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CGM・その他サービス

1.4 事業者動向

1.4.3 CGM・その他サービス

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売上高増加の主たる要因は、iPhoneの販売額増加、及びiPod/iPod touchの販売 額の増加である。特に、iPod/iPod touchは、「ゲーム機」としても売れており、任 天堂DSの販売不振の要因となっているといわれている。

iPhone のヒットには様々な要因があるが、アプリケーションをダウンロードし

て、自分仕様にiPhoneをカスタマイズ可能なApp Storeの活況が大きな要因とな っている。

App Store上で、グローバルで購入可能なアプリケーションの種類は、2009年

12月時点で10万種類以上。既に20億ダウンロード以上が記録されている23。 アプリケーションは開発者が、無料でダウンロード可能な SDK(Software

Development Kit)を利用して、開発し、登録する。SDKは、既に100万本以上

ダウンロードされており、アプリケーション開発者数の規模が伺われる。

App Storeへのアプリケーション登録の際には、年会費(99$、1万800円)が

発生する。また、アプリケーションが1回ダウンロードされる度に、アプリケーシ ョン価格の7割が開発者、3割がApple社に分配される仕組みとなっている。

App Storeで販売するアプリケーションの開発は、米国では、「21世紀のゴール

ドラッシュ」といわれており、多くの開発者が、知恵を絞って、売れるアプリケー ションの開発に注力しているという。

同社の消費者保護の方針は、原則「ユーザーを犯罪者扱いせず、信頼して使って 頂く」というものであるが、公序良俗を害するアプリケーションが登録される可能 性のある、App Storeなどでは、登録時にアプリケーションの品質や、公序良俗性 などを同社が審査している。

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DeNAは、携帯より利用できるコンテンツである、ソーシャルメディアプラット フォーム「モバゲータウン」を運営する事業者である。

同社の2010年3月期第 3四半期の連結売上高(累計)は、116億5,5100 万円 であり、対前年同四半期と比較すると約24%増加した。第2 四半期時点では、ア バター販売の売上が低迷気味であり、連結売上高も減尐傾向にあったが、2009 年 10 月より開始した内製ソーシャルゲームの影響で、売上高の増減はプラスに転じ た 。

ソーシャルゲームは、利用者同士のつながりを軸とし、コミュニケーションの要 素を含むゲームである。例えば、同じゲームをプレイ中のユーザー同士が会話を楽 しんだり、ゲームの攻略方法を教えあったりすることが可能である。

同社の内製ソーシャルゲームは、非常に好調であり、PV 数などは着実に増加し ている。特に活動の鈍っていたユーザーのアクティビティ活性化の効果が大きいと いう 。ヘビーユーザー向けの本格的な対戦ゲームから、普段ゲームをしないユー ザー向けの手軽に楽しめるミニゲームまで幅広いゲームを提供している点が市場 に受け入れられていると同社ではみている。

他社のプラットフォームへ、人気のあるゲームを展開する試みも行われている。

2009年12月には、「モバゲータウン」上で展開されていた内製ソーシャルゲーム

「怪盗ロワイヤル」のmixiモバイルへの提供を開始した。

同社のソーシャルゲーム開発の特徴は、内製及び外部の開発パートナー企業によ る開発の双方を活用している点にある。外部の開発パートナー企業の開発作業を効 率化するため、同社はゲーム開発者向けに「モバゲータウン」の API を公開して いる。外部のゲーム開発者は、APIを介して、課金プラットフォーム、広告プログ ラム、アバターなど利用できる。広告プログラムの仕組みを活用すると、開発パー トナーは、単に開発したゲームの課金収入を得るだけでなく、DeNAの広告ネット ワークを利用し、ゲーム上で広告収入を得ることも可能となる。

同社は、今後の更なるチャネル拡大として、iPhone 上でのサービス展開も視野 に入れている。これに向けた準備として、同社は2009年10月、iPhoneゲーム開 発者向けにSDK(Software Development Kit)を提供している米国のAurora Feint 社と資本業務提携した。Aurora Feint社が提供するSDK「OpenFeint」は、ソー シャルゲーミングプラットフォームと呼ばれるもので、ゲームアプリケーションに ユーザーがコミュニケーションをとるための機能(ランキングやスコアの表示な ど)を付加するためのSDKである。

DeNAがiPhone上でサービスを展開する際、ゼロからの参入は困難であるため、

急速に実績を積み上げているAurora Feint社に出資したという。今後は、Aurora

Feint社の事業に「モバゲータウン」で培ったノウハウを注入し新たなサービス展

開に活かす意向である。

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消費者保護の観点では、同社は様々な取り組みを推進している。

「モバゲータウン」については、400人の監視員が365日24時間体制でサイト の投稿内容などを確認している。「モバゲータウン」上には、通報ボタンが設置さ れており、ユーザーから「誰かに誹謗中傷された」という通報を受けた場合、事実 関係を判断するべく、同社は通報側及び通報された側の前後の会話履歴、プロフィ ール、行動履歴を確認する。その結果、違反と判断した場合、違反者に対して会話 の該当箇所の削除、ペナルティ、強制退会処理を実施する。

また、実年齢と異なった年齢登録がされないよう、2009年8 月フィルタリング 機能を活用した簡易型年齢認証を導入した。フィルタリングサービスを受けている ユーザーは18 歳未満であるとみなし、必要に応じ、サイト上で正しい年齢を再登 録するよう促す。

更にミニメールに関しては、2007年12月から、18歳未満のユーザーは年齢が3 歳以上離れているユーザーと、メッセージ交換が出来ないようにシステム的にブロ ックし、コミュニケーションを制限している。

また、実際にトラブルが発生した場合は、適切な相談窓口を紹介するようにして いる。例えば「モバオク」では、トラブルに巻き込まれた場合の相談窓口としては、

警察、有限責任中間法人ECネットワーク、国民生活センターなどを紹介する。

同社のサービスにおける消費者保護とは、やや観点が異なるが、同社は専門スタ ッフによる実生活での悩み相談窓口「モバゲー110番」も設置している。心理療法 士や元教員などの専門スタッフがユーザーの実生活での、いじめ及び悩みなどの相 談を電話・メールで受け付けている。

ミクシィの売上高は、2009 年度上期で 62 億円である。通期では現時点で 130 億円の売上高を見込んでいる。事業領域は、大きくインターネットメディア事業で

あるmixi、インターネット求人広告事業であるFind Job !の2つである。

売上金額の内訳は、2009年度上期でインターネットメディア事業(mixi広告収 入とmixi課金収入の合計)が 95.7%、インターネット求人広告事業が4.3%とな っている。

インターネットメディア事業は2010年4月14日現在、2,000万人以上のユーザ ーを有しており、SNSサイトとしては国内最大である。

mixiは更なるサービスの充実を図るため、2009年度からmixiアプリやmixiボ イス、mixi 同級生などの新サービスを開始した。いずれも既存の友人間でのコミ ュニケーションをより活発にすることを目的としている。

mixiアプリは、2009年11月時点で、600~700程度が登録されており、日々増 加している。現在登録している開発者は約1万人程度、内1割は法人である。あく までアプリはコミュニケーションのための一手段としての位置付けであり、多くの

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開発者、利用者が参加して、mxi全体が盛り上がることを目的としている。そのた め開発する側の敶居が高くならないよう、利用者からの課金収入の8割を開発者収 入と定め、他社より開発者の取り分が多くなるモデルとしている。また、アプリ開 発に関するガイドラインにも、特に厳しい基準は設定していない。

mixi アプリなどで、場を活性化しつつ、今後もビジネスモデルは広告モデルを 中心のモデルとして継続する意向であり、mixi の特性を活かした広告戦略も視野 に入れている。サービスとしてはあくまでリアルでのつながりの延長線上に存在す ることを意図し、コミュニケーションのインフラ提供を目指す意向である。

消費者保護の観点では、mixi 上のトラブルはリアルのつながりをベースとした サービスであるため、基本的には当事者間で解決してもらいたいという意向ではあ るが、未成年者保護を始め、対応できる部分は積極的に対応を進めており、教育関 係者との連携も中心にリテラシー教育にも力を入れていく予定という。

広告代理業のサイバーエージェントは、メディア事業の「Ameba 事業」に力点 を置き、インターネットメディア企業へと変化しつつある。広告収入中心であった 同社の収益構成をみても、メディア事業の比率が次第に高まりつつある。

同社のAmeba事業の収益は、広告収入及び課金収入からなるが、課金収入の比

率が次第に高まりつつあり、2009年第4四半期においては、約3割を占めるに至 った。同社は、最終的には、この比率を、5割程度に高めることを1つの目標とし ているという。

同社のAmeba事業の売上、及び課金収入増大に寄与しているのが、同社が2009

年2月にリリースした、2次元仮想空間コミュニケーションサービス「アメーバピ グ」である。利用者は、仮想空間における自らの分身である、「ピグ」と呼ばれる アバターを作成し、オンライン上で、他者とコミュニケーションを取ることが可能 である。また、簡単なゲームを楽しんだり、仮想空間上で開催される各種イベント にも参加したりすることができる。

同サービスの登録会員数はサービス開始から、約1ヶ月間で10万人を突破、同 年10 月には140 万人を超えた。急拡大の要因は、そもそもAmeba会員として登 録している会員が、次々と同サービスに登録していること、また、IT リテラシー の高くない一般ユーザーでも利用しやすいように設計されている事などが挙げら れる。

アメーバピグの収益は、利用者の各種アイテムを購入による課金収入である。仮 想アイテム販売は2009年9月末には、月 1.4億円を超え、拡大し続けている24。 現時点では、同サービスを利用した広告収入はないが、他企業からコラボレーショ

24 2010122日付 日経MJ