3. 両接辞による新語的派生名詞
3.5. 同語根ペアの分析
3.5.2. 意味の差の確認されなかったペア
今回観察したペアには、同義的であると考えられるものも観察されている。その多くは、
いずれの派生名詞も非使役的動作主、ないし原因にあたる対象を表すというものであった。
このことは仮説から予想されており、この結果は仮説の妥当性を補強するものであるとい える。
「 支 援 を す る 」 と い う 動 作 を 表 す 動 詞 、auspiciar を 語 根 と す る 派 生 名 詞 の ペ ア
auspiciador/auspiciante は高く同義的であるように思われる。いずれの名詞も「支援者」を表
す。
(45) Puede hablarse Lostau como el principal auspiciador de la consolidación de la Universidad
dor nte
convocar (特定の)招集人 招集をする団体
cotizar 支払人 インターネット上の支払いフォーム 支払人
acondicionar リンス、エアコン リンス
referenciar 報告者、言及する人物 報告者、宛先人、参照先
tensionar 張力を与える道具 物事を緊張状態に置く要因
descongestionar 点鼻薬、搾乳機 点鼻薬
remontar リフト、糸巻き 総額
dialogar 対話を建設的に進める人物 対話の参加者
descailificar 審判、反則 反則
movilizar 運動、イベントを促進する人物、マッサー
ジ器 物事に流動性を与える要因
envejecer 画像をセピア調にするソフトウェア 老人
minimizar 最小限に抑える人物、要因 最小限に抑える要因
reemplazar 置換ソフト 代役
distorsionar ディストーションエフェクター 歪みを生じさせる要因
descongelar オーブンなどの解凍装置 凍結防止剤
defoliar 葉にダメージを与える虫、枯葉剤 枯葉剤
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en su primer tercio de siglo, consiguiendo aumentar notablemente el claustro de profesores y consolidar los estudios impartidos en Murcia, en un tiempo en el que la existencia de esta Universidad fue duramente cuestionada por muchos.
(46) Desde hace varios años que Entel PCS es auspiciante oficial del fútbol de Chile y su selección.
この同義性も仮説により説明可能であると考える。つまり、動詞 auspiciar は使役性を持 たない動詞であり、その外項は非使役的動作主であるといえるだろう。そして非使役的動作 主は編入の可否を左右すると考えられる二種類の意味的素性についてはコントロールが陽 性、使役性が陰性となる。両接辞はこの値の組み合わせをとる対象を編入することを妨げら れておらず、「支援者」を指す二種類の派生名詞が形成されたのだと説明することができる だろう。
動詞 saborizar (味をつける) からなる派生名詞のペア saborizador/saborizante の間にも同 義性が認められる。いずれの名詞も、「調味料」や「食品添加物」という原因相当の物質を 表す。このことも、こうした対象はコントロールと使役性という素性について、後者のみ陽 性であることから、この同義性も仮説から説明可能である。
(47) Colocar las fugazzetas en horno moderado hasta que se comiencen a dorar. Mezclar el saborizador Napolitano Knorr® con el agua, dejar reposar 1 minuto y agregar el aceite.
(48) El glutamato monosódico es quizá el saborizante más conocido.
es TenTen における両者の生起の回数は、saborizador が 77 回、saborizante が 1257 回と 大きな開きがあった。この出現頻度の差もこれまでに得られた知見から十分に説明するこ とができる。現代の両接辞を用いた派生のプロセスにおいては、両接辞は原因相当の対象を 編入することができる。しかしながら、-dor にとっては、原因相当の対象の編入はあくまで も副次的な機能であり、その典型的な機能、用法は使役的動作主や道具といった高い動作主 性を持つ対象の編入である。一方の -nte であるが、その典型的な機能は原因にあたる対象 を編入することであることがこれまでの分析で判明している。逆に言えばこの同語根ペア もまた、-nte が現代においては原因相当の対象を編入することに特化した接辞であること を裏付けるものである。
revitalizar(「活性化させる」)から派生した名詞のペア、revitalizador/revitalizante において も同種の同義性が観察された。いずれも以下に見られるように、活性化させる原因を表して いる。
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(49) También nos debemos alegrar que la administración reduzca costes de formalización y modificación de las hipotecas, aunque esta sea en menor medida de la pudiera servir como revitalizador del mercado inmobiliario, su objetivo parece claro, que los propietarios ya endeudados puedan seguir pagando la hipoteca, aunque ello nos pueda llevar a una situación ciertamente preocupante y es el alto endeudamiento que soporta la vivienda a través de la hipoteca, cuando una parte, cada vez más significativa no corresponde a su compra.
(50) Producto natural con alto contenido en proteínas, vitaminas del grupo A, B y C, así como
sales minerales. Propiedades: Ayuda a mejorar la memoria. Actúa como regulador intestinal.
Mejora la digestión de los alimentos. Es un revitalizante que contribuye a recuperar la energía perdida y a superar etapas de cansancio.
この同義性も、その語彙意味論的性質から想定の範囲内といえる。
「 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 掲 示 板 に 意 見 を 投 稿 す る 」 と い う 動 作 を 語 根 と す る
posteador/posteante というペアに観察される同義性は仮説から体系的な説明を与えることが
困難である。つまり、両派生語は先述の通り、「投稿する人物」という使役的動作主を表す。
-nte がこうした対象を編入することは仮説からは予測不可能である。
しかしながら、こちらも先述の通り、このペアにおいては前者の使用頻度は後者に比べ圧 倒的に高く、posteante の使用はごくごく一部の話者に限られている17。それゆえに、この同 義性の説明が困難であることは、仮説の妥当性を脅かすものであるとはいえないだろう。
(51) Soy un nuevo posteador en este foro y me he apuntado para ayudaros en cualquier duda y
añadir cosas que hacer a nuestro mini plus.
(52) Mi caso es parecido al anterior posteante , pero mi caso es peor, yo firmé el nuevo contrato con Axa, sin saber muy bien qué firmaba, pues estaba y sigo enferma, firmé por presiones.
前章で述べたように、-izar 接尾辞による動詞は厳密な分類上、形態的使役動詞とされる が、こうした動詞を本稿では語彙的使役動詞として扱っている。いずれにせよ、こうした
-izar 接辞による動詞の主語は基本的に目的語を語根相当の対象、状態に変化させるもので
あると考えられる。この観点からいえば、動詞simbolizar はその他の -izar 動詞に比べ、特 殊である。この動詞の語義は「主語が目的語相当の対象を象徴する」というものであり18、 目的語にあたる対象は特に何らかの変化を被らないためである。
17 cf. 3.4.1.
18 DRAEにもこの動詞の語義は“1. tr. Dicho de una cosa: Servir como símbolo de otra, representarla y explicarla por alguna relación o semejanza que hay entre ellas.” とある。
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そしてこの動詞から、20 世紀以降に両接辞によって二種類の派生名詞が形成された。今 回の分析では、いずれの派生名詞も、「何かを象徴・体現する人物、物」という非動作主お よび非使役的道具を表すこと、そして、それ以外の対象を表さないことが確認された。つま り、simbolizador と simbolizante は共に同義的であると考えられる。
-nte がこうした低い動作主性を有する対象を編入し、simbolizante という派生名詞を形成
することは仮説から説明可能であると思われるが、同種の対象を表す simbolizador という 派生名詞の存在は仮説への反例となる。しかしながら、前者の使用頻度は後者のそれに比べ 高く、後者の使用は限定的であり19、この点は -nte の方がこうした低い動作主性の対象を 編入するのに適切な接辞であるとする仮説から説明されるだろう。
このように、新語的な派生名詞のペアには同義的なものもある。そしてこの同義性は、語 根動詞が活動動詞であるケース、または主語に原因以外の対象をほとんどとらない場合に 生じるようである。活動動詞の主語は基本的に非使役的動作主であるが、このタイプの対象 は原因同様、両接辞によって編入されうる。従って、こうした動詞には両接辞が付加され、
かつ、派生名詞が同義的になるのだと考えられる。そしてこうした同義的ペアの存在もまた、
これまでに提示してきた仮説から予測されるものであり、従って、その妥当性を裏付けるも のであるといえるだろう。今回分析した 24 種類のペアの内、8 のペアでこうした同義性が 観察された。当該の 8 ペアを以下の表にまとめた。
表 5. 同義的な新語的派生名詞のペア