• 検索結果がありません。

欧州委員会と国際会計基準との同等性評価

第4章  ストック・オプション会計基準の国際的収数における相違点

第3節  欧州委員会と国際会計基準との同等性評価

以上、IFRS2,SFAS123(R)および日本基準におけるストック・オプション会計基準に

223 驪ニ会計基準委員会[2005c1,60項。

224 驪ニ会計基準委員会[2005c1,61項。

225 驪ニ会計基準委員会[2005c1,62項。

226 驪ニ会計基準委員会[2005c1,63項。

227

おける相違点を整理した。ここで、日本基準がストック・オプションの費用計上を義務付 けるに至った背景の一つとして、「2009年問題」を述べる。

 これまで日本企業が欧州市場で資金調達する場合、日本基準により作成された財務諸表 でも認められていたが、2009年以降は、ECによる同等性評価の結果により必要とされれ ぱ、日本企業に国際会計基準による財務諸表の作成または追加開示が要求されることとさ れた。これが「2009年問題」である。

 そのため、2005年7月にECから委任を受けた欧州証券規制当局委員会(The Committee ofEuropeanSecuritiesRegu1ators:以下、CESR)が、日本基準と国際会計基準との同等 性に関する検討を行い、ECに向けて「第三国の会計基準の同等性及び第三国の財務情報の エンフォースメント・メカニズムの説明に関する技術的助言(Technica1Aavice on

Equiva1ence ofCertain Third−Country GAAP and−on Description ofCertain Third

CountriesMechanismsofEnbrcementofFinancia1In危rmation)228」を公表した。

 このような国際的状況を背景として、日本においてもCESRによる同等性評価を見据え て早期にストック・オプション会計基準を設定する必要性が生じ、2004年12月に企業会 計基準公開草案第3号「ストック・オプション等に関する会計基準(案)(以下、公開草案 第3号)」が公表されたのである。

 こうして、公開草案第3号がCESRの同等性評価の対象となり、以下の3点において日 本基準がIFRS2と異なることが指摘されたが、その補完措置としては、開示A、開示B229お

よび補完計算書とある中の開示Aにとどまった230。その3点とは、①権利行使までの間の ストック・オプションの貸方項目を負債の部と資本の部の中間項目として表示すること、

②現金決済型の取引を扱っていないこと、③未公開企業の特例として本源的価値による測 定が容認されていること、である。

 なお、このうち①については、最終的に確定した日本基準では、負債の部と資本の部の 中間項目ではなく、純資産の部の株主資本以外の項目として表示することとされており、

差異が解消されている。

 ストック・オプション会計基準に関する経緯を要約して示したのが図表4−1である。

228 ?狽狽吹F〃wwwcesr−eu.org/data/document/05_230b.pdf

229 ? p:〃www色孔gojp/inter/etc件20050708−1/02.pdf(金融庁によるCESRの技術的助言 のポイント)。開示Aとは、質的開示および(または)数量開示のことをいう。たと えば、①取引、事象および処理方法に関する説明、②取引、事象の認識および測定に 際して使用した仮定、評価方法の説明、③資産の公正価値情報(日本基準で開示いて いない場合)である。一方、開示Bとは、取引・事象の影響に関する数量開示のこと をいう。たとえば、利益または株主資本に関する日本基準の金額との差異についての、

税効果考慮前および考慮後の数値の開示である。

230 ? p:〃wwwasb.orjp/html/intemationa1_issue/convergence/convergence_20060131.pdf(詳

しくはASBJによる「日本基準と国際会計基準とのコンパージェンスヘの取組みにつ いて一CESRの同等性評価に関する技術的助言を踏まえて一」)。

      93

図表4−1 ストック・オプション会計基準設定までの経緯      (日本基準と国際会計基準を中心に)

年月 主体 基準設定の経緯

2000年7月 G4+1 討議資料「株式報酬の会計処理」

2002年6月

ASBJ

ストック・オプション専門委員会検討開始 2002年8月 金融庁 「証券市場の改革促進プログラム」

2002年11月 IASB ED2「株式報酬」

2002年12月

ASBJ

「ストック・オプション会計に係る論点整理」公表 2004年2月 IASB lFRS2「株式報酬」

2004年12月

ASBJ

企業会計基準公開車案第3号rストック・オプソヨン等に 関する会計基準(案)」

2004年9月

ASBJ

ワーキング・グループ討議資料「財務会計の概念フレーム

ワーク」

2005年7月 EC/CESR r第三国の会計基準の同等生及び第二国の財務情報の エンフォースメント1メカニズムの説明に関する技術的助言」

企業会計基準公開草案第11号「ストック・オプソヨン等に 2005年10月

ASBJ

関する会計基準(案)」、企業会計基準適用指針第14号

「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針(案)」

企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表不に 関する会計基準」

2005年12月

ASBJ

企業会計基準第8号rストック1オプション等に関する会計 基準」、企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション 等に関する会計基準の適用指針」

第4節おわりに

 本章では、IFRS2,SFAS123(R)そして日本基準がストック・オプションの費用認識を 義務付ける方向で収敏に至ったが、未だ多くの点で相違点があることを確認した。費用計 上を行うという大枠での統一は果たされたものの、未だこれら取り扱いが異なる点がある

ことから、今後会計基準のアドプションを目指すうえでさらなる問題が生じることは明ら

かである。

 現在、IFRS2,SFAS123(R)、そして日本基準が起用された財務諸表が開示されている が、会計処理による差が各国基準の間でどの程度生じているのか、またそれにより企業経 営にどのような影響が出るのか等十分に検討し、アドプションを目指すうえで最善の処理 を慎重に選択する必要があり、今後も各国基準について議論の余地がある。