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方法論

ドキュメント内 博士学位論文(東京外国語大学) (ページ 85-88)

3. 両接辞による新語的派生名詞

3.2. 方法論

本節では分析対象として扱う新語的派生語の収集法を紹介する。

2 同種の、新語を分析対象とした研究にはPlag (1998), Heinold (2010)などがある。

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3.2.1. 新語辞書からの抽出

2016年現在、複数のスペイン語新語辞書が出版、あるいはオンラインで公開されている。

本研究ではそうした資料体から -dor および -nte 接辞による派生名詞を抽出し分析対象と した。

ポンペウファブラ大学を拠点とする研究グループ、Observatori de Neologia がオンライン で公開している新語辞書、Diccionario de neologismos on line は本研究における新語データの 主要な供給源の一つである。

このオンライン辞書にはおよそ 4000 の新語が語義、用例とともに収録されている。収録 されている新語は 1989 年から 2007 年の間に、主に出版物で観察されたものである。

ウェブページ、Centro Virtual Cervantes 内で公開されている Banco de neologismos からも 新語的派生語を収集した。このデータベースには様々な資料体から収集された新語が収録 されている。第一に、このデータベースには前節で紹介した Observatori de Neologiaの提供 する資料、ILUA から抽出された新語が含まれている。収集の対象となった資料は1988年 以降に作成されたものである。こちらの資料体には出版物だけでなく口語データも含まれ ている。また、Observatori de Neologia による資料体だけでなく、様々な研究グループによ る資料に依拠しているという点も、このデータベースの特徴である。この資料体はラテンア メリカ諸国の大学3による共同プロジェクト、Antenas Neológicas、そしてスペイン各地の大 学4による研究プロジェクト NEOROC のデータに基づく。上述の資料体を網羅する Banco de neologismos であるが、Diccionario de neologismos online とは異なり、各新語の語義は掲 載されておらず、用例および分類上のタグが付加されているのみである。従って、このデー タベースから収集した新語の語義は、掲載されている用例、および、コーパスから収集され る実例をもとに、筆者が判断した。

現在に至るまでに、スペイン語の新語資料としてオンライン上のデータベースだけでな く、紙媒体の辞書も出版されている。そうした辞書にはたとえば、María Moliner Neologismos

del español actual がある。本研究では、2013 年に出版されたこの辞書からも分析対象とな

る新語的派生名詞を抽出している。この辞書に収録されている新語は 1990 年から 2013 年の間に、主に書き言葉から収集されたものである。この辞書の特徴としては、高度に専門 的な用語や使用の著しく限定されている俗語等は除外されており5、一般的な文脈で用いら れる語が中心にとりあげられているという点が挙げられる。

Everest 社から出版されている Diccionario de neologismos も、紙媒体の新語辞書である。

こちらの辞書は前節で紹介したものとは異なり、インターネット等における口語的な新語

3 アルゼンチン、チリ、コロンビア、キューバ、メキシコ、ペルー、ウルグアイ。

4 アリカンテ、カディス、マラガ、ムルシア、パイス・バスコ、サラマンカ、バレンシア。

5 Por otra parte, se centra en lo que suele llamarse «lengua general» o «lengua estándar», una abstracción metodológica que excluye el lenguaje estrictamente especializado de la ciencia o la técnica, o el de registros muy limitados (jergas, coloquialismos restringidos, etc.). María Moliner Neologismos del español actual: p9.

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3.2.2. コーパスからの収集 -Hapax Legomenon-

既に紹介した新語辞書以外にも、今回の調査ではコーパスからも新語の収集を行った。新 語は Corpus del español 内の Hapax Legomenon (以下、hapax)から抽出した。Hapax とは とある資料体において、一度しか現れない語を指す。Hapaxはその出現頻度の低さから、新 語である可能性が高いと考えられている。例えば Plag et al (1999) では以下のように述べら れている。

The third important measure is the number of words of the given category that occur only once in the corpus (socalled hapax legomena, or hapaxes for short), which can be interpreted as an indication of how often a suffix is used to coin a hitherto unattested word, i.e., a neologism.

(Plag et al. 1999: 220)

確かに、Plag らの述べるように、Hapax の出現頻度の低さは、語の新しさを示唆するも のである。しかしながらある語の出現頻度が著しく低いということは、その語が古くから使 用されていたものの、時代の経過とともに出現頻度の限定されたものであること、いわば死 語の予備軍であることを示している可能性もある。語の出現頻度の低さは必ずしもその語 が新しいものであることを意味するわけではない。

そこで本研究では、収集した Hapax は全て、Google Books Ngram Viewer 、およびコーパ ス、 CORDE を用いて実際に新語的であるか否かを検討した。いずれも、語の歴史的分析 に特化したものであり、ある語、句の年代毎の使用頻度の推移が得られる。本研究では 20 世紀以降に最初の使用の確認された語を新語として扱う。これはKawaletz & Plag (2015) を 踏襲したものである。

3.2.3. 派生語の作成

これまでに紹介した新語辞書・データベースには新語的な -dor/-nte による派生名詞だけ でなく、新語的な動詞も収録されている。そしてこうした新語的な動詞からを語根とする、

両接辞による派生名詞もまた、同様に新語的であると考えられるだろう。そこで本研究では、

分析対象となる新語的派生名詞をより広く収集するために、Diccionario de neologismos online 内の新語動詞に両接辞を付加し、上述の新語辞書に記載のない派生名詞を「作成」した。こ うして作成した派生名詞はコーパス、es TenTen で分析を行った6。10 以上の名詞としての 用例が確認されたものを分析対象として加えた。

6 2017 年時点では最も規模の大きいコーパスであり、また、WEB 上のテキストが基になっていることか

ら新語の分析に最適であると判断した。

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