4. ヨーロッパの小売業
4.1. 小売業態の発展プロセス
4.1.1. 独立系小売業
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これら独立系小売業は、1930 年代にグループ化が進み、1955 年以降その動きはヨーロッ パ全土に広がっていった。
ブリザード(1976)に倣い、独立系小売業の文化コアと環境コア変数を整理したものが 図表 4-1 である68。独立系小売業は、消費財の商業化の進展に伴い、地域の総合小売として 発展した。流通制度や輸送手段が未発達な時代に、主として食品を地域に供給する重要な インフラとして、小売取引の主力を担った。小規模であるが故の柔軟なオペレーションに より柔軟なサービス提供(営業時間の延長)が可能となり、特に中規模小売業では、専門 商品を豊富な商品知識や消費者知識とともに提供するという強みを有していた。しかしな がら同時に、未発達な流通制度や輸送手段により、商品の供給はメーカーや卸の行商に頼 らざるを得なく、自ら自由に商品を仕入れることはできず、品ぞろえは限定的であった。
また、資本が限られていることも品ぞろえが限定される一因であり、それが売上規模の小 ささにもつながった。したがって、メーカーや卸に対する交渉力は極めて小さい状態であ った。そのため、これらの小売業はグループ化を模索することになる。資本や知識面の制 約で実施できなかった広告を共同で実施したり、購買ボリュームを集約するため共同で発 注を行ったりすることで、台頭しつつあった大規模小売業に対抗し、生き残りを模索した のである。
図表 4-1 独立小売業のコア要素
文化コア 環境コア変数
外部環境 内部環境
立地
・地域の総合小売(village general shop)
・無店舗販売(零細小売業)
・消費財の商業化の進展
・未発達な流通制度
・未発達な輸送手段
・不十分な一人当たり消費量
・限られた資本
商品
・主として食品
・農産物(零細小売業)
・パッケージ済み商品、ブラ ンド/マス商品(小規模小売 業)
・専門的商材(中規模小売業)
・非食品分野における大規模 小売業の発達
・消費財の商業化の進展
・未発達な流通制度
・未発達な輸送手段
価格 ・非価格訴求、情報提供によ る付加価値訴求
・未発達な流通制度 ・商品に対する深い知識
売上 ・小規模 ・限られた資本
品ぞろ え
・限定的な品ぞろえ ・未発達な流通制度 ・限られた資本
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促
・購入時の接客による販促
・共同販促(1950 年代~)
・小売業のグループ化(小売 購買グループ、ボランタリー チェーンなどの台頭)(1950 年代~)
・家業による事業継承
・消費者に対する深い知識
・限られた資本
・専門(広告・販促)知識 の欠如
サービ ス
・柔軟な営業時間
・カウンターサービス
・商品知識の提供
・未発達な流通制度 ・柔軟なオペレーション
・商品に対する深い知識
・消費者に対する深い知識
サプラ イチェ ーン
・限定的な供給市場へのアク セス
・メーカーや卸の行商
・共同発注(1950 年代~)
・未発達な輸送手段
・小売業のグループ化(小売 購買グループ、ボランタリー チェーンなどの台頭)(1950 年代~)
・情報の欠如
・交渉力の欠如
役割
・生産者と消費者のかけ橋
・農産物の都市への流通チャ ネル
・小売取引における主力
・副業(零細小売業)
・未発達な流通制度
・未発達な輸送手段
出典:筆者作成
なお、フランスでは、独立系中小小売業のシェアは 1971 年の時点で 10.8%であり、以降 毎年シェアを落とし、1982 年時点で 5.7%となっている。大型小売、特にハイパーマーケ ットとスーパーマーケットにシェアを奪われるかたちで減少した。その後、シェアは下げ 止まっている。1999 年には総合食品小売とミニマーケットという括りで 8.6%(食品小売 に占める割合)、2008 年には小規模総合食品小売および冷凍食品店という括りで 5.6%(食 品小売に占める割合)であった。一方、専門店は 1971 年の時点で 53.5%、以降ほぼ横ばい で推移し 1982 年の時点で 50.0%と、非常に大きなプレゼンスを持っていた(図表 4-2)。
しかしながらその後シェアを落とし、1999 年には 17.7%(食品小売に占める割合)、2008 年には 17.5%(食品小売に占める割合)となった。80 年代、90 年代は専門店が大型小売(ハ イパーマーケットおよびスーパーマーケット)にシェアを奪われていったとみられる(こ の間、ハイパーマーケットおよびスーパーマーケットのシェアは 1982 年の 18.2%から、1999 年に食品で 66.2%、非食品で 19.9%に伸びている)。
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図表 4-2 フランスの家計の小売業態別購買割合(1971~82 年)
1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1976年 1977年 1978年 1979年 1980年 1981年 1982年 21.0 21.6 22.2 23.4 23.9 24.3 25.1 25.6 25.8 26.4 27.5 27.7
7.5 9.1 10.3 11.6 12.4 13.3 14.2 15.0 15.5 16.4 17.7 18.2
ハイパーマーケット 3.0 4.4 5.2 6.1 6.7 7.3 7.9 8.3 8.5 9.1 9.8 10.1
スーパーマーケット 4.5 4.7 5.1 5.5 5.7 6.0 6.3 6.7 7.0 7.3 7.9 8.1
非食品非専門店 4.1 3.8 3.8 4.1 4.1 4.0 4.0 4.1 4.0 3.9 3.9 3.9
百貨店 2.8 2.4 2.4 2.8 2.7 2.6 2.6 2.6 2.5 2.3 2.3 2.3
大衆百貨店 3.2 3.0 2.8 2.7 2.6 2.4 2.4 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3
6.2 5.7 5.3 5.0 4.8 4.6 4.5 4.2 4.0 3.8 3.6 3.3
10.8 9.8 9.0 8.4 8.4 7.9 8.0 7.6 6.9 6.3 5.9 5.7
53.5 53.8 53.9 52.9 52.8 52.7 51.7 52.0 51.4 50.9 50.0 50.0 14.7 14.8 14.9 15.3 14.9 15.1 15.2 14.8 15.9 16.4 16.6 16.6 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(単位:%)
チェーン・ストアと消費者共 同組合に属するスーパー レット、ミニ・セルフサービ ス店および伝統的小売店 独立商に属するスーパーレッ ト、ミニ・セルフサービス店およ び伝統的小売店
合計
非集中専門店 大型商
食品非専門店
その他
出典:田島、宮下(1985)、78~79 ページ
図表 4-3 フランスの家計の小売業態別購買割合(1999 年、2008 年)
単位:%
1999 2008 2009 ※1 1999 2008 2009 ※1
食品専門小売店 17.7 17.5 17.5 0.3 1.1 1.2
パン・菓子店 6.7 6.8 6.9 ‐ ‐ ‐
肉・デリカテッセン販売店 6.3 4.6 4.6 ‐ ‐ ‐
その他の食品専門店 4.7 6.8 6.9 ‐ ‐ ‐
8.6 5.6 5.5 0.8 ‐ ‐
大規模食品小売店 67.1 66.9 67.2 19.9 17.9 17.1 スーパーマーケット 30.8 29.9 30.2 6.1 5.9 5.6 ハイパーマーケット 35.4 35.7 35.8 13.4 11.7 11.2
ネイバーフッドストア 1.0 0.4
0.1 0.1 0.1 2.2 1.8 1.8
非食品専門小売店 0.4 1.5 1.4 50.5 55.9 56.5
無店舗小売(市場、通販など) 3.9 4.2 4.1 4.6 4.8 4.8
2.1 4.2 4.2 21.0 18.5 18.6
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
※1 暫定値
小規模総合食品小売店および冷 凍食品小売店
(1999年は総合食品小売店および ミニマーケットの数値)
その他の非専門非食品大規模小 売店および他の小売店
(1999年は百貨店の数値)
業態
その他の販売(自動車販売、生産 者直販など)
食品 非食品
出典:Insee より作成
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