第 9 章 主要投資インセンティブ(奨励ゾー
3. 奨励証書受領後の手続きとその際の必要
3.奨励証書受領後の手続きとその際の必要書類
へ通知する必要がある。BOI認可事業の場合には、OBOIに対しても操業開始期限の15日 前までに操業開始許可を申請しなければならない。また、IEATの管理下にある工業団地の 場合は、IEATで申請をすることになる。工場設立許可証の有効期限は、操業開始から5年 目の暦年の年末であり、引き続き操業を継続するのであれば、延長の許可を得る必要があ る。
図表 11‑5 工場設立許可申請の際の必要書類
1 申請書(工場の概要を記述) 2 会社登記簿写し
(代表権、会社の目的、等)
3 工場所在地地図 4 工場内機械配置図
(正確な縮図で、建築士の証明を添付)
5 工場設計図
(正確な縮図で、建築士の証明を添付)
6 公害防止対策の説明書 7 その他必要書類
(出所)BOI資料より作成
第12章 税制
タイに投資をしようという外国企業にとって、その税制は重要な要素である。タイの税 体系は、法人所得税(2012年:23%、2013年:20%、以降未定)、付加価値税(7%)、特 定事業税(0.11〜3.4%)、個人所得税(10〜37%)、非居住者源泉課税(海外送金に対する 源泉徴収、10〜15%)、石油収入税(50%)、関税(第 16章 2節で取り上げる)、物品税、
印紙代などの国税のほか、土地建物税、土地開発税、看板税などの地方税がある。国税の うち、法人所得税、付加価値税、特定事業税、個人所得税、印紙税は国税法典において規 定され、運用の詳細は、勅令、財務省令、告示、通達などに規定されている。税収の内訳で は総じて直接税の割合が低く、間接税の割合が高い(約6割)のが特徴である。
1.法人所得税
タイで事業活動を行っている法人は、法人所得税を納めなければならない(BOI の奨励 認可を受けた事業に係わる法人所得税の減免については、既に第 9 章の「主要投資インセ ンティブ」で触れたのでここでは省略する)。
タイ国法の下で登記された企業は、所得の源泉が国内か国外かを問わず、全ての所得が 課税の対象となる。タイ国内で未登録または非居住の外国企業は、タイ国内源泉の収入に 対してのみ課税される。
課税方法には、申告納税、源泉徴収、査定官による査定徴収の3種がある。
申告納税は、年2回に分けられており、第1回目は、事業年度を6ヵ月経過した日から 60日以内に年間課税所得を見積もり、その2分の1に対応する税額、あるいは中間見積も り課税所得に基づく税額を申告し、納付する。中間見積もり課税所得が決算日後の第 2 回 目の申告の際の実際の課税所得より25%以上下回っていると、不足税額の20%を追加徴収 されるので注意が必要である(正当な理由があれば免除される)。ただし、法人設立初年度、
または会社解散で会計期間が1年未満の場合は、中間申告は必要とされない。第2回目の 申告については、決算日後 150 日以内に確定申告をし、納付税額の調整を行なった上で、
所要の税額を納付する。
源泉徴収による納税は広範囲に要求されており、原則として翌月の 7 日までに、納入し なければならない。源泉徴収を要求される主なものは図表 12‑1の通り。
税率は、2011 年まで 30%の単一税率であった(一部の上場企業、中小企業等を除く)。
2011年8月に発足したインラック政権は、内需拡大を政権公約に掲げ、法定最低賃金の引 き上げを実施し、2012年4月に全国の最低賃金を40%引き上げた。さらに、2013年まで に全国一律で、最低賃金を1日あたり300バーツまで引き上げる予定である。賃金引き上 げの企業への影響を考慮し、同政権は、法人所得税の引き下げを同時に実施している。
る。2014年以降の税率については、閣議で決定されることになっている。また、払込資本 金が500万バーツ以下で、且つ物品販売や役務提供による売上が3,000 万バーツ以下の企 業に対しては、図表 12‑2の税率が適用される。なお、従来までタイ証券取引所および第二 部証券市場(MAI)に上場する企業に付与されていた、税制の優遇措置は廃止されている。
図表 12‑1 法人が源泉徴収を求められる主な支払
支払の種類 税率
1 内国法人が内国法人または個人に支払う賃貸室料 5%
2 内国法人が弁護士等の職業的専門家に支払う報酬 3%
3 内国法人が内国法人または個人に支払う広告料 2%
4 内国法人が内国法人に支払う貨物運送料 1%
5 内国法人が日本に支払う配当金(ただしBOI奨励企業の免税期間中は非課税) 10%
6 内国法人が日本に支払う技術使用料(同上) 15%
7 内国法人が日本に支払う利子(同上) 等 15%(注)
(注)ただし、送金先が金融機関の場合は10%、国の金融機関の場合は免税。
(出所)BOI資料より作成
図表 12‑2 中小企業に対する法人所得税率の軽減措置 中小企業に対する軽減措置 1 課税所得15万バーツ以下の部分について
2 課税所得15万バーツ超、100万バーツ以下の部分について
2012年 23%
2013年 20%
課税所得100万バーツ超部分について 3
軽減税率 0%
15%
(注)中小企業とは、払込資本金が500万バーツ以下で、売上が3,000万バーツ以下の企業を指す。
(出所)KPMG資料等より作成
課税所得は、損益計算書の税引き前利益に税務上の各科目を加減して調整、算出する。
通常の事業経費や減価償却費(5〜20%の率11)は総収入からの控除が認められる。ただし、
資産の譲渡、役務の提供、資金の貸し付け等に係る益金収入については、無償または市場 価格より低い価格での譲渡や市場より低い利息で行われたとみなされた場合には、査定官 が市場価格で収益を査定することがあるので注意を要する。一方、損金に関しては、一定 限度を越えた慈善金の支払や接待交際費等は損金算入が認められない場合がある。
納付すべき法人所得税額は、会計上の収益と費用をベースとして以下のように計算され
11 年間償却限度額は、①一般には、工場・建物は年間5%、機械・設備は年間20%、コンピュ ータ・周辺機器は最低3年で償却できるが、②中小企業(土地以外の固定資産2億バーツ以 下、従業員200人以下)の場合は、特別の償却が認められ、工場・建物は取得時に25%、残
額は年間5%、機械・設備は取得時に40%、残額は年間20%、コンピュータ・周辺機器は取
得時に40%、残額は3年間で償却が可能。
る。
○税務上の利益=(会計上の収益±税務上の調整)−(会計上の費用±税務上の調整)
○納付すべき法人所得税額=(税務上の利益×法人所得税率)−顧客が徴収された源泉税 −中間法人所得税額
また、税務上の欠損金は翌 5 事業年度に限り繰り越すことが認められており、当該期間 の課税対象利益と相殺することができる。
外国からの融資に対する支払利子については、会社の法人所得税から控除される(親子 ローンの場合等、支払利子率が合理的であること)。また、他の会社からの受取配当の取扱 についても、一部特例がある12。
外国法人が行なう国際旅客運送事業および国際貨物運送事業は例外扱いとなっている。
図表 12‑3 日本の法人税との主な違い 1 源泉徴収による納税制度が広範囲に及ぶ。
2 日本の租税特別措置法ほど広範ではないが、投資奨励法による減免措置がある。
3 年度の途中で当該年度の予想収益に基づく中間申告、中間納税制度がある。
4 税率は30%の単一税率である(中小企業、上場企業などの例外あり)。
5 減価償却制度は日本ほど複雑ではなく、耐用年数表も残存価格制度もない。(ただし、耐用年数が 1年以上のものは、少額資産でも中古品でも全て資産計上し、減価償却の対象となる。)
6 貸倒引当金を始めほとんどの準備金、引当金は損金算入が認められていない。
(ただし、金融機関の貸倒引当金等一部は例外的に損金算入が認められている。)
7 創業費、開業費は、繰延資産として償却せず、発生年度に一括損金算入する。
8 罰則が重く、重加算税は200%、延滞税は月1.5%である。
9 日本の法人事業税、法人住民税に相当するものはない。
(出所)BOI資料より作成