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実証分析のモデルとデータ

ドキュメント内 非財務情報の企業価値 (ページ 187-191)

第 9 章 企業の環境対策活動と企業価値

第 4 部 従業員関連情報に関する分析

12.3 実証分析のモデルとデータ

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償却対象固定資産の取得原価,ROAの標準偏差,そして売上高の自然対数値,の4つである.

貸借対照表ベースの負債比率は,Rosett (2003)の用いたV/Eに対応する,資本構成を示すコン トロール変数である.株式時価総額や純資産簿価と比べて負債が大きければ,残余財産請求権を 有する株主にとってのリスクは高まる.ここでは,人的資本のオフバランスについて扱っている ため,貸借対照表上で計算される負債比率をコントロールすることとした.償却対象固定資産の 取得原価額は,営業上のリスクをコントロールする変数である.固定資産が多ければ,固定費で ある減価償却費が大きくなるため,収益の変化が利益の変化により大きな影響を与えることにな る.ROA の標準偏差は,5 年間のデータを用いて計算され,同じく営業上のリスクをコントロ ールする変数である.最後に売上高の自然対数値は規模をコントロールする変数である.以上を コントロールしたうえで,人的資本が負債として認知されているか否かを検証する.以下の( 12-2)式が検証対象となる.

ε β

β β

β β

α

+ +

+ +

+ +

=

従業員数 売上高

の標準偏差

得原価額 償却対象固定資産の取

負債比率 差

株式リターンの標準偏

15 14

13

12 11

ROA

(12-2)

(12-2)式のβ15が有意に正であれば,人的資本の負債性に対する株式市場の反応が確認される.

分析にあたっては,3月末を決算日とする,東京証券取引所第一部および第二部上場企業を対 象とした.銀行・証券・保険・その他金融を除く一般事業会社について分析をおこなう.必要な データは日経NEEDS-FinancialQUESTから抽出した.貸借対照表および損益計算書に関する 数値は,2007年3月決算に関する数値を利用した.次期予想利益については,2007年3月期の 決算短信において公表される,2008年3月期の経常利益に関する経営者予想を用いた.また,

株式時価総額は2007年5月末時点の株価を用いて計算した.株式リターンの標準偏差は,2006 年5月末から2007年5月末までの日次の株式リターンに基づいて計算した.従業員数は2007 年3月期の有価証券報告書に記載されている従業員数(連結ベース)によっている.なお,比率 および標準偏差を除く各変数については,分散不均一性の緩和のため2007年3月期時点の資産 合計でデフレートし,自然対数値を計算している.さらに,各変数について上下1%ずつを外れ 値として分析対象から除外した.その結果,資産性の分析については1,340社が,負債性の分析 については1,114社が分析対象となった.記述統計量および相関係数について,図表12-2およ

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び図表12-3にまとめている.また,回帰分析に際しては,業種間の差異をコントロールするた め,業種ダミーを加えている.なお,多重共線性の有無を確認するためVIF値を計算したが,す べてのVIF値は3未満であり,多重共線性の問題は生じていないものと判断した.

図表12-2 記述統計量 パネルA: 人的資本の資産性に関する分析(N=1,340)

平均 標準偏差 第1四分位 中央値 第3四分位 株式時価総額 -0.527 0.834 -1.064 -0.616 -0.111 純資産簿価 -0.659 1.001 -1.099 -0.757 -0.454

経常利益 -2.631 1.323 -3.308 -2.830 -2.337

次期予想利益 -3.243 1.055 -3.816 -3.273 -2.638

従業員数 -3.673 0.969 -4.228 -3.736 -3.182

パネルB: 人的資本の負債性に関する分析(N=1,114)

平均 標準偏差 第1四分位 中央値 第3四分位 株式リターンの標準偏差 2.068 0.647 1.612 1.949 2.396

負債比率 0.162 0.860 -0.364 0.214 0.739

償却対象固定資産 -0.842 0.885 -1.316 -0.650 -0.202 ROAの標準偏差 -4.210 0.777 -4.744 -4.212 -3.670

売上高 0.064 0.566 -0.212 0.041 0.320

従業員数 -3.771 0.819 -4.252 -3.778 -3.304

※ 各変数は期末の資産合計でデフレートし,さらに自然対数値に変換したうえで,上下1%ずつを   外れ値として除外している.

※ 各変数は期末の資産合計でデフレートし,さらに自然対数値に変換したうえで,上下1%ずつを   外れ値として除外している.

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図表12-3 相関係数

パネルA: 人的資本の資産性に関する分析(N=1,340)

株式時価総額 純資産簿価 経常利益 次期予想利益 従業員数

株式時価総額 1 0.564 0.714 0.639 0.212 純資産簿価 0.525 1 0.490 0.421 0.213

経常利益 0.629 0.576 1 0.741 0.263

次期予想利益 0.710 0.457 0.637 1 0.189

従業員数 0.377 0.390 0.393 0.346 1

※ 対角線の左下がPearsonの積率相関係数,右上がSpearmanの順位相関係数である.

パネルB: 人的資本の負債性に関する分析(N=1,114)

株式リターン

の標準偏差 負債比率 償却対象 固定資産

ROAの

標準偏差 売上高 従業員数 株式リターンの標準偏差 1 0.261 -0.086 0.405 0.077 0.086

負債比率 0.241 1 0.075 -0.169 0.191 -0.101

償却対象固定資産 -0.121 0.052 1 -0.077 -0.174 0.121 ROAの標準偏差 0.365 -0.173 -0.087 1 0.070 0.113

売上高 0.052 0.105 -0.139 0.712 1 0.281

従業員数 0.104 -0.117 0.114 0.133 0.325 1

※ 対角線の左下がPearsonの積率相関係数,右上がSpearmanの順位相関係数である.

※ 各変数は期末の資産合計でデフレートし,さらに自然対数値に変換したうえで,上下1%ずつを外れ値と   して除外している.

※ 各変数は期末の資産合計でデフレートし,さらに自然対数値に変換したうえで,上下1%ずつを外れ値と   して除外している.

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