21. インターネットを利用した国際遠隔講義
以前からの交流やテレビ会議での実績が、国際遠隔講義につながったというわけですね。講義はどのような 形で行われているのですか。
大川氏:相手方の教室の様子をカメラで撮影してもらい、その映像をSINETを使ってこちらの教室に中継してい ます。資料は、ハワイ大の e-learning システムでネット配布されます。
2005 年に初めて実施した際には、モニターが 1つしか使えない通常のテレビ会議システムを利用していたため、
ハワイ大側で教室の映像と資料の映像を 1 画面に合成して送ってもらっていました。しかし現在では、3 つのモニ ターを利用して、こちら側の教室を映した映像、相手方の教室の映像、資料の映像をそれぞれ別々に表示させて います。また琉球大側から講義を行う場合は、こちら側の教室を映した映像と資料の映像の 2 種類の映像を相手 方に配信しています。
講義はどのような内容なのですか。
高良氏:2005 年から 2007 年にかけては、「国際環境学」と「災害管理および人道援助」の 2 コースを開設し、後 期にそれぞれ 15 回ずつの講義を行いました。2007 年後期の講義を例に取ると、前者では「地球のモニタリン グ : 地球監視技術」「生物多様性と気象変動」、後者では「災害危機に対処するための地域社会の強化」「島嶼地 域における災害」などのトピックが題材として取り上げられています。
また、琉球大からも、いろいろと面白い情報を発信していますよ。たとえば、世界最大の津波が起きたのは、石垣 島を中心とする八重山諸島であることをご存じでしょうか。この津波は 1771 年に発生し、海抜約 90m にまで波が 達したという記録や痕跡が残っています。海外の受講生にとっては、こうした話題も非常に興味深かったようです。
リアルタイムで遠隔講義を行うとなると、時差の問題なども出てくると思うのですが。
大川氏:確かにハワイと日本では -19 時間の時差がありますので、お互いの都合の良い時間に合わせるようにして います。たとえば日本で午後 1 時から講義があるとすると、先方では前日の夕方 6 時の講義になるといった具合で すね。また、通常の時間割をそのまま適用しても先方の時間割とタイミングが合わないので、琉球大の 2 コマ分の 時間帯を遠隔講義に割り当てるようにしています。
太平洋をはさんでの講義ですが、ネットワーク的な課題などはありましたか。
大川氏:この講義の始まった頃にはいろいろと苦労もありました。距離が遠いということもそうですし、沖縄の高 温多湿な環境に学内のネットワーク機器が耐えられず、頻繁に障害を起こすといったこともありました。しかし、機 器の更新やネットワークの強化を図ったことで、現在ではトラブルはほとんどなくなっています。
特に SINET のサービスが SINET3 になってからは、非常に安定した通信が実現できています。ネットワーク障 害が原因で、講義を中断しなければならないといった事態は今まで一度も起きていません。遠隔講義で使用する 帯域はだいたい 5 〜 6Mbps くらいですが、SINET の回線も 1Gbps に増強されましたので、ネットワーク面での 不安はまったく感じていないですね。SINET3 の信頼性・安定性には非常に満足していますので、今後もこれまで 通りの安定稼動をお願いできればと思います。
最後に、国際遠隔講義の今後についてお伺いできますか。
高良氏:今年の後期からは、従来の 2コースに加えて「開発途上国における情報通信」をテーマにした講義を開始 する予定です。国際遠隔講義は、「アジア・太平洋地域との交流を中心として世界に開かれた国際性豊かな大学を 目指す」という琉球大の理念とも合致しますので、今後もどんどん発展させていければと思います。また、SINET3 や映像中継のインフラは、今回のプロジェクト以外にも応用できますので、国際間の会議や講演など他の用途にも 積極的に活用していきたいですね。
ありがとうございました。