%まで減少したが底堅さを見せた。
産業別に見ると、コモディティ価格の低下の影響で鉱業がマイナス0.2%成長と なり、景気の下押し要因となった。また製造業も4.9%と伸び悩んだ。他方、サービ ス業は前年比0.4%増の5.9%で、全業種の中で唯一伸び率が上昇した。
四半期ごとに見ると、第 2四半期に公的支出がマイナス成長になるなど、全ての 分野で成長率が鈍化した。第 3 四半期になってから上向いたが、成長の伸びは持 続せず、消費は前期比横ばいとなった。
2) インフレ・為替・金融
2014年のインフレ率は、 前年に実施された補助金付燃料の値上げ等の影響 により7~8%に高止まりした。7月に一旦4%台まで下がったが、ジョコ・ウィドド新 政権が11月に断行した燃料補助金の削減の影響で再び増加し、12月に8.4%と なった。特に食料品は前年比10.6%と大幅に上昇した。
為替(中央銀行発表の月末仲値)は、年始に1ドル12,262ルピアで始まり、ジョ コ・ウィドド新政権に対する期待などから回復傾向にあったが、成立後は政権運営 能力に対する懸念に加え、年末に向けて原油価格が下落したことでリスク回避が進 み、12月16日には通貨危機以来16年振りの最安値である1ドル12,900ルピア
を付けた。
インドネシア中央銀行によると、2014年末の国内銀行の貸出残高は3,707 兆ルピアに達し、前年末比で11.6%増加した。
3) 雇用情勢
インドネシア中央統計局によると、2014年8月の労働力人口は前年同月より17 0万人増えて1億2,187万人であった。うち完全失業者数は724万人で、前年同 月よりも17万人減少した。完全失業率は1.32%改善して5.94%となった。一週 間の労働時間が35時間未満の不完全就労者の人口は、前年同月とほぼ横ばい
(3万人増加)で、3,577万人となった。また就業者の学歴別割合を見ると、小学校 卒業以下が47.1%、中学校卒業が17.8%、高等学校卒業が16.2%強、大学 卒業が7.2%だった。