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1.外国直接投資(FDI)受入動向 

  1997 年のアジア通貨・経済危機以降低迷していたタイへの外国直接投資(FDI)は、安 定的な政治・経済運営やFTA推進に代表される対外経済関係拡大への期待を反映し、自動 車や電気電子分野を中心に、2000年を境に再び増加傾向に転じた2。しかし、米国発の世界 金融危機の影響で、2008年のFDI認可額(タイ投資委員会(BOI)統計)は、前年比3割 減の3,511億バーツ(838件)、そして2009年はさらに6割減の1,420億バーツ(614件)

となり、アジア通貨・経済危機後の1999年に匹敵する水準まで減少した。しかし、世界金 融危機による影響が一服した2010年は2,792億バーツ(856件)と認可額・件数ともに上 昇した。

図表  4‑1  タイの外国直接投資受入状況(認可ベース) 

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

投資額(左目盛)

認可件数(右目盛)

(億バーツ) (件)

      (注)外国資本比率10%以上企業が対象       (出所)BOI資料より作成

2.国別受入動向 

直接投資の受入状況を国別にみると、従来からタイにおける最大の投資国は日本であり、

金額・件数ともに全体の約 4 割を占めている。日系企業のタイに対する関心は相変わらず 高く、既に海外への進出経験のある企業を対象として国際協力銀行が実施した『わが国製

2 2002年の外国直接投資受入額が低水準に留まったのは、日系企業による直接投資の中国シフ

トの影響のほかに、認可手続きのずれ込みなどが影響したものとみられる。

造業企業の海外事業展開に関する調査報告―2010年度海外直接投資アンケート調査結果』

では、タイは、中国、インド、ベトナムに次いで有望事業展開先国の第4位にランクされ、

約23%の企業が、今後 3年程度を見通した場合の有望事業展開先国としてタイを挙げてい

る。更に、同調査報告によれば、中期的な海外事業展開見通しの中で、タイは最も生産お よび販売の両分野で強化・拡大する国となっており、生産拠点としての位置付けがより一 層高まっていることが伺える。

アジア通貨・経済危機後、タイへの投資額がボトムとなった1999年から2010年までの 12年間、累積投資額(認可ベース)は3兆585億バーツ(件数では8,312件)に達してい る。このうち日本からの投資総額は1兆1,964億バーツ(同3,498件)で、全体の約39%

(同42%)と大きな割合を占めている。次いでアジアNIEs(4ヵ国合計)が金額ベース

で15%、米国が13%、EUが13%となっている。

図表  4‑2  タイの直接投資受入状況(国別) 

①2010年実績      ②1999年〜2010年累計

(出所)いずれもBOI資料より作成 スイス

3%

米国 2%

香港 5%

中国 6%

シンガ ポール

7% EU

23%

日本 オースト 36%

ラリア 2%

マレーシア 2%

その他 14%

外国投資受入額

(認可ベース)

2010年総額 2,792億バーツ

アジアNIEs 15%

米国 13%

EU 13%

ASEAN 5%

その他 15%

日本 39%

外円:金額計 3兆585億バーツ

内円:件数計 8,312件

25%

7%

14%

6% 7%

42%

3.業種別受入動向 

  タイへの外国直接投資を投資先業種別にみると、2010年は、家電、エレクトロニクス等 の電気・電子工業分野への投資が全体の38%(金額ベース)、次いで自動車等の金属・機械

工業が18%、石油、天然ガス等の鉱業が12%と目立つ。一方で、軽工業は3.3%、農業は

6.3%と低い。この傾向は、主に製造業を対象とした外国企業による出資比率規制が緩和さ れた2000年以降続いている。   

図表  4‑3  タイの直接投資受入状況(業種別、2010 年) 

鉱業 12%

軽工業 3%

金属・機械 工業

18%

電気・電子 工業

38%

化学・製紙 工業

7%

サービス業 16%

農業 6%

(出所)BOI資料より作成