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学修観アンケート実施・分析-調査 3.a-

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 91-95)

第 3 章 来日前不安

3.5 来日前不安と学修観

3.5.2 学修観アンケート実施・分析-調査 3.a-

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表3- 17 学修観「学びの力」の分類

学びの力 区分名 問題数 配点1 配点2

Ⅰ考えようとする力

考えようとする意識の度合 ⑦⑧⑨⑩⑫ 33 165 40.741

Ⅱ行動しようとする力

行動しようとする意識の度合 ①②⑥⑪⑬ 30 150 37.037

Ⅲ繋がろうとする力

回りの評価を気にする意識の度合 ③④⑤ 18 90 22.222 この結果より、表3-18のような学びの力のタイプを8つに分けるようになっている。

表3- 18 学修観「学びの力」の8タイプ

AAA AAB ABA ABB BAA BAB BBA BBB

Ⅰ A A A A B B B B

Ⅱ A A B B A A B B

Ⅲ A B A B A B A B これらのデータを基に、これまで加藤・後藤(2014)が実際に日本人学生に実施し、妥当 性が検証されている。これを、留学生にも実施し、日本人学生との比較をし、留学生ならで はの学修観の違いがあるかを検証する。

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4)質問紙の構成:81項目について、5件法で回答。

質問項目は大きく3つに分かれており、以下のような構成になっている。

・次の文があなたにどれくらいあてはまるかについて、選択肢1~5の中から選んでく ださい。… 1~21

・あなたが勉強をしようと思うのはどのような考えからですか。… 22~57

・あなたはテスト勉強をしたり、ふだん勉強したりするときに、どんなことを考えて 取り組んでいますか。… 58~81

内容はマイナス要因もあるため、18項目については集計の段階で反転処理を行う。

まず、「考えようとする力」についての分析結果を以下に示す。

表3- 19 考えようとする力の分布(度数)

0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100 合計 日本人 0 0 0 0 0 17 50 33 5 0 105 留初級 0 0 0 0 0 1 15 10 1 0 27 留中級 0 0 0 0 0 3 9 6 0 0 18 留上級 0 0 0 0 1 3 14 3 2 0 23

日本人学生と留学生との比較をすると、表3-19及び図3-10の「考えようとする力」につ いては、日本人学生の平均値 67.1/標準偏差 7.30、留学生の平均値 67.6/標準偏差 6.76 で、全体の平均値67.3と平均値近くに集中していることが分かる。留学生においても、日 本語レベルにかかわらず、同様の結果が得られた。

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100

日本人学生 初級 中級 上級

図3- 10 考えようとする力の分布

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次に「行動しようとする力」について表3-20と図3-11に示す。

表3- 20 行動しようとする力の分布(度数)

「行動しようとする力」に関しては、日本人学生の平均値73.9/標準偏差10.03、留学生

の平均値80.0/標準偏差8.13、全体の平均値は76.3となり、日本人学生と留学生の違いが

みられた。留学生の方が得点の高い学生が多かった。

また、留学生のレベルの違いをみると、初級レベルの学生の方が、中級と上級レベルの学 生よりも得点が高いという結果になったが、その理由は個別のデータを見なければ分から ない。

さらに、「繋がろうとする力」の分布を表3-21及び図3-12に示す。

表3- 21 繋がろうとする力のレベル別分布(度数)

0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100 合計 日本人 0 0 4 15 15 27 23 16 4 1 105 留初級 0 0 0 0 3 7 5 4 8 0 27 留中級 0 0 0 0 1 6 7 3 1 0 18 留上級 0 0 0 0 3 8 4 6 2 0 23 0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100 合計 日本人 0 0 0 0 3 4 26 43 23 6 105 留初級 0 0 0 0 0 0 1 8 17 1 27 留中級 0 0 0 0 0 0 3 7 7 1 18 留上級 0 0 0 0 0 1 1 11 7 3 23

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100

日本人学生 初級 中級 上級

図3- 11 行動しようとする力のレベル別分布

83

「繋がろうとする力」に関しては、日本人学生の平均値 55.6/標準偏差15.1、留学生の

平均値64.5/標準偏差12.71、全体の平均値は64.5となり、日本人学生より留学生の方が

高い数値となった。それぞれ標準偏差からも分かるように、分布の幅が広いのが特徴である。

また、学びの欲求の中の「充実志向」「訓練志向」「実用志向」の3尺度の合計を「内容関 与動機」として、学習方法の尺度である「学習方法の基にある考え」の4尺度とを標準偏差 に注目してクロス集計し、カイ2乗検定を行った結果を表3-22に示す。

この結果から、注目すべき点は、「内容関与的動機」の値が平均値の-2σ 以下で、さらに

「学習方法の基にある考え」の値が平均値の-2σ以下である学生は存在しないが、一方が-2σ でもう一方が-σに当たる学生が 3 名存在することが分かった。これらの学生は、失敗した ときや躓いたときに合理的な考え方ができない、学習の中身を理解する姿勢がない、学習の 仕方の工夫が弱いなどのリスクが想定される。

表3- 22 内容関与的動機と学習方法の基にある考えのクロス集計

学習方法の基にある考え

-2σ以上 以下 未満 +σ未満 以上 +2σ以上

+2σ以上 以上 未満 未満 以下

‐2σ以下

0 0 1 0 1 0 0 2 9 8 7 2 2 7 20 21 7 0 1 9 26 21 5 1 2 3 6 5 1 1 0 1 1 3 1 0

2 28 57 63 17 6 5 22 63 58 22 3 173 χ2(25.N=173)= 24.046 p<0.001

さらに、「内容関与的動機」と「立ち直る力」について、同様にクロス集計をし、カイ 2 乗検定を行った。ここでは、「内容関与的動機」と「立ち直る力」の値が平均値の-2σ以下の 学生が一人存在する。あるいは一方が-2σでもう一方が-σに当たる学生は合計4名存在する ため、これらの学生は、新しい分野への挑戦に躊躇しがちである、自分の感情をコントロー ルすることができない、将来の目標が明確でない、などのリスクを抱えている可能性がある

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0~10 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60 60~70 70~80 80~90 90~100

日本人学生 初級 中級 上級

図3- 12 繋がろうとする力のレベル別分布

84 ため、個々に応じ面接法などの支援が必要となる。

学修観アンケートを実施することにより、学生者自身が自己の学びの自己評価を行うこ とと、教師がその結果を踏まえて学生の特性を把握することができ、学習者の個別の学修ス タイルやニーズを理解した上での指導助言を行うことができるようになる。

以上のように、日本人学生と留学生を比較しながら、学修観が留学生を対象としても妥当 な結果を示すかどうかを検証した。日本人学生への調査は、既に加藤・後藤(2014)をはじ め、8大学の学修観W.G.が行い、研究結果が出ているが、留学生を対象としたものは初め てだったため、上記のようなデータ分析を行った。質問項目の英語訳を修正したこと、質問 項目に特別な問題点は生じなかったことが分かった。よって、不安軽減や動機づけなど個別 のデータ分析を行い、不安軽減のための個別支援のために活用する意義はあると考える。

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