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e ラーニングの特徴

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 34-39)

第 2 章 先行研究の概観と研究課題

2.4 日本語教育における e ラーニング活用教育

2.4.2 e ラーニングの特徴

eラーニングの定義は様々である。『eラーニング白書2002/2003年版』によると、以下の ように述べられている。

eラーニングとは、情報技術によるコミュニケーション・ネットワーク等を使った主 体的な学習である。ここでは、コンテンツが学習目的に従い編集されており、学習者と コンテンツ提供者の間にインタラクティブ性が提供されていることが必要である。ここ でいうインタラクティブ性とは、学習者が自らの意志で参加する機会が与えられ、人ま たはコンピュータから学習を進めていく上での適切なインストラクションが適時与え られるものである。(p. 23)

図2-6を見ると、学習時間は自由であったり固定的であったりと、時間に関しては幅が広 いが、インタラクティブ性があるものがeラーニングとしてまとめられていることが分かる。

インタラクティブ性の中には、リアルタイムとディレイ38が含まれているが、その分類はと てもシンプルなものになっている。

38 「リアルタイム」とは、「同時」「即時」という意味で、「ディレイ」とは “delay” で

「遅延」という意味である。つまり、ここでは、即時の対話ができる状態であるか、時間 のズレが生じてのインストラクションであるかの違いを指している。

先進学習基盤協議会(2002)p. 24を基に筆者作成

図2- 6 eラーニングとWBTの位置づけ

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その6年後に出された『eラーニング白書2008/2009年版』によると、以下のように表さ れている。

eラーニングの定義については、必ずしも定着したものがあるわけではない。狭義の eラーニングは、いわゆるWBT(Web-Based Training)といわれるもので、インター ネットまたはイントラネット39を利用してコンテンツ(教材)の配信が行われる。(中略)

一方、広義のeラーニングには、衛星通信、テレビ会議、あるいは CD-ROMやDVD 機器、さらには各種の電子機器による学習も含まれるであろう。(p. 4)

eラーニングを「インタラクティブ性」と「デジタル化のレベル」で分類したような図 2-7が示されている。広義のeラーニング、デジタル化という視点でみたeラーニング、イン タラクティブ性でみたeラーニング等、分類も多様化していることが分かる。WBTと集合 研修のそれぞれの特性を活かし両者を組み合わせたブレンディッド・ラーニングの一般化や、

eラーニングシステムが社内のコミュニケーションツールとして活用されるなど、図2-6と 図2-7を比較するだけでもeラーニングの多様性と利用局面の拡大が理解できる。わずか数 年の間に、eラーニングの範疇が大きく変化していることが分かる。

39 内部の意のintra とnetworkを合成した言葉。インターネットで使用されている技術を企業 などのLANに適用したもの。インターネットでの情報検索と同様の方法で社内の情報検索が でき、低コストでネットワークが構築できる。

先進学習基盤協議会(2008)p. 5を基に筆者作成

図2- 7 「インタラクティブ性」と「デジタル化」からみたeラーニングの範囲と分類

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青木(2012)は「eラーニングがどのような定義で使われるにせよ、『情報通信技術(ICT)

を介して、または、活用して行う教育や学習』という点においては共通していると思われる」

(p. 9)と述べている。最近では、mラーニング(モバイルラーニング)やuラーニング(ユ ビキタス40ラーニング)という言葉もあるが、これらはeラーニングの一部であるとみなし ている。

eラーニングの分類として、青木(2012)は対面授業の割合から、①対面授業、②ブレン ディッド・ラーニング、③ハイブリッド・ラーニング、④フルオンラインと分類し(図2-8 参照)、また、学習が同期であるか非同期であるか、また、自学自習形式であるかグループ学 習であるかなどでも分類できるとしている(図2-9参照)。

40 ユビキタス(ubiquitous)とは、既出(p.22)と同義で、インターネットなどのネットワー クが、いつでもどこでも利用できること。

青木(2012)p. 13 を基に筆者作成 青木(2012)p. 13 を基に筆者作成

図2- 8 eラーニングの分類(対面授業の割合から)

図2- 9 eラーニングの分類(学習形態)

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また、Allen & Seaman(2014)によると、コースのタイプを4種に分け、伝統的な対面 授業とブレンディッド/ハイブリッドの間にウェブファシリテートを設け、主に宿題を投稿 するためのeラーニング活用をブレンディッドから分けている。筆者としては、オンライン の割合も表示しているこの分類法を支持したい(表2-2参照)。

表2- 2 オンライン学習の形態

オンラインで配 信されるコンテ ンツの割合

コースタイプ

説明

0% 伝統的対面授業

オンライン技術を利用しないコース・・・コンテンツは記述 や口頭で伝達される。

1~29% ウェブ活用

基本的には対面型のコースを促進するためにウェブベース の技術を使ったコース。シラバスや宿題を投稿するためにコ ースマネジメントシステム(CMS)やウェブページを利用 する。

30~79% ブレンディッド

/ハイブリッド

オンラインと対面の伝達をブレンドしたコース。

(アクティブ・ラーニング、反転授業)

かなりの割合のコンテンツがオンラインで伝達され、通常は オンラインディスカッションを使い、対面で会う機会は少な い。

80%~ オンライン

ほとんどまたはすべてのコンテンツがオンラインで伝達さ れるコース。

通常は対面で会う機会はない。 MOOCs Grade change: Tracking online education in the United States p. 6 筆者日本語訳

『eラーニング白書2008/2009年版』によると、2007年当時、全国高等教育機関1200機 関のうち、ICT活用教育を実施しているのは75.8%で、大学におけるeラーニング実施割合 は、2003年には23.8%だったのが、2007年には46.1%とわずか4年で倍近く伸びている。

授業の提供形態は、「対面授業と eラーニングのブレンディッド型の授業を行っている」の

が79.6%、「自習用教材として提供している」が72.0%となっており、ブレンディッド型や

自習用教材としての利用がほとんどで、遠隔教育としての利用としては、2007年当時、「離 れた場所で集合学習としてのeラーニングによる授業を行っている」が13.1%、「海外への 大学への授業の配信を行っている」が 3.0%のみで、海外にいる個別の学習者対象の例は非 常に少なかった。しかし、MOOCsにより、従来型のオンライン講義はSPOCS(Small Private Online Courses)と新たに呼ばれるなど、遠隔教育も変化している。

玉木(2003)が、「eラーニングは、時間と空間を超えて学習できることが大きな特徴」

(p. 12)で、「これまでの教育は『教員主導』のものだったが、それがeラーニングの学習 方法と学習管理システム(LMS)41によって、『学習者主導』へと大きく変化したことにな

41 学習管理システム(LMS=Learning Management System)とは、eラーニングの実施 に必要な、学習教材の配信や成績などを統合して管理するシステムのことで、運営管理 機能、学習管理機能、コミュニケーション機能があるとされる。

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る。eラーニングは、人類が長い間行ってきた教育スタイル、すなわち『学習形態や学習す る内容自体』にパラダイムシフト42をもたらす可能性がある」(p. 14)と述べているように、

これまでの学習方法に大きな変化をもたらした。

eラーニングの形態は多種多様であるため、その特徴もそれぞれによって違っているのだ が、一般的なものと比較するとその違いが分かる。表2-3にその特徴をまとめてみた。

表2- 3 学習形態別の利点・欠点

学習方法 利 点 欠 点

非 同 期 型

eラーニング 1.いつでも、どこでも学習可能 2.自分のペースで学習可能 3.文字+動画や音声教材

4.即座に学習結果を見ることが可能 5.学習者の進捗状況が管理できアド

バイスが可能

6.教材のカスタマイズが容易 7.学習者同士の相互交流が可能

1.実技を伴う授業が不可

2.リアルタイムでの交流や質問が 不可

3.コミュニケーションが難しい 4.継続が難しい

5.m ラーニング以外は、場所の制 限が生じる

6.製作コストがかかる 7.受講申請が必要

Web上教材 1.いつでも、どこでも学習可能

2.自分のペースで学習可能 3.文字+動画や音声教材

4.学習者が自由に教材を選択できる 5.誰でも学習可能

1.実技を伴う授業が不可 2.指導者の不在

3.学習者は疑問点を質問できない 4.継続が難しい

5.学習の進捗状況が把握できない 6. mラーニング以外は、場所の制

限が生じる

DVD教材

CD教材

1.いつでも、どこでも学習可能 2.自分のペースで学習可能 3.動画や音声教材が中心

4.学習者が自由に教材を選択できる 自分の好きなものを選ぶことがで きる

1.実技を伴う授業が不可 2.指導者の不在

3.学習者は疑問点を質問できない 4.継続が難しい

5.学習の進捗状況が把握できない

6.場所の制限(DVD機器のある所)

書籍 1.本があれば、いつでもどこでも学

習可能

2.自分のペースで学習可能 3.文字情報のみ

4.学習者が自由に教材を選択できる 自分の好きなものを選ぶことがで

きる

1.実技を伴う授業が不可 2.指導者の不在

3.学習者は疑問点を質問できない 4.継続が難しい

5.学習の進捗状況が把握できない 6.文字が中心であるため、音声や

動画が視聴できない

同 期 型

遠隔授業 テレビ授業

1.離れた場所の人と対話が可能 2.自宅での学習も可能

3.文字+動画や音声教材

4.学習状況を見ながらの授業展開が 可能

5.学習者同士の直接交流が可能 6.コミュニケーション活動の充実

1.時間の制限がある

2.機材の整備された場所が必要 3.ネット環境により、中断される

ことがある

4.システム導入のコストが高い

42 パラダイムシフトとは、ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化す ることで、「教育のパラダイムシフト」について玉木(2003)は、教える側と学ぶ側の 双方の意識改革だと述べている。

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