3. アジア・中東地域における市場進出状況
3.2. 国別市場動向と展開戦略(アジア)
3.2.6. 台湾
96
97
図表 3-32 台湾医薬品市場の内訳(現状と将来予測)
(出典)PwC (2012) “Checking up on Taiwan healthcare”
台湾では、国民健康保険局(BNHI)が薬価を強力に抑制しており、2011年の薬価改定では、
後発医薬品メーカーが恩恵を受けるような内容となっており、新たな革新的医薬品の市場への 導入を防止している。多くのグローバルメーカーが台湾で活動しているが、主目的は販売とマ ーケティングであり、価格調整の影響による利益幅の減少や知的所有権保護、他国と比べて不 透明な価格設定・償還システムを懸念し、製造工程を行うのに適した国とはあまり考えられて いない128。本調査の対象企業のいずれも、各社ホームページや公表資料等からは、台湾には製 造拠点を有していないものとみられる。
② 戦略:現地医薬品メーカーとのアライアンス
台湾の医薬品メーカーは、研究機関契約やがん治療薬のようなハイエンド医薬品の開発、さ らには中国やアジア等への展開を目的として、外資系医薬品メーカーに対して、買収や戦略的 提携または流通パートナー契約ではなく、アライアンスを組もうと働きかけるケースが多い129。 また、グローバルメーカーにとっても、台湾は中国進出への架け橋として重要な位置にあり、
こうしたアライアンス形成にはメリットがあると考えられる。
また、台湾では医薬品メーカーによる直販の割合が非常に高く、卸事業者経由は僅か22%、8
128 PwC (2012) “Checking up on Taiwan healthcare”
129 PwC (2012) “Checking up on Taiwan healthcare”
98 割近くを直販が占めているといわれている130。
図表 3-33 調査対象企業の台湾における特徴的な活動
企業名 概要
GSK ・学術研究成果の実用化を推進する産学官の連携スキームで、特に前臨床試験 と臨床試験の支援に力を入れている「バイオ医薬公的研究計画(NRPB)」
と提携覚書を結び、台湾で過去最大規模となる臨床試験を共同で展開(2013 年)。
・この提携によって、信頼性の高い臨床研究を行い、新薬開発の時間短縮と成 功率向上につなげる狙い。
J&J ・台湾東洋薬品(TYYバイオファーム)への抗がん剤「ドキシル」の製造委託
について、2013年時点で年間80万本の生産能力を、4億~5億台湾元を投じ て、約5倍の250万~400万本に拡大する。なお、東洋は世界で唯一のドキシ ル受託製造企業。
・米食品医薬品局(FDA)が昨年からインド製のドキシル代替薬の輸入を許可 したことを受けて、代替薬に市場を奪われる懸念から、ドキシルの供給能力 を早急に引き上げることで主導権を維持することが目的とされている。
(出典)NNA Asiaニュース等より、みずほ情報総研㈱作成。
130 http://www.yakuji.co.jp/entry34440.html
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(2) 医療機器市場
① 全体概要
2013年における台湾の医療機器市場規模は43億ドルであり131、2008~2013年に年平均7.9%
の成長を見せている。
今後も、高齢者人口の増加および医療需要の高度化に伴い、市場規模は着実に拡大すると予 想されている。2013~2018年の平均成長率は8.6%と推計されている。ただし、国内の市場規模 には限りがあるため、台湾の医療機器メーカーは売上の過半(60%以上)を輸出に頼っている。
2013年の輸出製品トップ3は、血糖測定器、移動補助器具(電動車椅子など)およびコンタク トレンズである。
一方、医療機器の60%は輸入に依存しており、特に病院で使用されるようなハイエンドの製 品ではその傾向が著しい。医療機器の輸入元は欧米諸国および日本である。
図表 3-34 台湾における医療機器市場の推移
131 PwC (2012) “Checking up on Taiwan healthcare”
台湾における医療機器市場の推移
19
22
26 27
30
29
34
38
41
43
7 8 9 10 10 10
13 14
16 16
11 12
14 14 15 15
17
19 19 20
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
(億ドル)
医療機器市場規模 輸出額 輸入額
台湾における医療機器市場の推移 (億ドル)
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
医療機器市場規模 19 22 26 27 30 29 34 38 41 43
輸出額 7 8 9 10 10 10 13 14 16 16
輸入額 11 12 14 14 15 15 17 19 19 20
国内生産額 15 18 21 23 25 25 29 34 37 39
出典:「Taiwan Biotechnology Industry White Papers (MInistry of Economic Affairs Taiwan)]
医療機器市場規模=国内生産額-輸出額+輸入額
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② 戦略:ハイエンド医療機器市場の重視
台湾の医療機器メーカーは500社以上あるが、ほとんどが中小企業であり、開発の難易度が高 いハイエンド製品への参入に消極的で、主に血圧計や血糖測定器等の家庭用製品を製造してい る。一方で、上述の通り、病院で使用される画像診断装置等のハイエンド製品は、米国、日本、
ヨーロッパからの輸入に頼っている132。台湾では、ローエンド製品市場は電子メーカーなど他 業種の参入も活発化しており、低価格競争に陥りやすい状況となっていることもあり133、海外 の医療機器メーカーは、インド等のように現地ニーズに合わせてスペックを落として低価格製 品を投入するというよりも、「ハイエンド・ハイテク」を打ち出した戦略をとっていると考えら れる。ただし、最近では、政府によって、国内メーカーによるハイエンド医療機器産業の発展 を支援する政策が進められている。
132 PwC (2012) “Checking up on Taiwan healthcare”
133 NNA Asia 2013年6月14日付記事
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