第 4 章 来日前日本語学習教材の設計と開発
4.7 考察
本章では、研究課題(3)不安軽減を目指した e ラーニングによる「来日前日本語学習教 材」とはどのようなものか、について研究を進めるため、教材を設計し開発するまでを述べ た。
eラーニングによる「来日前日本語学習教材」を開発するために、まず、第1節では、「来 日前日本語学習教材」の開発の目的と意義を明らかにし、具体的な制作について検討をした。
第 2 節では、「来日前日本語学習教材」におけるインストラクショナルデザインを設計し、
第 3 節では、学習意欲デザインを設計した。インストラクショナルデザイン及び学習意欲 デザインの理論を参考にしながら、具体的に「来日前日本語学習教材」に焦点を絞り検討を 加えて教材設計を行った。そして、第4節で、学習者のニーズ及び意欲調査を実施し分析し た結果を述べ、第3章で論じた「来日前不安」という様々な不安が交錯している特別な環境 下において、その不安を軽減させるためには、どのような教材が効果的であるか検討をした。
そして、第5節では教材の開発について説明した。予備調査の結果に基づき、より実践的な IDプロセスを踏んだ学習意欲デザインを検討し、実際の教材開発に進んだ。その構成を述 べ、教材作成の流れを説明し、どのように作り上げていったのかを説明した。第6節では、
教材の内容紹介と、その目指す効果について述べた。
本章では、eラーニングによる「来日前日本語学習教材」の設計、開発を行った。この教 材について考察すると以下の点が挙げられる。
本教材を制作するにあたっては、「インストラクショナルデザイン」と「学習意欲デザイ ン」の原理に沿って教材開発を行った。分析―設計―開発―実施―評価と想定をしながら細 かい計画を立てることで、それが実際に実現可能であるのか、効果的であるのかなどをシミ ュレーションすることができ、細かな部分まで配慮した教材の開発が可能となった。足りな い部分はどこか、現時点で想定できる問題は何かを把握することができた。「学習者自身が 問題解決に導くことができるか」、「外発的な報酬を提供し満足度を上げることができるか」
などの課題が残っている。インストナルデザインは何度も修正を加えていき、前章で得られ た「来日不安因子」を折り込んだ。
本教材の目的は、「来日前不安」の軽減にある。教材を構成しているそれぞれの項目別に 対応している因子を記した。
第1・第3の不安因子については、その不安軽減に対応できるよう、学生の知りたい情報 を織り込んだ教材を開発することができた。これら第1・第3の不安の軽減という観点から は、実際の場面でどのような日本語が使用されているのかが重要であるため、実際の場面を イメージして何度もシミュレーションを行い、あえて易しい言葉だけを使わず、オーセンテ ィックな表現を残したものにした。
日本語学習教材であるから不安の第4因子にはすべて対応しており、当然不安の軽減に
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繋がると考える。しかしながら、本来言語学習においてはそのレベルは重要であるが、レベ ル別のコース設置をしていないこと、メインの映像教材は初級前半レベルの学生に対応し ていない等、レベルについての懸念事項が残っている。
この段階におけるもう一つの問題点は、不安の第2因子の軽減に直接対応するものがあ まりみられないことである。遠隔教育としての e ラーニングの最大のデメリットはコミュ ニケーションの機会がないことであるが、これらは精神的な不安を軽減させるには重要な 部分である。不安の第2因子の軽減方法を探ることが今後の課題である。
次章では、実際に「来日前日本語学習教材」を配信し、その効果を検証する。
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