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第5章 産業の動向

5.17 運 輸

5.17.1 陸上交通(鉄道、バス)

1) 鉄 道

インドネシアの鉄道の歴史は古く、最初の鉄道の誕生は我が国の最初の鉄道開 通に4年先立つ1868年のことであり、当時インドネシアを支配していたオランダ人 の手によりその後も鉄道整備が行われ、第二次世界大戦中においては、旧日本軍 により、軌間がごく一部を除き全て我が国と同じ狭軌(1,067mm)に統一された。

現在の鉄道の総延長は4,500km余り(営業キロ数)であり、その7割がジャワ 島、残りはスマトラ島である。ほとんどの区間は単線非電化であるが、ジャカルタ及 びその周辺部(ジャボタベック圏)の160kmのみは電化されている。複線化区間に

ついては全体で320kmあり、ジャボタベック圏の鉄道の大部分と北線のうちブカシ

~チレボン間、南線及びスラバヤ近郊の一部に存在している。また、スマトラ島の 鉄道はパームオイルや石炭といった地域物資の輸送を主体とした言わば貨物鉄道 であり、旅客輸送の大部分はジャワ島のみとなっている。これらの鉄道は、政府が 全株を保有するインドネシア鉄道会社(PT.Kereta Api Indonesia(PT KAI)により 運営されている。旅客数は2012年時点で年間2億2百万人であり、このうちジャボ デタベック圏の鉄道旅客数は3分の2にあたる1億人を占めている。

ジャワ島の旅客輸送では、とりわけジャボタデベック圏内の通勤通学輸送及びジ ャカルタ、バンドン、スマラン、スラバヤ等の都市間輸送を担っており、貨物輸送で は、主要都市間と重要港湾を結ぶ輸送を担っている。近年、益々悪化する都市部の 道路渋滞、大気汚染等を受け、鉄道輸送の効率性及び環境性能に大きな注目が集 まっている一方で、他の交通機関とのアクセスの向上、車両の維持管理といった鉄 道運営面での課題の解決による利用促進が求められている。

インドネシアの鉄道に対する日本の援助としては、これまで円借款や技術協力等 の形で行われてきており、このうち円借款はジャボタベック圏の鉄道の高架化、電 化、複線化、駅改良のほか、ジャワ島幹線鉄道の複線化、軌道修復、橋梁修復等に 対して4,200億円を超える規模の援助が実施されてきている。近年の注目すべき 案件としては、現在、首都ジャカルタ市の目抜き通りであるタムリン通り、スディルマ ン通りを予定経路とするジャカルタMRT整備事業が、わが国技術を活用する形の 円借款を利用して実施されている。同事業は、ジャカルタ市内の慢性的な交通渋滞 の改善による都市機能の回復等の観点から、地下部を含む本格的な都市鉄道の 建設を行うものであり、2019年を開業目標として、工事が進められている。

一方でジャカルタとバンドン(142キロ)を結ぶジャワ島高速鉄道計画においては 日本による円借款による新幹線方式の提案に対して、中国が政府資金を必要とし ないことを強調して2015年秋に受注を決めたが、中国は受注決定後、事業への政 府保証と土地収用の完了を資金供出の条件とする旨をインドネシア政府に伝達して おり、本格的な工事の開始は遅れ、当初予定していた2019年の開業は困難な状 況となっている。

同高速鉄道計画が進まない中、インドネシア政府ジョコ大統領側近は昨年12月 に訪日し、ジャワ島のジャカルタと第2の都市スラバヤを結ぶ既存鉄道の高速化へ の協力を要請。今後の進展が注目される。

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2) バ ス

バスはインドネシアの一般庶民の足となっており、都市内交通サービスを担う「都 市バス」と、州を跨ったり、州内の遠距離都市間の交通サービスを担う「都市間バス」

とに大別される。また、物理的大きさにより大型(我が国の観光バスと同規模)、中 型(マイクロバス規模)、小型バス(水色のバンタイプ)に分類される。さらに、暑いイ ンドネシアでは冷房の有無は大きな問題であり、冷房付きバスは「ACバス」と呼ば れ、運賃が高くなっている。

大型及び中型バスの運行者の多くは会社組織であり、小型は個人経営のものが 多い。国営のバス会社として、ジャカルタ旅客交通公社(PPD)及びインドネシアバ ス会社(DAMRI)もバスの運行を行っている。都市内を走行する大、中型バス(冷 房車を除く)の運賃及び都市間バスのエコノミー運賃は低所得者層への配慮から政 府により規制されている。また、ジャカルタやジョグジャカルタなどにおいては、バ ス・ラピッド・トランジット(BRT)と呼ばれる、高速性、定時性を確保したバスシステ ムが導入されている。

ジャボタデベック圏におけるバス交通としては、ジャカルタ特別州にトランスジャカ ルタと呼ばれるバス専用レーンを走行するバスウェイネットワークが、ボゴール市内 にトランスパクアンと呼ばれる他の一般車両と一緒に通常レーンを走行するバス交 通が整備されているほか、大型路線バス(Patas、Patas AC、Regular)、中型路線バ ス(Metro Mini、Kopaja等)、小型路線バス(Mikrolet、Angkot等)が運行されている。

トランスジャカルタについては、2004年に運行を開始して以降、現在は 23 路線 が運行されている 。運営主体は、ジャ カルタ特別州運輸局の管理下にある

Transjakarta であるが、実際のバス運行については、路線別に各民間会社と契約し

て委託している。

トランスパクアンについては、2007年に運行を開始して以降、現在は3路線が 運行されている。運営主体は、ボゴール市の管理下にあるボゴール地方交通公社 である。

5.17.2 海上輸送、港湾