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Clinical Question

推 奨

臥位に比べ立位で関節裂隙幅の狭小化が明らかとなる症例が存在するため,立 位 X 線撮影は病期や治療方針の決定に有用である(Grade C:合意率 70%).

解 説

変形性股関節症(股関節症)の重症度(病期)評価は,欧米においてもわが国に おいても主に X 線検査でなされてきた.股関節 X 線像から得られる一般的なパラ メータとして,骨棘,骨硬化像,骨嚢胞の出現,そして関節裂隙狭小化が挙げられ る.これらのうち,X 線所見から股関節症ありと診断する基準として欧米で広く用 いられているのは,実際に最小関節裂隙幅(minimal joint space:MJS)を計測しそ のカットオフ値で判断する定量的評価法と,Kellgren and Lawrence grade(K/Lグ レード)またはその修正分類であるCroft グレードなどのように関節裂隙狭小化,骨 棘,骨硬化像,骨嚢胞の有無で判断する包括的評価法である.これらの評価法につ いてはそれぞれの優劣を検証した論文があり,機能障害との相関が比較的高く,検 者間での再現性も高いとされるのが MJS であるとするエビデンスが複数ある1, 2)

荷重関節である股関節の関節裂隙幅を評価するにあたり,撮影した X 線像が臥 位の非荷重条件で撮影されたものか,立位の荷重下で撮影されたものかによりそ の値に差が生じる可能性がある.この点に関して,立位と臥位の測定値に差がな いとする報告もあるが3, 4),寛骨臼形成不全の程度が強い症例,股関節症病期が進 行している症例では立位で関節裂隙幅が明らかに減少していたというエビデンス が複数あり5-9),寛骨臼形成不全に由来する二次性股関節症が多いわが国におい て,関節温存術の適応を検討する際の病期の判定には,臥位での撮影に加え立位 荷重下での関節裂隙幅の評価を加味することが推奨される.

サイエンティフィックステートメント

●関節裂隙幅の測定値が立位と臥位において有意差がないとするエビデンスがあ

3, 4)一方で,寛骨臼形成不全の程度が強い症例,股関節症病期が進行している症

例で臥位に比べて立位で関節裂隙幅が明らかに減少していたというエビデンスが 複数ある5-9)

エビデンス

●股関節症の有無にかかわらず集計された患者の 116 関節で立位と臥位での関節裂 隙幅を比較.立位での関節裂隙幅は臥位に比べ平均で 4.1%大きく,このうち股関 節症ありと診断した 46 関節では立位での関節裂隙幅は臥位に比べ平均で 7.1%大 きかった.しかし,この変化量は正常変化内であり関節症の進行に関わるほどの

臼形成不全股といわゆる正常股で立位と臥位での各種 X 線パラメータを比較検討 した報告では,関節裂隙幅に有意な差は認められなかった(H2F00368,

EV level C-Ⅱ).

●有症状の股関節症で骨盤 X 線撮影を施行した 57 関節と疼痛を認める股関節症で股 関節 X 線撮影を施行した 28 関節に対して,正常股と股関節症罹患股の立位,臥位 の関節裂隙幅をコンピュータ画像解析装置で計測.正常股では立位と臥位の関節 裂隙幅に差は認められないが,MJS 2.5 mm 以下をカットオフ値とした股関節症罹 患例では立位で関節裂隙幅が明らかに減少していた(HF11535,

EV level C-Ⅱ).

●股関節症患者の 101 関節に対し,臥位と立位で股関節 X 線撮影を行った.主に関 節裂隙幅に注目し,病期を初期,進行前期,進行後期,末期の 4 段階に分類する方 法を用いたところ,101 関節中 14 関節(13.9%)に臥位から立位で病期の重症化を 認め,特に進行期で変化する頻度が高かった.また,寬骨臼形成不全の程度,骨頭 変形の程度が強い症例ほど,立位で病期が悪化する傾向にあった(HJ10509,

EV level C-Ⅲ).

●大腿骨頭すべり症に対する治療歴を有する股関節症 108 例 151 関節を対象に,初期 治療から平均 32 年経過した観察時に立位と臥位で関節裂隙幅を比較検討.関節裂 隙幅は立位において臥位に比べ有意に小さく,臥位で正常と判断された 117 関節 中 12 関節(10.2%)で明らかな関節裂隙幅の狭小化を認めた(HF10125,

EV level C-Ⅲ).

●DDH と診断され closed reduction のみで治療された患者 61 例 71 関節を対象に,

平均 44 年(15 ~ 64.3 年)経過した最終観察時における股関節 X 線正面像における acetabular roof obliquity(AC 角 ),depth of the acetabulum(AMC 角 ),CE 角,

MJS を計測.AC 角は立位において臥位に比べて有意に大きく,CE 角,MJS は立 位において臥位と比べて有意に小さかった(H2F00264,

EV level C-Ⅱ).

●DDH に伴う二次性股関節症の Crowe 分類 type 1 に分類された 162 例 231 関節に おいて,股関節 X 線立位と臥位正面像における関節裂隙幅を比較検討.立位は臥 位より平均 23%小さい値であり,231 関節中 58 関節(25.1%)に臥位から立位で関 節裂隙幅の狭小化を認めた(H2F00360,

EV Level C-Ib).

文 献

1)

HF10207

Ingvarsson T, Hagglund G, Lindberg H et al:Assessment of primary hip osteoarthritis:comparison of radiographic methods using colon radiographs.

Ann Rheum Dis 2000;59(8):650-3

2)

HF10117

Jacobsen S, Sonne-Holm S, Soballe K et al:Radiographic case definitions and prevalence of osteoarthrosis of the hip:a survey of 4151 subjects in the Osteoarthritis Substudy of the Copenhagen City Heart Study. Acta Orthop Scand 2004;75(6):713-20

3)

HF10199

Auleley GR, Rousselin B, Ayral X et al:Osteoarthritis of the hip:

agreement between joint space width measurements on standing and supine conventional radiographs. Ann Rgeum Di 1998;57(9):519-23

4)

H2F00368

Terjesen T, Gunderson RB:Reliability of radiographic parameters in adults

with hip dysplasia. Skeletal Radiol 2012;41(7):811-6

5)

HF11535

Conrozier T, Lequesne MG, Tron AM et al:The effects of position on the radiographic joint space in osteoarthritis of the hip. Osteoarthritis Cartilage 1997;5(1):17-22

6)

HJ10509

川原奈津美,岡野邦彦,榎本寛ほか:立位 X 線像において病期変化を生じた変

形性股関節症の検討.Hip Joint 2004;30:145-9

7)

HF10125

Hansson G, Jerre R, Sanders M et al:Radiographic assessment of coxarthrosis following slipped capital femoral epiphysis. A 32-year follow-up study of 151 hips. Acta Radiol 1993;34:117-23

8)

H2F00264

Fuchs-Winkelmann S, Peterlein CD, Tibesku CO et al:Comparison of pelvic radiographs in weightbearing and supine positions. Clin Orthop Relat Res 2008;466(4):809-12

9)

H2F00360

Okano K, Kawahara N, Chiba K et al:Radiographic joint space width in patients with Crowe Type-I dysplastic hips. Clin Orthop Relat Res 2008;466

(9):2209-16

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