2. グローバルメーカーの国際展開戦略
2.3. 各企業の国際展開状況と戦略(医療機器)
2.3.9. Novartis AG (Alcon)
(1) 海外進出状況の概要
ノバルティスグループ傘下で医療機器部門を担っているのは、眼科手術業界における世界的 リーダーと認識されているアルコン事業部門である(ただし、医薬品部門も保有)。そのため、
以下、アルコンについて記述する。
アルコンの製品は、全世界の90%の地域、180カ国以上で販売されており、75カ国以上で事 業展開している。また、世界に26の最先端製造施設と約12,000人の製造担当社員を擁している。
(2) 地域別進出状況・拠点配置状況
地域別売上は、欧米が全体の67%を占めており、「成熟市場」(米国、カナダ、西欧、豪州、
ニュージーランド、日本)で4分の3を売り上げている。一方で、残りの4分の1程度を占める新 興国市場は、強いブランド価値と製品ラインナップを活かせる場であり、大きな成長機会を提 供していると考えられている。2006年から2010年の5年間には、新興国市場における売上高は
CAGR19%で成長し、純収益全体の20%を占めるに至った81。
図表 2-65 地域別売上(2013)
(出典)Novartis, “Annual Report 2013”
また、製造施設は製品群によって異なり、医薬品とコンタクトレンズケア製品は、米国、ベ ルギー、フランス、スペイン、ブラジル、メキシコにおける7施設で製造されている。手術機器 やその他の外科用医療器具は、米国、ベルギー、スイス、アイルランド、イスラエル、ドイツ
81 Global Data (2012) “Alcon, Inc. Market Share Analysis”
63 で製造されている82。
(3) 主力製品の販売状況
アルコンの主力製品ラインは、医薬品、手術用製品、ビジョンケア製品である。医療用眼科 薬と眼科手術用製品の両方で市場の首位を占めている。
医療機器に限定して主力製品を整理すると、具体的には、眼科用デバイス、白内障手術デバ イス、緑内障手術デバイス、眼内レンズ(IOL)、屈折矯正手術デバイス、ビジョンケア、網膜 硝子体手術デバイス等が挙げられる。特に、白内障製品と網膜硝子体製品の両方で世界のトッ プシェアを占め、屈折矯正手術では世界第2位の規模を誇る83。
図表 2-66 製品群別売上(2013)と前年比
(出典)Novartis., “Annual Report 2013”
(4) 海外市場における特徴的な戦略や活動等
① M&Aによる事業拡大
成長戦略の一環として、アルコンは事業を拡大又は補完するための戦略的企業買収を評価し ながら進めている。こうした買収は、新製品の導入、市場シェアの拡大、眼科業界におけるア
82 Global Data (2012) “Alcon, Inc. Market Share Analysis”
83 Global Data (2012) “Alcon, Inc. Market Share Analysis”
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ルコンの主導的地位を促進することになる。2010年1月、アルコンは緑内障患者の眼圧下降に 用いる独自の外科的小型挿入物の開発・製造・販売業者であるOptonol社を買収した。また、同 年5月、アルコンはSirion Therapeutics社製造DUREZOL乳剤の米国での販売権を取得したほ
か、ZYCLORINのラテンアメリカを除く世界での販売権を取得した。この取引は、DUREZOL
の買収による今後の成長を後押しし、ZYCLORINの長期的研究パイプラインに製品を追加する のを加速するものである。さらに、同年8月、白内障手術の相補的技術を適応として米国食品医 薬品局(FDA)の承認を取得した初のフェムトセカンドレーザーを開発した株式非公開企業であ るLenSx Lasers社を買収し、同社のレーザー製品が持つより正確で信頼性の高い手技を獲得し た84。
② 領域特化型での世界的規模の事業展開
眼科領域に特化して、高品質の製品を開発・製造するための生産・研究開発施設を持ち、さ らに同業界で十分訓練された営業力を持つ販売員4,000人を抱える大規模な世界的販売力を保 有することで、眼科領域における圧倒的なプレゼンスは世界に認識されており、事業展開の一 助となっているものと考えられる。
84 Alcon, Inc. Market Share Analysis/GrobalData
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