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推 奨

金属ソケットにセラミックライナーを嵌合させたセラミックオンセラミック THA の最短 10 年の長期成績は概ね良好である(Grade C:合意率 96%).

解 説

人工股関節全置換術(THA)の摺動面におけるセラミックの利点としては,表 面を平滑に加工できること,硬性が高く,セメント粉や金属粉などの third body による傷が生じにくいことなどが挙げられる.また,セラミックの摩耗粉に対す る炎症細胞反応は乏しいとされている.これらの点から,セラミックを使用する ことにより,摩耗の軽減や骨溶解の抑制,さらには THA の長期耐用性の向上が期 待されている.1970 年フランスで Boutin により THA に臨床使用されたことから 始まり,初期にはセラミック一体型(モノブロック型)ソケットがセメント非使用 またはセメント使用で固定されていた.しかしモノブロック型では初期固定性が 不良であるとする臨床結果もみられ1),現在では金属ソケットにセラミックライ ナーを嵌合させたソケットの使用が多い.金属ソケットに対するセラミックライ ナーの固定法については,セラミック直接嵌合型や金属ライナー介在型があり,

骨溶解はほとんどみられず術後最短 10 年以上の良好な長期成績が報告されてい る 2-5)

セラミック摺動面材料を使用する際の重要な合併症はセラミック破損である が,1980 年代後半以後セラミック材料(粒子径,純度)や骨頭形状の改良,適切な テーパー嵌合手技などの認識の普及に伴い,セラミック骨頭は概ね 0.1%以下の低 い破損率が報告されるようになっている.セラミックオンセラミック(CoC)関節 摺動面の摩耗軽減効果に関しては,摘出されたインプラントの解析により摩耗量 が抑制されていることは報告されている.特有の合併症として異音(squeaking)

が挙げられ,メタ解析では 2 ~ 4%の発生頻度で必ずしも再置換術の必要性と関 連しないと報告されている7, 8)

なおポリエチレンライナーを介在させた CoC THA では,セメント非使用・セメ ント使用にかかわらず,セラミックライナーの破損・脱転が報告されており 9, 10),現 在ではポリエチレン介在型は市販されていない.最近ではアルミナセラミックに ジルコニアを添加し強度を高めたセラミックが使用されている.

サイエンティフィックステートメント

●金属ソケットにセラミックライナー嵌合型の CoC THA の術後 10 ~ 14 年の良好 な成績を示す中等度のエビデンスがある2-4)

●CoC THA の合併症として,セラミック破損や異音が挙げられる.骨頭の破損は

0.1%以下,セラミックライナー嵌合型でのライナーの破損は 0.5%程度で1-6),異音 の発生は 2 ~ 4%であるが必ずしも再置換術の必要性と関連しないとする質の高 いエビデンスがある7, 8)

●ポリエチレンライナーを介在させたアルミナセラミックを用いた CoC THA でセ ラミックライナーの破損・脱転および骨頭破損のリスクが高いとする中等度のエ ビデンスがある9, 10)

エビデンス

●Mittelmeier ceramic prosthesis を用いたセメント非使用 THA 188 例 220 関節の術 後平均 19.6 年(12.3 ~ 26.7 年)の成績について,再置換をエンドポイントとした累 積生存率は 86.4%で,再置換施行例は 16 関節であった.異音や感染を呈した例は なかった(H2F00921,

EV level Ⅳ).

●Trident acetabular system にチタンスリーブを介してセラミックライナーを嵌合 する CoC THA 137 例 146 関節の術後平均 10 年(10 ~ 11 年)の成績について,再 置換をエンドポイントとした累積生存率は 97%で,再置換施行例は 6 関節(3.7%)

であった.骨溶解を呈した例はなく,異音を 2 関節(1%)に,セラミックインサー ト破損を 1 関節(0.5%)に認めた(H2F00913,

EV level Ⅳ).

●ANCA acetabular system にセラミックライナーを直接嵌合する CoC THA 87 例 100 関節の術後平均 12.4 年(11 ~ 14 年)の成績について,再置換をエンドポイ ントとした累積生存率はソケット 97.9%,ステム 97.8%,両方 95.7%で,再置換 術は非感染性弛みによりソケット 1 関節,ステム 2 関節に施行された.術後後方 脱臼 1 関節,異音 1 関節,clicking 1 関節を認め,骨溶解を呈した症例はなかった

(H2F00936,

EV level Ⅳ).

●Secur-Fit または Secur-Fit Plus stem と Trident acetabular system にセラミック ライナーを直接嵌合する CoC THA 227 例 244 関節の術後平均 10.9 年(10.1 ~ 12.8 年)の成績について,再置換をエンドポイントとした累積生存率は 98%で,再置換 術は 9 関節に施行され,その内訳は大腿骨骨折 4 関節,ステムの非感染性弛み 1 関 節,神経麻痺に対する大腿骨短縮 1 関節,腸腰筋炎 3 関節であった.寛骨臼側の骨 溶解を 1 関節,異音を 1 関節に認めた(H2F00949,

EV level Ⅳ).

●Alumina ceramic bearing design(ABC)を用いたセラミックライナーを直接嵌 合する CoC THA をメタルオンポリエチレン(MoP)THA と比較した.CoC-ABC system I(73関節),CoC-ABC systemⅡ(71関節),MoP-ABC systemⅢ(72関節)

の術後平均 10.3 年(10 ~ 12.4 年)の成績について,再置換をエンドポイントとし た累積生存率は各々 97.9,95.2,91.3%であった.骨溶解は CoC 群で 0 関節,MoP 群で大腿骨側 14 関節・寛骨臼側 2 関節であった(H2C00043,

EV level Ⅲ).

●BICON-PLUS acetabular cup と SL-PLUS femoral stem を用いて摺動面がメタル オンメタル(MoM)群(68 例 69 関節),MoP 群(199 例 200 関節),CoC 群(202 例 218関節)の異なる3群で術後平均8.5年(6.9~10.5年)の成績を比較した.MoM群,

CoC 群ともポリエチレンが介在するライナーで骨頭はすべて 28 mm 径を用いた.

累積生存率は再置換をエンドポイントとした場合,MoP 群 98.4%,CoC 群 95.6%,

MoM 群 87.9%と有意に MoM 群が悪かった(p = 0.005).CoC 群は有意に MoM 群 よりも術後 10 年時累積生存率は高かったが,CoC 群,MoM 群ともに MoP 群より

外科学会によるメタ解析では,異音の頻度は 4.2%,異音に対する再置換術の頻度 は 0.2%であった.Accolade femoral stem での頻度は 8.3%(n = 242/2,924)で他 のステム(n = 193/9,973)と比較して有意に高かった(p < 0.001)(H2F00928,

EV level Ia).

●CoC THA 後の異音に関する 12 研究 6,137 例を対象としたメタ解析では,異音は 150 例で発生し,有意な患者因子として body mass index(BMI)が挙げられ(p = 0.03),年齢,性別,身長,体重,片側・両側の別は関連がなかった.またインプラ ントでは Accolade femoral stem(beta titanium)が挙げられ(p < 0.0001),ソケッ ト設置角度は関連がなかった(H2F00935,

EV level Ia).

●ポリエチレンバックのセラミックインレータイプを用いたセメント固定 CoC THA 67 例 72 関節の術後平均 6.7 年(5 ~ 8.3 年)の成績調査において,セラミック 摺動面の failure を 4 関節(5.6%,破損 3,分離 1)で認めた.術後 6.8 年時の累積生 存率は,アルミナの failure に対する再置換をエンドポイントとした場合 94.4%,

すべての再置換術を終点とした場合 90.7%であった(H2F00905,

EV level Ⅳ).

●ポリエチレンバックのセラミックインレータイプを用いた,セメント非使用 CoC THA 163例196関節の術後平均11.4年(11 ~ 13年)の成績調査において,セラミッ ク摺動面の failure を 50 関節(17.6%)に認め,その内訳はポリエチレン脱転 29 関 節,セラミックライナー破損・脱転 20 関節,セラミック骨頭破損 1 関節であった.

術後 11.4 年時の累積生存率は,すべての再置換をエンドポイントとした場合 68%

で,58 関節に再置換術が施行されていた(H2F00943,

EV level Ⅳ).

文 献

1)

H2F00921

Synder M, Drobniewski M, Sibinski M:Long-term results of cementless hip arthroplasty with ceramic-on-ceramic articulation. Int Orthop 2012;36:

2225-9

2)

H2F00913

D’Antonio JA, Capello WN, Naughton M:High survivorship with a titanium-encased alumina ceramic bearing for total hip arthroplasty. Clin Orthop Relat Res 2014;(472):611-6

3)

H2F00936

Sugano N, Takao M, Sakai T et al:Eleven- to 14-year follow-up results of cementless total hip arthroplasty using a third-generation alumina ceramic-on-ceramic bearing. J Arthroplasty 2012:27(5):736-41

4)

H2F00949

Yeung E, Thornton P, Chana R et al:Mid-term results of third-generation alumina-on-alumina ceramic bearings in cementless total hip arthroplasty. A ten-year minimum follow-up. J Bone Joint Surg Am 2012;94(1):138-44 5)

H2C00043

D’Antonio JA, Capello WN, Naughton M:Ceramic bearings for total hip

arthroplasty have high survivorship at 10 years. Clin Orthop Relat Res 2012;(470):373-81

6)

H2F00951

Milosev I, Kowac S, Trebse R et al:Comparison of te-year survivorship of hip prostheses with use of conventional polyethylene, metal-on-metal, of ceramic-on-ceramic bearings. J Bone Joint Surg Am 2012;94:1756-63 7)

H2F00928

Owen DH, Russell NC, Smith PN et al:An estimation of the incidence of

squeaking and revision surgery for squeaking in ceramic-on-ceramic total hip

replacement. A meta-analysis and report from the Australian orthopaedic association national joint registry. Bone Joint J 2014:96(1):181-7

8)

H2F00935

Stanat SJC, Capozzi JD:Squeaking in third- and fourth-generation ceramic-on-ceramic total hip arthroplasty. Meta-analysis and systematic review. J Arthroplasty 2012:27(3):445-53

9)

H2F00905

Iwakiri K, Iwaki H, Minoda Y, et al:Alumina inlay failure in cemented polyethylene-backed total hip arthroplasty. Clin Orthop Relat Res 2008;(466): 1186-92

10)

H2F00943

Kawano S, Sonohata M, Shimazaki T et al:Failure analysis of alumina on alumina total hip arthroplasty with a layered acetabular component.

Minimum ten-year follow-up study. J Arthroplasty 2013:28:1822-7

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