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第 9 章  主要投資インセンティブ(奨励ゾー

9.  通    信

  タイの通信事業は、従来、タイ電話公社(旧TOT)とタイ通信公社(旧CAT)が、それ ぞれ国内・国際電話サービスおよび郵便事業を独占的に担ってきた。しかし、電気通信サ ービスの高度化・多様化により新たなサービス展開が可能となり、民間セクター(例えば、

TRUE(1990年発足、旧テレコムASIA)や TT&T(1992年発足))でも提供されるよう になり、それに併せてこれらの公的機関も民営化され、2002年にタイ電話会社(TOT)が、

便会社の発足に際して、国際電話、データ通信、携帯電話部門は分離独立させて、新たに 設立したCATテレコムが担うこととなった。 

 

(1) 電    話 

①固定電話   

固定電話の契約数は2006年をピークに微減傾向にあり、2009年時点の人口100人当た りの固定電話数は10.6件(日本は34.1件)である。官公庁や民間事業者のみならず一般家 庭にも固定電話が普及しているバンコク市内でみると、37.0 件と日本全体を上回る水準に ある。主な固定電話事業者は、市内・長距離・国際通話を扱うタイ電話会社(TOT)、バン コク市内をカバーするTRUE、バンコク以外をカバーするTT&Tの3社である。

通話料は、TOTの代表的な料金プラン(基本料金は月額100バーツ)の場合、バンコク 市内との通話は 1回当たり3バーツである。長距離電話については、距離や利用時間帯に 応じて1分当たり1〜9バーツの料金が課金される。他にもIP電話などの格安料金も扱っ ている。

国際電話は、ダイヤル直通とオペレーター通話(主要言語に対応)、コレクトコール等が ある。国際通信サービスを提供するCATを利用した場合、日本への通話料はダイヤル直通 で1分間20バーツ程度。ただし、インターネット国際電話(番号の前に009を加えてダイ ヤル)を利用すれば3分間21バーツで通話できるなど、格安のサービスもある28

②携帯電話

携帯電話の2009年時点の人口100人当たりの携帯電話契約数は97.3件(日本は91.5件)

で、固定電話をはるかに凌いでいる。主な携帯電話会社としては、AIS、DTAC、True Move 等があり、3社で契約件数の 9割以上を占めている。例えばAISの法人パッケージプラン の場合、月額使用料は299バーツで、AIS同士であれば23時〜17時であれば最初の1時 間は無料で通話できる。国際電話は東京まで1分間約 20 バーツ(AIN、CAT、TOT等の サービスを経由する必要がある)。通話可能エリアは地方部でも随時拡大している。なお、

各社とも料金プランは頻繁に変更されるため、事前に確認することが望ましい。 

 

28 JETRO「第20回アジアの主要都市・地域の投資関連コスト比較」より

図表  20‑13  タイの主要携帯電話会社 

事業者 システム 加入者数(万)

アドバンス・インフォ・サービス(AIS) NMT、GSM、W‑CDMA 2,790 トータル・アクセス・コミュニケーション(DTAC) AMPS、GSM、W‑CDMA 1,920

True Move GSM、W‑CDMA 1,525

Hutchinson CAT Wireless Multimedia CDMA2000 101 CAT Telecom AMPS、CDMA、CDMA2000 35

Thai Mobile GSM、W‑CDMA 4

(出所)総務省ホームページ「世界情報通信事情」より作成

(2) 郵便・宅配 

  郵便事情は良好である。郵便局は民営化されてタイ郵便会社(THP)という民間企業に なり、タイ全土をネットワークしている。国内では書留・速達・受取通知等の各種郵便も 利用可能である。ただし、配達員は事務所までは配達してくれるが、アパートの部屋まで は来てくれない。日本への郵便物もほとんど問題なく届く。日本までの所要日数は航空便 が4〜7日、船便が1ヵ月前後である。料金は図表 20‑14の通りである。国際宅配サービス は、郵便局の国際エクスプレス・メール(EMS)や民間の宅配サービスが利用できる。料 金は、船便で1kg=370バーツから20kg=1,010バーツまで、航空便は1kg=400バーツから 10kg=1,570バーツまで。

 

図表  20‑14  タイの郵便料金 

タイ国内向け 日本向け

はがき 1.5バーツ〜 15バーツ

手紙 2バーツ〜 14バーツ〜

書留・速達(EMS) 15バーツ〜 330バーツ〜  

(出所)国際協力機構のホームページより作成  

(3) インターネット 

タイのインターネット利用者数は、2009年時点で、1,748万人(人口100人当たりの加 入者数は25.8人(日本は78.0人))にすぎず、ADSL、衛星回線などのブロードバンド契 約者数も 100 万人程度とされているが、最近急速に増加している。ただし、ブロードバン ド加入者はバンコク市内に集中しており、地方部では依然としてダイヤル・アップ・アク セスが中心となっている。

主要なインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)として、True、TOT、CAT テ レコム、CSロックスインフォ、3BBなどが、回線速度や価格で激しい競争をしている。

ADSLは最速で20Mbpsを提供するプロバイダーもあるが(3BB)、料金は月額2,990バー

ツとかなり高額である。ただし、速度ではこれに劣るものの、月額料金が 1,000 バーツを 下回るサービスもあり、普及が進んできた。なお、True社はWi-Fi接続サービスを展開し

第21章 タイ投資環境の優位性と留意点 

  タイに進出している日系企業からの現地ヒアリングなどを踏まえ、投資先としてのタイ の優位性と留意点をまとめると次の通りである。

1.投資先としてのタイの優位性