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能力開発の観点からの目標管理と経営戦略との連動

第6章 地方大学国際化のための国際経営人材の育成

Ⅴ 能力開発の観点からの目標管理と経営戦略との連動

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また、図表6-1は、能力開発のためのセルフ・コントロールと目標管理との関係も整理 している。目標管理を通じたセルフ・コントロールによる能力の開発は、少しストレッチ したチェレンジ目標を達成するためのプロセスのなかで行われる。個人の目標を達成する ために、金銭的インセンティブや他者からの励ましなど、一定の外発的動機づけによって、

個人の意欲を喚起することができるが、それだけでは人の行動は継続して変容しない。知 恵を創造し組織と個人の目標を達成するためには、内発的動機づけとして、本人が仕事を やり遂げたという達成感が必要であり、達成することによって仕事に対する面白さを実感 することで、自己成長を感じることが重要となる。その結果として、組織と個人の目標が 達成される。組織においては、組織目標達成という成果を上げることができるサイクルの 構築に寄与し、個人としては自己成長を促進するサイクルが構築できることになる。

地方大学にとって国際化の推進は、少しストレッチした挑戦的な目標ともいえる。それ ゆえ、国際化の推進という目標を達成するために、事務職員は国際経営人材になるために 求められる先述した知識や能力を身につけ、図表6-1にある好循環サイクルを構築しなけ ればならない。

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の変化に対応できる経営戦略には、大学の建学の精神や理念への共感が必要となり、共通 した理解ができれば、大学事務職員は使命感を持って、困難な事業や状況にあっても、業 務を遂行することができるといえよう。

この理念への共感と共通の理解の基に、企業の経営戦略が構築され、中期経営計画およ びその中期経営計画に基づいた年度ごとの経営計画が策定され、組織と個人の年度目標が 統合して設定されることになる79

これらのことおよび五十嵐が指摘している目標管理と経営基本戦略との結合の3つのポ イントを踏まえて、目標管理による能力開発が促進される仕組みについて考察する。五十 嵐が指摘している3つのポイントとは、第1に「『経営基本戦略』を『中期経営計画』に落 とし込むとき』」、第2に「『中期経営計画』を『年度経営計画』につなぐとき」、第3に「『年 度経営計画』の『進捗状況』を振り返るとき」である80

図表6-2は、大学組織を念頭に置いた目標管理と経営戦略とを結合によるサイクルを表 している。このサイクルの構築が、個人の能力開発を促し、自己成長を促進することにな る。図表6-2について、組織および個人の視点からそれぞれ説明する。

まず、組織の視点から、目標管理と経営戦略の結合による能力開発について、つぎのよ うに整理する。

① 大学経営戦略のブレイクダウン……国際化の推進をはじめとする大学経営戦略に基 づいて、中長期計画を策定し、年度計画、部署目標、個人目標にブレイクダウンする ことができる。経営戦略と中長期計画の策定に参画する際に、能力開発が行われる。

国際化の推進に関する戦略もこのように個人目標までブレイクダウンしなければなら ない。

② 個人の自発的な行動を促す……個人が設定した目標を達成するために、個人の自発 的な行動の変容を促すことができる。そして、自己統制によって目標達成のための自 発的な能力開発のための行動が促される。その際には、国際経営人材に求められる知 識や能力とは何かについて踏まえておく必要がある。

③ PDCAサイクルの構築……個人目標の達成が、部署目標の達成につながり、部署 目標の達成が組織の戦略目標の達成につながる。この過程のなかで、それぞれのレベ ルで目標達成のために必要となるPDCAサイクルが機能する。国際経営戦略が機能 していくかどうかについても、このPDCAサイクルによる評価と改善を繰り返し、

戦略の遂行を確実なものとして、結果を出していく必要がある。

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図表6-2 目標管理と経営戦略との結合による能力開発促進の仕組み

(出所)五十嵐(2006、153頁)の企業理念と日常的な業務の関係性を表した「図表 26」を大

学に置き換え、五十嵐(2006、44-46頁、152-153頁)の記述内容を基に筆者作成

つぎに、個人の視点からは、この結合による能力開発について、つぎのように整理する。

① 自己統制の促進……組織目標を踏まえて、自分で目標を設定することで自己統制し て仕事を進めることができる。

② 進捗状況の確認……個人目標の達成にむけて、業務の進捗・達成状況を自分で計測 しながら仕事を進めることができる。

③ セルフ・マネジメント……個人目標の達成に向けて、個人の業務をセルフ・マネジ メントすることができる。

④ 個人レベルのPDCA……個人目標を達成するために、業務を定期的に振り替える ことで、個人レベルでのPDCAサイクルを回すことができる。

大学の建学の精神・理念 組織目標

大学のあるべき姿 (実現する将来像)ビジョン

部署目標 大学経営戦略(国際化を含む)

中長期計画に基づいた年度ご との経営計画(組織戦略目標)

中長期計画

個人目標

チャレンジする目標 日常業務への

落とし込み 目標管理と経営戦略(国際経営戦略)の結合ポイント①

目標管理と経営戦略(国際経営戦略)の結合ポイント②

目標管理と経営戦略の結合ポイント③ PDCAサイクル PDCAサイクル

自己成長を促すPDCAサイクル 個人は、個人目標を達成する ために「知恵の創造」を行う

個人目標の達成→「達成感」

と「仕事の面白さ」の実感

ビジョンの達成に貢献する 経営戦略へのフィードバック この「知恵の創造」「達成」のサイ

クルが能力開発と自己成長を促す

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⑤ 個人の働きがいをつくる……自分が組織にどのように貢献しているのかについて、

可視化して理解することができ、自分で設定した目標を達成することができれば、達 成感や仕事の面白さを味わうことができる。

そして、個人が目標を達成し、部署目標が達成され、その集合として組織全体の戦略目 標が達成されることになる過程において、個人は内発的動機づけともなる「達成感」や「仕 事の面白さ」を感じ、OJTとともに自己啓発による能力開発が促進される。

今後の課題としては、このような個人の成長をどのように人事評価につなげ、適切な評 価とフィードバック、そして適切な処遇を行っていくかということである。そのためには、

ミドルの管理職のマネジメント力、評価能力の向上や育成が鍵となるであろう。また、納 得性と客観性のある人事評価制度を構築しなければならない。