44. 対外接続にSINETを活用した全学情報ネットワーク
基盤「UTnet」
UTnet と SINET の関係はどうなっているのですか。
下田氏:UTnet では、対外接続用に 3 つのネットワークを利用しています。一つは WIDE Project が運用する
「WIDE」、もう一つは NICT(情報通信機構)が運用する「JGN-X」、それに SINET です。特に Web やメール、テレ ビ会議といった日常的に利用される生活通信については、ほとんどが SINET を通ってインターネットへ出て行き ます。それだけに SINET が果たす役割は非常に大きいですね。
また、先端学術研究を支えるという意味でも、SINET の存在は非常に重要です。本活用事例でも神岡素粒子 研究施設、素粒子物理国際研究センター、地震研究所などが登場していますが、こうした先端学術研究ではここ 数年でデータ容量が飛躍的に増大しています。また、2012 年 4 月には次期スパコンが稼働し、世界一奪還で話題 になった「京」や全国のスパコンとも通信が行われるようになります。これによって、データ通信量のさらなる増大 が見込まれていますから、SINET の果たす役割もますます大きくなりますね。
それだけトラフィックが増えるとなると、運用側としても対応が大変そうですね。
下田氏:「とにかく大容量のデータを流したい」というのが全てのユーザー側の願いですからね(笑)。ただ、我々と しても可能な限り要望に応えていきたいと思っていますので、大容量データを取り扱う研究が始まる際には、なる べく計画段階で相談してもらうようにしています。いきなり対応するのは難しいとしても、あらかじめ事情が分かっ ていれば準備もできますので。UTnet の環境についても、SINET4 への移行に伴って本郷の接続帯域を10Gbps から 20Gbps に増速するなど様々な手を打っています。
SINET4 のお話が出ましたが、SINET3 から移行したことによるメリットなどはありましたか。
下田氏:基本的なサービスは従来のものを踏襲しているので、ユーザー側から見た時には特に大きな変化はあり ません。ただ、SINET4 では、一般ノードへ接続する際などの構成がダークファイバ+WDM になりましたから、よ り多くの帯域が必要になった場合の対応が容易ということは言えますね。以前の構成だと、専用線だったので回 線や伝送装置を丸ごと取り替えたりしなくてはなりませんでした。その点、現在では、両端のWDMモジュールを追 加するだけで簡単に帯域が拡張できます。
SINET4 と UTnet
SINET4 への切り替えについては如何でしたか。
下田氏:2011年の 2 〜 3月に掛けて各ノードの切り替えを順番に実施しました。大学の業務や研究・教育に支障が 出ないよう、平日夜間や休日日中に作業を行いましたので、ユーザーにはほとんど気付かれなかったのではないで しょうか。
ただ、今年は東日本大震災の影響で電力の手当てが大変でしたね。夏場の電力不足についても、仮設発電機を 手配して、主要部分の情報インフラを止めないよう停電に備えました。ちなみに、情報基盤センターには大型 UPS 電源や空調装置などの設備を備えたハウジング室があり、止めたくないサーバやネットワーク機器を収容できるよ うに、学内組織向けにハウジングサービスを提供しています。
最後に今後の抱負について伺えますか。
下田氏:実は、私は以前(2006 年 4 月から 3 年間)NII へ出向して SINET3 の構築・運用管理に携わっていまし た。そこで培った経験やノウハウは、東大へ戻ってからも非常に役立っています。今後もこれを活かして、SINETと UTnet のいいところを合わせたネットワークを築いていきたい。また、先にも触れた通り、SINET は大学運営や研 究・教育を支える重要な基盤ですから、今後の設備増強やサービス・サポート力の強化にも大いに期待しています。
ありがとうございました。
関連 URL アトラス (ATLAS) 実験
http://www.sinet.ad.jp/case/icepp/
ニュートリノ研究
http://www.sinet.ad.jp/case/kamioka