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3. 環境要因とパフォーマンス

3.4. 考察

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ーマンスに正の影響を与える)は、図表 3-3 より成り立たないことが証明された。重回帰 分析で GDP 成長率(GDP_GR)について有意な結果が得られたものの、負の影響を与えるこ とがわかった。このことは、急速に経済が発展すると、操業パフォーマンスを阻害する可 能性があることを示唆している。

次に仮説 2(カルフールでは、流通業の発展レベルにおける母国と進出国との差が進出国 での操業パフォーマンスに負の影響を与える)は、図表 3-3 より一部の変数において成り 立つことが証明された。流通業の付加価値比率(VAR%_DF)、一人当たり GDP(GDPPC_DF)、

家計消費支出(HC_DF)、平均賃金(SAL_DF)において有意な結果が得られた。

仮説 3(カルフールでは、進出国の流通業の発展レベル自体よりも、母国と進出国との発 展レベルの差の方が、進出国での操業パフォーマンスに与える影響が大きい)は、図表 3-3 のモデル 1 とモデル 2 およびモデル 3 との比較により成り立つことが証明された。

仮説 4(カルフールでは、流通業の発展レベルにおける進出成功国と進出国との差が進出 国での操業パフォーマンスに負の影響を与える)は、図表 3-3 より一部の変数において成 り立つことが証明された。流通業の付加価値比率(VAR%_DI)において有意な結果が得ら れた。ただし平均賃金(SAL_DS)については、正の影響を持つことがわかった。

仮説 5(カルフールでは、進出国の流通業の発展レベル自体よりも、進出成功国と進出国 との発展レベルの差の方が、進出国での操業パフォーマンスに与える影響が大きい)は、

図表 3-3 のモデル 1 とモデル 2 およびモデル 4 との比較により成り立たないことが証明さ れた。

次に T 法について見てみると、3 種類ともほぼ近い結果が得られ、単位空間の取り方によ る大幅な因子の変化は見られなかった(図表 3-4)。T 法②で有効な変数と重回帰分析で有 意な変数とを比較すると、多くの場合(利得順位 22 位までのうち※印のものを含めて 14 変数)一致した(図表 3-5)。

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業は、ある国でのフィージビリティ・スタディや制度・体制、派遣者などを、フィルター 構造が似通った国において利用することができる。しかしながら近似性には、地理、文化、

経済、政治・規制など多様な切り口があり、安易に判断することはリスクがある。実際に カルフール・ジャパンでは、同じアジアである中国・台湾・韓国を経験した人材が、マネ ジメント層として送り込まれていた。アジアはアジアとして一括りに考え、中国も台湾も 日本もどこも同じという意識に起因したものである。結果、日本の特異性に直面し、アジ ア駐在経験者の派遣者を送るという方針は、ヨーロッパからの派遣者という方針に変更さ れた。このことは、フィルター構造の近似性の判断に注意が必要であることを物語る。事 実、実証分析では、イタリアとスペインとの差を説明変数としたモデルの説明力がさほど 高くなく、進出成功国の設定が適切でなかった可能性がある。

最後に本分析の問題点および課題を指摘したい。今回は、フィルター構造の一つである、

流通の発展レベルのみを考慮した。先のとおり、フィルター構造にはさまざまな要素が含 まれている。フィルター構造を包括的に捉えるならば、文化や政治・規制の影響も考慮す る必要があるといえる。

次に、操業パフォーマンス指標として売場効率を上げたが、売場効率が必ずしも、事業 の成功とイコールになるとは限らないという点が挙げられる。オペレーションコストが低 く抑えられる国では、売場効率がさほど高くなくても、事業として利益を上げていくこと ができる。また、消費者レベルのうち、購買力に関わる変数の影響は、当然大きくなると 考えられる。したがって、売場効率を購買力平価等で考慮した数値を基準として使うとい った作業の必要性が指摘できる。

また、小売業は比較的狭い商圏に影響を受けるものであるにも関わらず、国レベルの変 数を設定しているという点である。国内のチェーン化が進展することで、調達、物流、オ ペレーションの効率化・高度化が図られ、チェーン対チェーンの比較として国対国の比較 を捉えられる場合、問題は小さくなるといえるが、中国のように地域的な多様性が大きな 国では特に、より狭い地域の変数を設定することは有効だと考えられる。

そして最後に、フィルター構造の近似性が海外での操業パフォーマンスに影響を与える ということが確認できても、フィルター構造の近似性とパフォーマンスとの間に位置する、

小売技術がどのようなものであるのか、どのようにパフォーマンスに影響しているのかが 明確ではないという点が挙げられる。フィルター構造の近似性と小売技術との関係性を規 定する基準を明らかにし、実務へ生かすことができるような提言が必要だと考える。それ を明らかにすることが、さらなる課題といえよう。

そこで以降の章では、カルフールのケースをより具体的、定性的に見ていくことで、こ の最後の課題に取り組みたい。本章の検証結果から、フランスやイタリアとの流通業の付 加価値比率の差がより少ない(フィルター構造がより近似している)日本では、売場効率 が高くなるはずであり、それは成功につながる可能性が高かったと言い換えることができ る。にも関わらず、なぜカルフールが撤退するに至った(逸脱した)のか、その点につい

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ても具体的な分析により明らかにすることができると考える。

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