25. 同室感コミュニケーションシステム「t-Room」の研究
同室感コミュニケーションシステム t-Room
その研究インフラとして SINET が活用されているわけですね。
片桐氏:その通りです。t-Room は同志社大・京田辺キャンパスの当研究室と、CS 研の京阪奈、厚木の 3 ヶ所に設 置されていますが、同志社大ノードと CS 研・厚木を結ぶインフラとして、SINET3 の L1 オンデマンドサービスを 利用しています。
我々の研究においては、ネットワークの伝送品質が重要な意味を持ちます。たとえば、我々が行っている実験の 一つに、「遠隔合奏」があります。これは離れた場所にいる人同士が楽器を持って同時に演奏するというものです が、遅延の問題が大きく影響するんですね。そこで、その影響を分析するために、遅延制御を行ったりしているの ですが、ネットワーク自体に「ゆれ」が多いようだと、制御の効果を正しく評価できません。その点、SINET3 の L1 オンデマンドサービスを利用すれば、こうしたことに悩まされる心配はありません。
SINET3 利用の概要
高田氏:他の大学や加入機関との連携が容易に行えるのも、SINET の大きなメリットと言えるでしょう。たとえ ば、2010 年 3 月に東大で行われた情報処理学会の記念大会で t-Room を展示したのですが、この時も東大ノー ドと NII の一ツ橋ノードを L1 オンデマンドサービスで結ぶだけでデモが行えました。こうしたフレキシブルさは、
学術系ネットワークならではのものですね。
CS 研にとって、大学の研究室と一緒に研究する意義はどういう点にありますか。
高田氏:既成概念にとらわれない、若者ならではの発想でしょうか。我々のようなプロの研究者が手を出しにくい テーマにも、学生さん達は果敢に挑戦してくれます。たとえば先の例に出た遠隔合奏なども、既に昔からいろいろ な研究が行われていて、現実には難しいと考える研究者も多いのです。でも、その研究成果を学会で発表した学 生が、32 件中 2 件しか与えられなかった発表賞を受賞したこともありました。こうした前向きな姿勢から、刺激や ヒントを貰うことも多いですね。
共創情報学研究室としても、t-Room を研究の題材として利用できるメリットは大きそうですね。
片桐氏:そうですね。このシステムには、映像 / 音声やコンピュータ、ネットワーク、ヒューマンインターフェイスなど、
幅広い分野のテクノロジーが利用されていますから、学生の関心に応じていろいろな研究ができます。こういうも のに触れた経験は、社会に出てからもきっと役立つことでしょう。ちなみに、本キャンパスでは、毎年 2 月に卒業研 究の配属希望を決めるためのオープンラボを開催しているのですが、そこでも学生にとっての t-Room のインパク トは非常に大きいようです。
様々な形態の t-Room
t-Room の進化は今後も続いていきそうですね。
高田氏:NTTとしては将来の実用化、商用化を探るという面もあるのですが、t-Room そのものの可能性を追求 する取り組みも推進していきたい。たとえば先に触れた過去映像とのコラボレーションなどでも、いろいろな活用 が考えられると思います。t-Roomは今までにないコミュニケーションシステムなので、まだまだチャレンジすべきこ とは多いと思っています。
片桐氏:研究室としても、この春に第一期の修士を送り出すなど、ようやく基盤が整ってきました。今後も、大学な らではの研究をいろいろと展開していきたいですね。ただし、こうした研究を続けていく上では、SINET のよう なネットワークの存在が必要不可欠です。既にネットワークは電気や水道と同じレベルで考えるべきもので、どこ の大学や研究機関でも使えて当然です。日本が高度情報化社会のリーディングカントリーであり続けるためにも、
SINET の発展には大いに期待しています。
ありがとうございました。
関連 URL 「SINET3 を用いた同室感コラボレーション空間研究」
(2009.11.19 「学術認証フェデレーション及び SINET サービス説明会」SINET 利用事例 資料)
http://www.nii.ac.jp/userimg/sinet_service/18SINET3collabolation.pdf