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7. レーザー電子光を用いてハドロンの

性質を研究するLEPS実験

実験はどのような形で進められるのですか。

中野氏:LEPS で作り出した光子ビームを陽子などの標的に当てると、極めて短時間の寿命しか持たない新しい粒子が 生成されます。実験ではこの粒子を検出器で捕らえ、その性質やふるまいを調べます。もっとも、実際にどのような粒子が できるかは、やってみないと分からない部分もあります(笑)。従って、そこで起きている現象を見逃さない、見落とさない ということが非常に大事なのですね。我々の実験研究においても、SPring-8 での作業は一つのフェーズであり、その後 に長い時間を掛けてデータを解析する作業が控えています。新しく参加した研究者が、独自の視点で過去データを解析 し直す場合もありますので、いかに大量のデータを実験で取得し、蓄積していくかが重要なポイントになります。

新物質の存在形態を探る

LEPS を支えているシステム / ネットワーク環境についても伺いたいのですが。

堀田氏:SPring-8 内には、検出器で収集したデータを記録、一次保存するための計 算機とローカルストレージが置かれており、実際の解析作業は当センター内の解析用 計算機と大型ストレージを利用して行います。また、この間のデータ転送のインフラ として、SINET3 の L3VPN サービスを利用しています。

 以前は SPring-8 側の回線帯域が十分でなかったため、大容量データの転送に苦 労する場面もありました。しかし、2005 年度に Super SINETノードが設置されてか らは、こうした問題も解消できています。現在、SPring-8 では一日あたり 200GB もの データが生成されていますが、約 600Mbps 程度の通信速度が確保できているおか げで、転送も非常にスムーズです。

 また、以前は RCNPと SPring-8 のネットワークを別々に運用していたのですが、VPN で一体運用できるよう になったことで、それぞれの資源をシームレスに利用できるようになりました。データへのアクセスはもちろん、こち らから SPring-8 のプリンタに文書を出力するといったことも簡単に行えます。おかげで現場の研究者の利便性は 格段に向上しましたね。

実験データの流れ

これまでの研究成果について教えて頂けますか。

中野氏:最大の成果としては、クォークでできている粒子の中に、新しいタイプのものがあることを発見した点が 挙げられます。量子色力学において、クォークは三原色、または三補色の組み合わせで白色になった時に安定する と言われています。しかし、理論的には、4 つ以上のクォークの組み合わせが禁止されているわけではありません。

たとえば色+ 補色、色+ 補色の 4 色でも白色になりますし、三原色と色+ 補色の 5 色でも白色になります。今までこ うした 4 色以上の組み合わせは実際には見つかっていなかったのですが、LEPS 実験によって 5 個のクォークで 構成されていると考えられる粒子「ペンタクォーク」が発見されました。従来は理論でしかなかったものの存在を、

世界で初めて捉えたというのは、非常に意義のあることと言えます。もっとも、現時点ではまだ完全に確立したとま では言えませんので、さらなる研究を進めているところです。

ハドロンを分類する SU(3) ウエイト図

「LEPS2」に向けた取り組みも進められているそうですが。

中野氏:今お話したペンタクォークをはじめとして、LEPS 実験ではいろいろな新しい発見がありました。そこで、

LEPS の十倍の強度を持つ強力なレーザービームを使用し、検出器もグレードアップして、より詳細なデータを収 集しようと考えています。これが現在取り組みを進めている LEPS2 実験です。SPring-8 には全部で 62 本のビー ムラインがありますが、LEPS2 ではその内の 4 本だけしかない 25m の長尺ビームラインを使用する予定です。

堀田氏:もっとも、LEPS2 が本格的に稼働すると、出力されるデータの容量も今までとは桁違いのスケールになり ます。先に LEPS では一日あたりのデータ量が 200GB と述べましたが、LEPS2 では一秒あたり 300GB ものデー タを収集する予定です。これを SPring-8 から当センターへ転送するとなると、約 3Gbps の帯域が必要になります ので、ネットワーク環境もより強化しなくてはなりません。そういう意味では、今後の SINET の発展と支援にも大 いに期待しています。

LEPS2 が動き出す日が楽しみですね。最後に今後の抱負を伺えますか。

中野氏:ネットワークや IT 技術の進歩によって、原子核物理の実験スタイルは大きく変わりました。ディスクや計算 機などの資源が高価で貴重だった時代には、測定対象を上手に絞り込むことが実験家の腕とされていました。しか し現在では、とにかく大量のデータを収集し、解析するスタイルに変わっています。我々も LEPS や LEPS2 ででき る限り詳細なデータを蓄積し、クォークの世界で何が起きているのかを見逃さないようにしたいと考えています。

ありがとうございました。

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