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IAS 17, IAS 18

3.5.7 請求済未出荷契約

新基準の規定

IFRS 15.B79

請求済未出荷契約は、企業が一時点で移転する製品について顧客に請求するものの、当該製品を将

来のある時点で顧客に引き渡すまで企業が物理的に占有し続ける契約をいう(例:顧客に製品の置 き場がないことや顧客の生産スケジュールの遅延を理由とする)。

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© 2016 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

IFRS 15.B80-B81

収益をいつ認識すべきかを判定するために、企業は顧客が製品の支配をいつ獲得するのかを判定し

なければならない。契約条件にもよるが、通常は、製品の支配は出荷時点または顧客に引渡された 時点で顧客に移転する(支配が一時点で移転する指標に関する説明は、3.5.4を参照)。新基準には、

請求済未出荷契約において顧客が製品の支配を獲得するために満たすべき要件が含まれている。

IFRS 15.B82

請求済未出荷契約について収益を認識することが適切であると企業が結論付ける場合、企業は保管

サービスも顧客に提供していることになる。このような保管サービスは別個の履行義務に該当し、

取引価格の一部が配分される場合がある。

ステップ1の要件を満たす請求済未出荷契約において 顧客がいつ製品の支配を獲得するかの評価

請求済未出荷契約を締結した理由は いいえ 実質的であるか?

顧客は支配を獲得していない。

企業は顧客が製品の支配を 獲得したと結論付けるまで、

収益を認識しない。

顧客は支配を獲得している。

企業は請求済未出荷契約に係る 収益を認識できる。

はい 製品が顧客に帰属するものとして いいえ

別個に識別されているか?

はい

製品は顧客に物理的に移転する準備が いいえ できているか?

はい

企業は製品を使用したり別の顧客に はい 振り向けたりする能力を有しているか?

いいえ

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設例33 請求済未出荷契約

企業Cは機械を顧客Aに販売する契約を締結した。A社の製造設備は未完成であり、A社は製造設 備が完成するまで、C社が当該機械を保管することを要求している。

C社は返還不能の取引価格をA社に請求し、回収する。また、A社が引渡しを要請するまで、機械 を保管することに合意する。取引価格には、C社が機械を無期限で保管することについての適切 な対価が含まれている。この機械は完成し、C社の棚卸資産とは区別され、出荷準備ができてい る。C社はこの機械を使用することも、別の顧客に販売することもできない。A社は引渡日を指定 せずに、引渡しの延期を要請している。

C社は、A社による請求済未出荷の要請は実質的であると結論付けた。A社はまだ引渡日を指定し ていないものの、機械の支配はA社に移転しているため、C社は請求済未出荷ベースで収益を認 識するとも結論付ける。

A社のために財を保管する義務は、別個の履行義務となる。C社は機械を保管する履行義務の独立 販売価格を、保管サービスの提供期間の予測に基づき見積る必要がある。取引価格のうち保管義務 に配分した金額は繰り延べ、保管サービスを提供するにしたがって一定の期間にわたり認識する。

現行のIFRSとの比較

IAS 18.IE1

ほぼ同様であるが、相違点もいくつかある

請求済未出荷ベースで収益を認識するための要件は、現行のIFRSと新基準とでほぼ同様である が、相違点もいくつかある。例えば、現行のIFRSでは、収益を請求済未出荷ベースで認識するた めには、企業の通常の支払条件が適用されていることが要求される。

現行のIFRSにおいては、収益を請求済未出荷ベースで認識するための条件として、引渡しが行わ れる可能性が高いことが含まれる。新基準にはこの条件は明記されていないが、引渡しが行われ る可能性が高くなければ、新基準の規定を適用するための要件である契約の存在が否定される か、または請求済未出荷契約が締結される根拠が実質的でない可能性が高い。

現行規定においては、企業が財の保管、出荷、保険のコストを支払う場合は、製品の所有に伴う重要 なリスク及び経済価値が顧客に移転したか否かを評価する際にそれらの事実を考慮する。この分析 は、新基準においては直接関連しないこととなる。ただし、請求済未出荷の条項が実質的であるか否 かの評価の一環として行われる場合がある。

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