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2. 小売技術の国際移転に関連する既存研究

2.5. 小売業の国際化研究

2.5.1. サービス産業の分類研究

小売業はサービス産業に分類されるが、一口にサービス産業といっても、その性質は多

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様性に富む。それぞれ著しく異なる下位部門から成り立っており、一緒くたに検討するこ とは適切でないという共通認識がある。そのため、“包括的な”サービス産業の国際化理 論を構築するよりも、むしろ「一般的な“サービス多国籍企業”というカテゴリーを創造 することより、サービスの下位部門をそれぞれに分析する方が実りがある」45とされ、下位 部門ごとに研究が行われているというのが実情である。

そこでまず、サービスの下位部門を理解する目的で、サービスの分類に関する研究を概 観してみたい。

サービスを分類する基準として、多数の研究においていくつかの要素が指摘されている。

例えばシルベストロ・フィッツジェラルド・ジョンストン・ヴォッス(1992)は、以下の 6 つの次元を提示している。

(1) 人にフォーカスするか vs.設備にフォーカスするか

サービスを提供するに当たり、接客スタッフの提供物がコアの要素となるか、あるいは 特定の設備がコアの要素となるか。

(2) 顧客との接触時間の長さ

顧客との接触時間は数時間や数日になるか、あるいは数分に留まるか。

(3) カスタマイゼーションの程度

顧客の個々のニーズに合ったサービスが提供されるか、あるいは標準的なサービスや事 前に決定された選択肢が提供されるか。

(4) 顧客ニーズに沿うための接客者への権限委譲の程度

サービスの内容やプロセスを変更する権限を接客者が持っているか、持っていないか。

(5) 付加価値の源泉としてのフロントオフィス vs.バックオフィス 全体に占める接客スタッフの割合が多いか、少ないか。

(6) プロセス重視 vs.プロダクト重視

顧客が購入するものに焦点をあてるか、サービスが顧客に提供される過程に焦点をあて るか。

これらの次元は、対応する顧客の量に応じて変化するとされており、「一人の顧客にどれ だけ手を掛けることができるか」を決める要素であるといえる。最も手を掛けることがで きるサービスを「専門サービス」、最も手を掛けないサービスを「マスサービス」、中間に 位置するサービスを「サービス・ショップ」と定義している(図表 2-19)。

図表 2-19 サービスの分類

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人にフォーカス 接触時間 カスタマイゼーション 裁量

フロントオフィス プロセス重視

人にフォーカス/設備にフォーカス 接触時間

カスタマイゼーション 裁量

フロントオフィス/バックオフィス プロセス重視/プロダクト重視

設備にフォーカス 接触時間 カスタマイゼーション 裁量

バックオフィス プロダクト重視

一日に対応できる標準的な顧客の数

サービス・ショップ

・コーポレートバンク

・ホテル

・レンタル

・小売

・リテールバンク

・物流調査 専門サービス

・経営コンサルタント

・フィールドサービス

・コーポレートバンク

マスサービス

・お菓子、タバコ、新聞小売

・輸送

・輸送ターミナル

出典:Silvestro et al.(1992)、p.72

小売業はサービス・ショップに分類され、人と設備の双方に焦点が置かれ、フロントオ フィスとバックオフィスがともに重要となり、プロセスとプロダクトが一体となってサー ビス化される産業である。ハードとソフトの要素が常に絡み合うという点で専門サービス やマスサービスと区別でき、さらに他のサービス・ショップはプロダクトとプロセスが切 り離せないが、小売業はそれらを切り離すことができるという点において、サービス・シ ョップ内でも特異な性質を持つ。

次にラブロック(1983)は、以下のような 5 つの二次元分類を提案している。

(1) サービス行為の特質

① 目に見える行為かどうか。

② 人に対するサービスか・物あるいはその所有に対するサービスか。

(2) 顧客関係

① サービスの提供は常時かオンデマンドか。

② 会員登録を前提としているか。

(3) カスタマイゼーションとエンパワーメント

① サービスをどの程度カスタマイズすることができるか。

② 接客者が顧客ニーズに臨機応変に対応する権限を持つか。

(4) 需要と供給の特質

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① 供給量の制約があるか。

② 需要の変動は大きいか。

(5) サービスの提供方法

① 顧客が来るのか、顧客のところへ行くのか、遠隔か。

② サービスを利用できる場所は一つか複数か。

以上のようにさまざまな分類基準があるが、要約すると、

(1)サービスの内容自体を規定する基準(人と設備のどちらに焦点をあてているか、目 に見えるかどうか、人と物のどちらに対するものか、カスタマイズの可能性、顧客との接 触時間の長さなど)

(2)サービスの提供方法を規定する基準(常時かオンデマンドか、顧客が来るのか行く のか、サービスを利用できる場所はどれくらいかなど)

(3)サービスを提供する組織体制を規定する基準(接客者にどの程度権限委譲されてい るか、フロントオフィスとバックオフィスのどちらに付加価値の源泉があるかなど)

(4)市場を規定する基準(需要の変動は大きいかなど)

に分けることができる。

そして以上のような各サービス産業の特性は、国際経営論の議論をサービス産業にあて はめる上で重要な検討要因となる。