33. 触覚フィードバックを含む遠隔制御システム
具体的にはどのような取り組みを行っているのですか。
今村氏:たとえば、本学の天井クレーンシステムを利用した「遠隔クレーン操作」では、遠隔地の高専から操作用パ ドルとパソコンのモニターを使って実際に荷物の搬送を行います。このときパドルには、荷物の揺れや重さなどの 情報もフィードバックされるようになっています。また、「遠隔触覚体験」では、本学と高専に一台ずつパドルを設置 し、遠隔地にあるパドルが押した対象物の硬さを、手元のパドルへの操作反力から判別する体験を行っています。
それは面白そうですね。
三好氏:ただし、課題もありました。遠隔制御実験を体験した学生からの評判は非常に良かったのですが、ネット ワークの状態によっては、映像や音声が途絶してしまうケースがあったのです。せっかく、手元のパドルには触覚が フィードバックされているのに、モニターの画面が止まったままでは、視覚と触覚がアンバランスになってしまいま す。これでは学生の興味にも大きく影響しますし、安全上も問題です。
今村氏:そこで、二つの点で改善に取り組みました。まず一点目は、なるべくシンプルで効果的に使えるコンテンツ の開発です。これを実現するために、「遠隔ドリル操作システム」を新たに開発しました。手元のパドルを押すと遠 隔地のドリルが動き、合板に穴を開けるようになっています。これなら、ドリルが前へ進む一自由度の操作だけで、
モニターの映像を見る際の視覚、切削開始時や合板を貫通する際に感じる触覚、ドリルの切削音を聴く聴覚と、3 つの感覚に訴えることができます。
また、二点目は、今お話のあったネットワーク環境の改善です。ちょうどいいタイミングで SINET3 の QoS サービ スのモニター公募がありましたので、本学の情報メディア基盤センターにも相談して、早速応募することにしました。
ネットワーク構築上の課題になった点などはありましたか。
三好氏:一番大きな課題になったのは、やはり足回りの回線の品質ですね。SINET3 のバックボーンでは十分な 品質が確保できるのですが、高専と SINETとをつなぐ部分で輻輳が起きてしまうのです。今回の実験でも、接続 先の函館高専の回線帯域を 3Mbps から 5Mbps へ増速して頂いたり、ルータの 1 ポートを実験ネットワーク用に 占有利用するなどの対応を取って頂きました。
実際に SINET3 の Qos サービスを導入した効果は如何でしたか。
今村氏:非常に大きな効果がありました。たとえば以前は、音声の途切れが激しいため、連絡に電話回線を併用す るケースもありました。しかし QoS サービス導入後は、ネットワークだけで相手先とスムーズに会話できるようにな りました。また映像についても、以前はコマ送りのカクカクした映像でしたが、QoS 導入後はフレームレートが約 2 倍に向上しています。
ちなみに、実験後に函館高専側のネットワークトラフィックを分析したところ、QoS 導入前 / 導入後の両方とも 5Mbps の帯域をフルに使い切っている状態でしたが、後者では滞りなく実験が行えました。これは QoS サービス の優先制御に依るところが大きいと考えています。なお、今回の実験では、函館高専と北大ノードの接続などにつ いて、SINET3 側からも多大なサポートを頂きました。この点にも大変感謝しています。
今後はどのように活動を展開していかれますか。
三好氏:現在検討しているのが、3 次元カメラと 3 次元プロジェクタを使った立体視による遠隔制御です。遠近感 が分かれば、よりリアルな体験学習が実現できることでしょう。また、連携先の高専の数も、どんどん増やしていき たいと考えています。将来的には、海外の学校ともこうした活動を展開していきたいですね。
今村氏:今回のプロジェクトのような取り組みは、大学の先端研究を早い時期に体験してもらえる場として非常に 有効だと考えています。今後も情報メディア基盤センターと連携しながら、いろいろな取り組みを進めていきたい ですし、SINET3 からのご支援にも、大いに期待しています。
ありがとうございました。
関連 URL 触覚フィードバックを含む遠隔制御システムの構築とネットワーク QoS 向上による 制御応答性改善および遠隔操作支援可能性の検討
http://www.sinet.ad.jp/document/sinet_doc/ 触覚フィードバックを含む遠隔制御システムの 構築とネットワーク QoS 向上による制御応答性改善および遠隔操作支援可能性の検討 .pdf QoS
http://www.sinet.ad.jp/service/network/l3/QoS