新 規 事 例
52. クラウドサービスを活用した遠隔データバックアップ
システムの構築
遠隔バックアップの実施にあたって課題となった点などはありましたか。
上西氏:やはりセキュリティですね。今回のプロジェクトでは、教職員と学生用のファイルサーバとメールサーバが バックアップ対象になっていますが、ファイルサーバはもとよりメールについても学生の個人情報に関わるやりとり が行われるケースが少なくありません。
こうしたデータを学外に持ち出すとなると、安全性の確保は大前提となります。
また、ネットワーク帯域の問題もありました。 以前この地域では 100Mbps ベストエフォートのサービスしか提 供されていなかったので、大量のバックアップデータをネットワークで転送するのはかなり厳しかったのです。
幸い、2011 年 12 月から、フレッツ光ネクストの 1Gbps ベストエフォート回線が利用できるようになったので、よ うやく遠隔バックアップが現実のものとして視野に入ってきました。
そして、もう一つ無視できなかったのがシステムの構築・運用に掛かるコストです。
これは企業などでも同じだと思いますが、バックアップ自体は大学の直接的な利益につながりませんし、学生 サービスの向上にも結びつきません。 そこに果たしていくら投資できるのかというのは悩ましいところでしたね。
最終的に SINETクラウドサービスを採用されたわけですが、その経緯と決め手を伺えますか。
上西氏:いろいろ検討を行っていたところ、富士通から「Fujitsu アカデミッククラウドサービス」が SINET クラウ ドサービスに対応するとの案内をもらいました。 これなら SINET の L2VPN を利用したセキュアなバックアップ が行えますので、最大の懸案であった安全性面での不安を払拭することができます。
さらにバックアップデータを暗号化しておけば、万一データセンタからデータが持ち出されるような事態が起き ても、内容を見られてしまう心配はありません。
また、システム構築に多額の費用を投じなくて済むという点も非常に魅力的でしたね。 作業としては VLANタ グを付けるくらいですから、特殊なネットワーク装置などを新たに導入したりする必要もありません。
まさに本学のニーズにピッタリのサービスだったので、早速遠隔バックアップの基盤として採用することを決め ました。
現在はどのような形でバックアップ運用を行われているのですか。
上西氏:ちょうど教職員用ファイルサーバが更新時期を迎えていましたので、本件への適用を考えて筐体間レプ リケーション機能を備えた富士通の「ETERNUS NR1000F」を導入。これを本学キャンパスと富士通データセンタ に 1 台ずつ設置し、毎日夜間にデータ転送を行っています。
構築にあたっての工夫点としては、暗号化したメールサーバ/ファイルサーバのデータを一度ファイルサーバの バックアップ用領域に事前集積し、その領域を 2 台の装置間で同期させている点が挙げられます。
各業務サーバのデータを個別にバックアップするとなると、スケジューリングをどうするかといったことも考える 必要がありますが、この方法であればそうしたことを考慮しなくても済みます。
具体的な運用フローとしては、毎日 20:00 からファイルサーバへのデータ集積を開始。その後翌日 4:00 から データセンタへのレプリケーションを実施しています。現時点でのバックアップデータ容量は約 150GB /日程度で すが、翌朝 7 時頃には作業が完了していますので全く問題ないですね。
データバックアップ構成
SINETクラウドサービスの導入メリットについてはどうでしょう。
上西氏:バックアップは大学にとっても大事な取り組みです。とはいえ、先にも触れた通り、そこに手間やコストを 費やすことが価値には結びつかないのが悩みの種でした。
それをSINETクラウドサービスによって解消できたということは、本学にとって非常に大きなことだと感じてい ます。 構築作業も非常にスムーズで、利用申請開始から本稼動まで 1ヶ月あまりしか掛かりませんでした。
今後はどのように取り組みを発展させていかれますか。
上西氏:当初はメールサーバ、ファイルサーバを対象としていましたが、来年度には教務システムなどのバックアッ プも今回のシステムに集約し、データ保護体制のさらなる強化を図っていく予定です。
また、今後はバックアップ用途以外でのクラウド活用も視野に入ってきますので、SINETと NII にも引き続き 様々な支援を提供してもらえればと思います。
ありがとうございました。