• 検索結果がありません。

タイの対日輸出品目は、以前は天然ゴム、エビ、砂糖、鶏肉等の一次産品が主であったが、

1980年代後半以降、工業化の進展や外資系企業の進出に伴い、機械、化学品等の工業製品 の割合が大きくなってきている。2010年では、一般機械・電気機器等の「製品」が日本へ

の輸出の73%、農産物の割合が16%となっている(図表 5‑2)。

一方、日本からの輸入については、資本財・原材料の輸入が大きな割合を占めている。近 年の日系企業による直接投資の増加とタイ企業の生産技術の向上がみられる反面、一部で は未だに裾野産業や基礎素材産業の品質力・供給力が追いつかず、現地生産に必要な機械 や部品・原材料等を輸入に依存せざるを得ない状況にある。2010年では資本財が日本から

の輸入の37%、原料・中間財等が45%を占めている。

図表  5‑2  日本との貿易品目(2010 年)   

(単位:億ドル、%)

日本への主な輸出品 金額 構成比 日本からの主な輸入品 金額 構成比 自動データ処理機・同部品 12.3 6.0 機械・同部品 71.3 18.8 自動車・同部品 12.0 5.9 鉄・鉄鋼製品 52.7 13.9 ゴム 10.9 5.3 自動車部品・アクセサリー 37.5 9.9

集積回路 9.6 4.7 電気機械・同部品 34.9 9.2

加工鶏肉 7.4 3.6 集積回路 28.9 7.6

海産加工品 5.9 2.9 化学製品 27.7 7.3

プラスティック製品 5.7 2.8 金属屑・スクラップ 14.0 3.7

化粧品・石鹸等 5.5 2.7 科学・医療機器 13.7 3.6

機械・同部品 5.3 2.6 金属製品 11.4 3.0

鉄・鉄鋼製品 4.8 2.4 プラスチック製品 11.3 3.0

アルミ製品 4.6 2.2 宝石類 6.8 1.8

ポリマー原料 4.4 2.1 家電製品 5.4 1.4

テレビ・ラジオ・同部品 4.3 2.1 ダイオード・トランジスタ・半導体 4.7 1.2

ゴム製品 4.0 2.0 バス・トラック 4.7 1.2

その他 107.5 52.7 その他 53.7 14.2

対日輸出計 204.2 100.0 対日輸入計 378.6 100.0

(出所)商務省資料より作成

2.日本からタイへの直接投資   

戦後、日本企業のタイ進出が積極化したのは 1960 年代に入ってからであるが、1980 年 代以前は、繊維産業を中心にタイの輸入代替工業化政策に対応して進出した企業が多かっ たのに対し、プラザ合意後の 1980 年代半ば以降は、自動車、電気・電子機器、精密機械、

食品加工等、製造業を中心に、幅広い分野にわたって大企業による輸出指向型産業の直接 投資が積極的に行われた。

こうした日本からタイへの直接投資(認可ベース)の推移を数字でたどると、1986 年以 降増加基調で推移し、1988〜89年にピークをつけた後、投資の一巡や日本経済の景気後退、

さらにはタイの社会資本不足の顕在化等からしばらくの間低迷が続いた。その後、日系企 業のタイへの直接投資が再び増加に転じ、1995〜96年にかけては、円高の影響もあって大 幅に増加、投資ブームの再来と言われた。しかし、日本からタイへの直接投資は、1997年

のアジア通貨・経済危機の影響で大きく落ち込み、1999年には300億バーツを下回る水準 にまで落ち込んだ。その後、徐々に回復し、2005年には過去最高の354件が認可され、投

資総額も1,700億バーツを上回った。2008年以降は世界金融危機の影響などから、日本か

らの直接投資は総額・件数ともに再び落ち込んだものの、2010年の日本からの直接投資受 入額(認可ベース)は1,003億バーツ、件数も342件と、2009年比でそれぞれ1.7倍、1.4 倍に増加した。なお、タイへの直接投資流入(認可ベース)のうち、金額、件数ともに日 本からの直接投資が約 4 割を占め、依然として他国と比べ日本による直接投資実績の高さ が窺える(図表 5‑3)。

また、2010年における、日本企業のタイにおける投資先業種をみると、製造業分野が大 部分で、電気・電子工業が全体の46%、自動車を始めとした金属・機械工業が30%、化学・

製紙工業が9%と、主要3分野で8割以上を占めている(図表 5‑4)。

図表  5‑3  日本からタイへの直接投資流入状況(認可ベース) 

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 0 50 100 150 200 250 300 350 400 金額(左目盛)

件数(右目盛)

(億バーツ) (件)

      (出所)BOI資料より作成

図表  5‑4  日本からタイへの直接投資の投資先業種  (金額ベース、2010 年) 

サービス 9%

農業 4%

鉱業

1% 軽工業 化学・製紙 1%

工業 9%

金属・機械 工業

30%

電気・電子 工業

46%

      (出所)BOI資料より作成

3.タイにおける日系企業 

  タイに進出している日系企業の総数を正確には把握することは難しいが、実際に事業を 行っていない名目のみの企業も含めると6,000社を超えているというデータもある。一方、

現在、盤谷(バンコク)日本人商工会議所(JCCB)に加盟している企業は、2010年現在、

1,310社(総従業員数約60万人)となっており、業種別では製造業が649社(同約50万

人)と半分を占めている。因みに、東洋経済新報社の「海外進出企業総覧」によると、タ イに進出している企業は1,647社(2009年末現在)とされ、そのうち製造業が6割近くを 占めている。

4.日・タイ経済連携協定締結 

近年、日本のタイへの直接投資の持続的な拡大および東アジアにおける自由貿易協定締 結の気運の盛り上がり等から、日タイ間の関係はますます緊密の度を増している。タイに 対するODAは、無償資金協力については原則終了したものの、草の根無償資金協力、技術 協力及び円借款等については、引き続き幅広く行なわれている。

日・タイ経済連携協定(JTEPA)については、2002年4月の日タイ首脳会談における合 意を踏まえ、「FTAの要素を含め、科学技術、人材育成等の幅広い分野を含む包括的な経済 連携を目指して」、両国間でその可能性について検討を行うことで合意し、以来、作業部会 およびタスクフォースの場を通じ協議が行なわれてきた。

  この日タイ包括的経済連携構想の特徴は、「包括的経済連携」と呼ばれるように、日本シ ンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)と同様に、対象としている分野が広範にわたり、

モノの貿易、サービス貿易にとどまらず、直接投資、教育・人材育成、情報通信技術、科学 技術、エネルギー・環境、中小企業、観光、金融サービス、競争政策、知的財産、相互認 証、人の移動までも含んでいることである。

2004年4月から、具体的な交渉に入り、乗用車の関税の取扱いや農水産品・同加工品の 原産地表示基準をめぐって折衝は難航したが、担当閣僚レベルの協議を経て、2005年9月 両国首脳の東京会談でJTEPAの主要論点について大筋合意に達した。その後、原産地表示 基準や各論の詳細を詰めるなど、事務レベルで協議が行われ、2007年4月3日に東京で両 国首脳が同協定の署名を経て、11月1日に発効された。

  この協定の締結により、日タイ両国は、貿易・投資の自由化、円滑化を通じて、より緊密 な経済関係を構築することになり、特にタイで操業している日系企業の経営環境は大きく 改善される契機になるとして、タイにとっても、日系企業のさらなる進出に拍車がかかる ものと期待されている。