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華語と 英語の関 係

ドキュメント内 甲南女子大学学術情報リポジトリ (ページ 118-122)

第 6章   「スピーク・マンダリン・キヤンペーン」

第 3節 華語と 英語の関 係

タム・ ソンチー の調査 による と、中21990年のセ ンサスでは、

2種

類 の公用 語 に精通 して い る者は、 シンガポール人全体 の中で

46.5%を

占め、1980年 の38.6%と 、1970年 の19.1

%と

比較すると大幅な伸びをみせている。また、 このうち

10歳

か ら

20歳

までの青少年が 最 も

2言

語に精通 してお り、その反面

40歳

か ら

49歳

にかけての年齢層が

2言

語能力が最 も低い という結果になった。

40歳

か ら

49歳

にかけての年齢層の人々が就学年齢であつた 時期に、各言語源流学校がはつき りと分かれていたためであると考えられる。

上述の数字 と本節 における調査結果 と合わせて、シンガポールの

2言

語教育及び「 ス ピ ー ク・ マング リン 。キヤンペー ン」は、基本的に成功を収めているとい うことが確認で き る。現在、華語は完全にシンガポール華人社会の中に定着 し、華人青少年の中では普遍的 に使用 されるようになつている。 しか し、決 して、華語が華人社会 における第1言語 とし

*1推

広華語秘書処編『 十年華語』、推広華語秘書処、1990、 34‐35頁。

*2諄

尚志「 人口普査専題論文」、『 聯合早報』、1996年 6月 25日 。

112‑

ての地位を獲得 しているというわけではな く、青少年を中心に英語や方言などの言語 と同 時に使用され、状況に応 じて使い分け られている。従来の英語教育は、 うま く

2言

語教育 の うちの1つに組み入れ られ、英語は対内的には国民統合を促進する役割 として、対外的 には国際都市シンガポールを世界 にアピールするためのグローバルな言語 として効力を発 揮 している。

一方、華語は、華人の伝統文化や価値観の保存、華人のアイデ ンテ ィテ イの確立といつ た 目標 を実現させた。また、華語 自身の持つローカル性が、華人の対中貿易の促進、世界 的な広が りを見せている華人 ビジネス・ネ ツ トワークヘの参入にも貢献することとな り、

国際都市シンガポールの競争力を更に強化する結果につながつた。英語 と華語の

2種

類の 言語は、単に調和することがで きただけではな く、その調和がシンガポールのグローバル 化 を前進 させている。

1990年のセンサスでは、月収 5000ド ル以上の華人世帯の内、

37.9%の

世帯が英語を話 し、続いて方言の 37%、 華語の

16.6%と

なつている。その一方で、月収が

500〜

1999 ドルの世帯では、主に華語を話す世帯の割合が最 も高 くなつているとい う。タム・ソンチ ーは、「高収入世帯での華語の使用率は低いが、華語は決 してある一定階層での使用言語 となつているわけではない。現段階も しくは将来的に見ても、華語は経済的な価値を持つ 言語 となるはずだ。」 とし、今後 この数字が変化 してい くことを予想 している。・

実際に、

2言

語教育及び「 スピーク・マ ング リン・キヤンペー ン」は、華人青少年の英 語離れをもた らしたわけではな く、華語 と英語 という

2種

類の言語を同 じように話すこと がで きるバイ リンガルな青少年を作 り上げた。そ して、華語の習得は英語 と同様 に、国民 の経済的条件 を満たすための手段の一つ となつた。ゴー・チ ヨク トン (呉作棟

)首

相は、

「 シンガポール華人の長所は、他地域の華人 と意思の疎通がで きるることである。また、

彼 らは英語 と華語 に精通 し、西洋 と東洋の文化にも総 じて慣れ親 しんでいるため、東西の 経済体系にも問題な く参与することがで きるだけでな く、それ らの架け橋 にもなる。これ は、シンガポールが、グローバル都市 としての地位 と、東西を共有する中立的な都市 とし てのシンガポールを確立することがで きる」中2と して、これまでの

2言

語教育の正当性 を 強調 した。

華語はまた、 これまでの英語教育だけでは取 り払 うことので きなかつた、世代間 と階級 間に存在 していた壁を取 り除 く役割を担 うこととなつた。独立前のシンガポール華人社会 では、エ リー トである英語学校出身者 と労働者階級を中心 とする多数の華語学校出身者が 存在 してお り、両者の間には言語、国家への帰属感、価値観すべてにおいて共通点がみ ら れなかつたが、現在の華人青少年には共通 して、バイ リンガル (人によつてはマルチ リン ガル

)で

あることと同様 に、「 国籍ではシンガポール人であるが、同時 に民族的には華人 である」 とい う多元的なアイデ ンテ イテ イが生まれることとなつた。

1999年 3月

21日

に、華僑中学は、ゴー・チ ヨク トン首相を主賓に招 き、創立

80周

諄尚志「 人 口普査専題論文」、『 聯合早報』、 1996年 6月 25日 。

『 聯合早報』、1998年 10月 31日 。

…113

の記念式典を開催する。・

1919年

に、各帯派の企業家の賛助によ り、帯派を超越 した学校 として設立され、方言ではな く華語を教学用語 として教授 し、あ らゆる階層の華人子弟 を 受け入れた華僑中学の存在は、華人社会 に存在 していた「討派」 と「階級」を超越する存 在 とな り、華人社会 における大 きな意義をもた らした。また、「 スピーク・マ ング リン・

キャンペー ン」が開始の

1979年

に、華僑中学は特選中学りの

1校

に指定 され、英語 と華 語双方を第1言語 として教授するようにな り、英語 と華語に精通 した優秀な生徒が多 く排 出されるようになつた。「 スピー ク・マ ンダ リン 。キヤンペー ン」が、英語教育だけでは 取 り払 うことので きなかつた、世代間 と階級間に存在 していた壁 を取 り除 く役割 といつた 意味では、当時の華僑中学のあ り方に通 じるところがある。教育政策 と言語政策は常に相 互関係を有 し、切 り離 して実施 することができない とい うことを、この点か らも指摘する

ことがで きる。

『 聯合早報』、1999年 3月 16日 。

特選中学についての詳細は、終章第1節を参照。

114

18 

華人青少年 (770人

)の

華語能力

20公

共 の場所 で の使用 言語

聞 く

(%) 話す (%) 読み書き(%)

小学校

6年

生 88人

非常にできる よ くで きる で きない

35.3 63.6

1.1

65。9 34.1 0

60.2 39.8 0

中学生 34人

非常にできる よ くできる で きない

29.6

.6 6.8

45.5 48.9 5.6

29.6 68.8 2.2

大学 生 。院生 302人

非常にで きる よ くできる で きない

35.1 57.7 8.2

60.5 34.3 5.2

44.8 52.4 2.4

社 会 人 289人

非常にで きる よ くで きる で きない

47.0 48.0 5.0

70.7 25.0 4.3

57.0 40.6 2.4

平 均

770人

非常にで きる よ くで きる で きない

36.7 58.2 5.1

60.5 36.0 3.5

47.8 50.4 1.8

1997年

 

合 田美穂

19 

家庭 での使用言語

華語

(%)

英語

(%)

方言

(%)

全言語

(%)

小学生 (88人)

中学生 (34人)

大 学生(302人)

社会 人(289人) 平均 (770人)

45. 5 48. 2 28. 3 20. 2 35. 5

9。 1 17. 6 30. 6 24. 5

20。 4

17. 1 17. 6

29。 1 30. 1 23. 5

28。 3 16. 6 12. 0 25. 2 20. 6 1997年

 

合 田美穂

華語

(%)

英語

(%)

方言

(%)

全言語

(%)

小学生 (88人)

(フート゛・コート)65。9

(テ

ハ゜―卜)  48.4

(フート゛・コート

)5.7

(テ

ハ゜―卜)   33.3

(フート゛・コート)10.2

(テ

ハ゜―卜

) 1.1

(フート゛・コート)18.2

(テ

ハ゜―卜)   17.2 中学生

(34人)

(フート゛・コート)64.8

(テ

゛ハ゜―卜

)28.4

(フート゛・コート)13.7

(テ゛ハ゜―卜

)64.7

(フート゛・コート)13.9

(テ゛ハ゜―卜

) 2.3

(フート゛・コート

)7.6

(テ

゛ハ゜―卜

)4.6

大学 。大学 院生 (302人)

(フート゛・コート)53.1

(テ

゛ハ゜―卜

)10.8

(フート゛

・コート)22.5

(テ

゛ハ゜―卜

)80.8

(フート゛・コート)14.7

(テ

ハ゜―卜

) 1.0

(フート゛・コート

)9.7

(テ

ハ゜―卜

) 7.4

社会人 (770人)

(フート゛・コート)53.3

(テ゛ハ゜―卜

)23.9

(フート゛・コート)12.4

(テ

゛ハ゜―卜

)54.5

(フート゛・コート)14。1 (テ

ハ゜―卜

)2.5

(フート゛

・コート)20.2

(テ

゛ハ゜―卜)  19.1 1997年

 

合田美穂

‑115‐

7章

本章は、シンガポール華人青少年の 日常生活における身近な事柄である、「宗教」、「 占 術」、「 英文名」、「歌謡曲」に関する意識調査 を行い、 まとめた ものである。本章で用い た調査方法は、アンケー ト調査 と聞き取 りを中心 としたものであ り、特にアンケー ト調査 に関 しては、

1991年

に、 シンガポールに居住する

35歳

以下の華人青少年 1300人を対象 にアンケー ト形式による調査票を配布 し、770人よ り回答を得た。これ ら770人は、年齢、

学歴、職業 によ り、小学校

6年

生90人、中学生90人、大学生 。大学院生300人、社会人 290 人に分類 した。聞 き取 りに関 しては、1991年 、1996年 、1997年 、1998年 に実施 した。

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