• 検索結果がありません。

IAS 11, IAS 18, IFRIC 15

IFRS 15.BC149-150, IFRIC 15

不動産契約については、固有の事実及び状況の分析が引き続き重要となる

不動産の支配が顧客に移転する時点を判定することが困難であるため、特に集合住宅の開発につ いて、現行実務にばらつきが生じている。新基準に定められた、財またはサービスが一定の期間 にわたって移転するか否かを判定するための規定により、IFRIC第15号が差し替えられた。新基 準のガイダンスを適用するに際しては、要件3を満たすか否かを判定する場合は特に、個々のケー ス固有の事実及び状況を検討することが要求される。この判定において判断が要求される場合が あるため、実務上、不動産を含む契約に関する収益認識は引き続き難しい領域となる。

3.5.3 履行義務の完全な充足に向けての進捗度の測定

3.5.3.1 進捗度の測定方法の選択 新基準の規定

IFRS 15.39-43, B15- B19

一定の期間にわたり充足される個々の履行義務について、企業は進捗度を単一の方法で測定する。

進捗度の測定の目的は、財またはサービスに対する支配の移転を描写することである。そのために、

企業はアウトプット法またはインプット法のいずれか適切なほうを選択する。企業はまた、選択し た方法を類似の履行義務及び類似の状況に首尾一貫して適用する。

方法 内容

アウトプット法 現在までに移転した財またはサービ スの、顧客にとっての価値を直接的 に測定し、当該測定値と契約で約束 した残りの財またはサービスとの比 率に基づき進捗度を測定する。

-

現在までに完了した履行の調査

-

達成した成果の鑑定評価

-

達成したマイルストーン

-

経過期間

インプット法 履行義務の充足のための企業の労力 またはインプットが、当該履行義務 の充足のための予想されるインプッ ト合計に占める割合に基づき進捗度 を測定する。

-

消費した資源

-

発生したコスト

-

経過期間

-

費やした労働時間

-

機械使用時間

82

© 2016 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

IFRS 15.B16

実務上の便法として、企業が、現在までに完了した履行に直接対応する金額で顧客に請求する権利

を有する場合、企業は収益をその金額で認識することができる。例えば、サービス契約においては、

企業が提供したサービスの単位ごとに一定金額を請求する権利を有する場合がある。

IFRS 15.B15, BC165

企業の履行により顧客に支配される多額の仕掛品または製品が生産される場合には、これまで継続

して適用してきたように引渡単位または製造単位等に基づくアウトプット法を用いると、進捗度が 忠実に描写されない場合がある。これは、履行した作業がすべて、アウトプットの測定に含まれる わけではないためである(3.5.3.2を参照)。

IFRS 15.B18

進捗度を測定するための適切な基礎がインプット法により得ることができ、かつ、企業のインプットが

一定の期間にわたって均等に発生する場合には、収益を定額で認識することが適切となることがある。

IFRS 15.B19

ただし、企業のインプットと支配の移転との間に直接的な関係がない場合がある。したがって、企業

がインプット法を用いる場合、未据付の資材及び契約の価格に反映されない企業の重要な非効率(例:

仕損に係る材料、人件費、または他の資源)に関する調整を検討することが必要となる(3.5.3.3を参 照)。契約上重要である財について、その支配を顧客に移転したが、その財を後で据え付ける場合、特 定の要件を満たすならば、その財に係る収益をそのコストの範囲で認識し、マージンは認識しない。

IFRS 15.44-45

企業は、履行義務の完全な充足に向けての進捗度を合理的に測定できる場合にのみ、一定の期間に

わたって収益を認識する。ただし、履行義務の結果を合理的に測定することはできないが、その履 行義務を充足する際に発生するコストを回収すると見込んでいる場合は、発生したコストの範囲で 収益を認識する。

KPMGの見解

IFRS 15.BC159

IFRS 15.40

適用すべき進捗度の測定方法は、自由に選択できない

IFRS第15号では、履行を描写するという目的に適う測定方法を選択することが求められる。した がって、企業は履行義務に適用すべき進捗度の測定方法を自由に選択することはできず、顧客に 移転することを約束した財またはサービスの内容を検討する必要がある。

新基準では、特定の方法を適用すると信頼性をもって企業の履行を描写できない状況が例示され ている(例:多額の仕掛品がある場合、生産単位数に基づく方法は適切ではない場合がある)。

したがって、適切な進捗度の測定方法を識別する際には判断が要求される。

財またはサービスの支配の移転を、適切に描写できるのはいずれの方法であるかを判定する際 に、その方法を信頼性をもって適用できる企業の能力も考慮しなければならない場合がある。例 えば、アウトプット法を用いるために要求される情報が、直接的に観察可能でない場合や、収集 するのに過剰なコストがかかる場合がある。そのような状況において、アウトプット法は適切で はない可能性がある。

単一の履行義務の進捗度の測定には単一の測定方法を用いる

新基準のもとでは、企業は単一の履行義務について単一の進捗度の測定方法を適用する。当該適 用方法は、単一の履行義務に、様々な期間にわたって移転する複数の財またはサービスの約束が 含まれる場合に困難となり得る。例えば、ある履行義務によってライセンスとサービスや、財の

83

© 2016 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

IFRS 15.B16

IFRS 15.26(e), IE92-IE94, BC160

販売と設計または据付サービスが結合される場合がこれに該当する。

状況によっては重要な判断が要求される場合もあり、合理的な測定方法を選択するためには、顧 客への約束の包括的な内容を理解することが重要となる。

単一の進捗度の測定方法を決定するのが困難な場合、企業は履行義務の判定を見直し、区別でき る履行義務が複数存在しないか、再検討することが必要な場合がある。ただし、単一の進捗度の 測定方法を識別することが困難だからといって、必ずしも、約束した財またはサービスが単一の 履行義務ではないということにはならない。

企業が請求する権利を有する金額で収益を認識する場合、単位当たりの対価は固定金額でなくて もよい

実務上の便法として、企業が請求する権利を有する金額が顧客に移転した価値に直接対応する場 合、企業はその金額を用いて収益を認識することができる。この実務上の便法を適用するのに、

企業が請求する権利を有する金額は、必ずしも均一の単位当たり対価に基づかなくてもよい。

履行義務が複数ある場合や、単位当たりの固定金額が時とともに変動する場合、請求金額が顧客 にとっての価値を表象するか否かを判定するのが困難となり得る。例えば、単位当たりの価格が 購入数により逓減する場合や、料金がフォワードカーブに基づく場合、料金の最低限度が契約上 設けられている場合、購入数に基づくリベートが契約上設けられている場合などがこれに該当す る。そのような場合、価格の変動が、顧客にとっての価値の変化によるものであるか否かを判定 する際に、判断が要求される。契約に、単位当たりの請求金額、実質的な契約上の最低限度の金 額や、リベート、値引き、契約金のような顧客への支払いに加えて、固定の手数料が含まれてい る場合、請求金額が、顧客が受け取る価値と整合しないため、実務上の便法を用いることができ ないことがある。さらに、この実務上の便法を契約に適用するためには、契約内のすべての財ま たはサービスについて要件を満たさなければならない。

販売代理人による取引は一定の期間にわたって収益が認識される場合がある

企業が顧客のために販売代理人として活動する場合は通常、企業はその約束を一時点で充足する。こ れは、販売前に代理人が行う活動は大抵の場合、財またはサービスを顧客に移転しないためである。

顧客が企業の活動から便益を受け取る場合、販売が完了していない限り、その便益は限定されている。

ただし、販売が完了する前に顧客に一定の期間にわたって便益を提供するという販売代理人の取 決めもあり得る。例えば、企業が商品を陳列した段階で多額の返金不能のアップフロントフィー を受け取り、販売完了時の手数料が比較的少額であるとする。多額の返金不能のアップフロント フィーを企業が受け取ることから、当該企業が顧客に陳列サービスを提供し、顧客はそのサービ スから一定の期間にわたって便益を得ていることが分かる。この例では、企業は、変動対価に関 するガイダンスに従って手数料を見積る。

販売が完了する前に財またはサービスが移転するか否かを判定するためには、前提条件を判断 し、評価することが必要となる。

待機義務の進捗度の測定は必ずしも定額法とは限らない

待機義務の進捗度の適切な測定方法を決定するには判断が要求される。この判断をする際に、も ととなる約束の性質と整合する進捗度の測定方法を選択できるように、待機義務の実体を考慮す る。待機義務の性質を評価する際に、企業は、財またはサービスの移転時期を含む関連するすべ