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第 9 章  主要投資インセンティブ(奨励ゾー

7.  高架鉄道(BTS)・地下鉄

タイでは、首都のバンコク近郊に人口が集中し、バンコクにおける自動車中心の交通シ ステムが、長年に亘る深刻な交通渋滞と自動車の排ガスによる大気汚染の原因となってい る。こうした交通渋滞・大気汚染の問題緩和を目的に、バンコクで自動車に代わる交通手 段として誕生したのが、高架鉄道(BTS、通称:スカイトレイン)と地下鉄(MRT)であ る。BTS は東西に、地下鉄は南北に延びており、スクムビットで交差してバンコク市内を カバーしている。

タイ政府は、今後の同国の都市型鉄道網について、Mass Rapid Transit Master Plan in Bangkok Metropolitan Region(2010〜2029)に沿って、12路線(495 km)の構築を計 画している。同マスタープランでは、2006年11月閣議決定によって既に承認されている、

レッド、パープル、ブルー、グリーン(2路線延長)ラインの計5路線の建設を優先的に実 施する予定となっている。

①BTS:

  BTSは、1999年12月5日に開通した高架式の鉄道である。現在、スクムビット線(モ チット〜オンヌット)、及びシーロム線(ナショナルスタジアム〜ウオンウィアンヤイ)の 2路線(総距離 25.7km)が運行している。初乗りは15バーツで、距離に応じて5バーツ 刻みで加算。最高40バーツ。列車は3両編成で6時〜24時まで運行している。

  2009年にシーロム線のサパンタクシン〜ウオンウィアンヤイの拡張工事が完了し、同年 8月から運行を開始している。2011年2月時点では、スクムビット線のオンヌットからベ アリング駅までの拡張工事が行われており、同年8月の正式開通を予定している。

②地下鉄(MRT):

  BTSに加えて、2004年7月3日にはタイで初となる地下鉄が開通した。現在は、フアラ ンポーンからバンスー駅(総距離20km)を結ぶ1路線が開通している。列車は3両編成で 6時〜24時まで運行している。初乗りは15バーツで、一駅ごとに1-2バーツが加算され、

最高39バーツである。

図表  20‑9  BTS、地下鉄の路線図 

     BTSスクムウィット線      BTSスクムウィット線          (建設中)

     BTSシーロム線      地下鉄 Bang Sue

Kamphaeng Phet Chatuchak Park

Phahon Yotin

Lat Phrao

Ratchadaphisek

Sutthisan

Huai Khwang

Thailand Cultural Centre

Phra Ram 9

Phetchaburi

Sukhumvit

Queen Sirikit

National Convention Centre Lumphini

Si Lom Sam Yan

Khlong Toei Hua Lamphong

Mo Chit

Saphan Khwai

Ari

Sanam Pao

Victory Monument

Phaya Thai Ratchathewi

Siam Chit LomPhloen Chit Nana

Asok

Phrom Phong Thong Lo

Ekkamai Phra Khanong

On Nut Bang Chak

Punnawithi Udom Suk Bang Na

Bearing Ratchadamri

Chong Nonsi Surasak Saphan Taksin Thon Buri Wongwian Yai

Sala Daeng National Stadium

(出所)Bangkok Mass Transit System Public Company Limitedより作成

ひとくちメモ (18):  タイのインフラ受注競争 

  タイ政府は、景気刺激策(Stimulus Package II)として、2010 年〜2012 年の 3 年間で鉄道整備、 

原子力発電所建設、代替エネルギー開発を含めた 3.7 兆円相当の投資を計画している。主要なプロジ  ェクトには、交通インフラ(約 1 兆 540 億円)、水道整備(約 6,470 億円)等が含まれる。新興国に  おけるインフラ受注競争が激化する中、タイのインフラ事業は日本企業にとって重要な商機となる。 

  しかし足下では、日本企業の苦戦が目立っている。例えば、下表は、2009 年に公示された交通イン  フラ建設事業である、「バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)I」(発注者:タイ高速度交  通公社(MRTA))の受注企業を示したものである。Section1 では、東急建設と Ch. Karnchang Public   Company Limited の合弁企業が落札しているものの、Section2、3 についてはいずれもタイ企業が受  注しており、日本企業は関与できなかった。 

                 

(注)日本の ODA 事業(円借款)として実施される事業。2008 年 3 月 31 日に調印され、借款金額        は 624 億 4,200 万円。青いシャドーで表示した企業が落札。 

事業名 応札企業名 応札額

(百万バーツ)

東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 16,725

Sino-Thai Engineering(タイ) 17,100

Italian Thai Development (タイ) 17,917

Sino-Thai Engineering(タイ) 15,320

東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 15,601 Italian Thai Development(タイ)/ 大林組 (日本)/

他1社(タイ) 16,351

Ascon Construction 他2社(タイ) 6,400

Italian Thai Development(タイ) 6,878

東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 7,637 竹中工務店 (日本)/竹中土木(日本)/Ritta (タイ) 8,810 バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)(I)

Section1

Section2

Section3

(出所)JICA

  タイの建設業界では、13 社が上場しており(2011 年 2 月現在)、イタリアン・タイディベロップメ  ント等の大手企業にいたっては、海外案件を多く受注することで順調に業績を伸ばしている。同社は  インド、ミャンマー等で業務実績を有しており、その他の企業についても、単独で事業を受注できる  実力を持っている。 

  日本企業については、交通、運輸面での技術力が高く評価されているものの、タイ地場企業に加え、 

中国企業のコスト競争力を前に苦戦を強いられている。実際に、レッドライン(バンスー〜タリンチ  ャン間)については、香港の Chun Wo Construction and Engineering がタイ企業(Unique    Engineering and Construction)との合弁で受注を果たしている。また、中国企業については高速道  路の調査団等を頻繁に派遣する等、公共事業獲得に向けた動きを活発化させ、意思決定も早い。これ  らのことも、日系企業の苦戦の一因となっているようだ。 

     

    BTSの券売機、窓口