3.4 ドイツ
3.4.1 消費者動向
3.4.1.1 インターネット利用動向(PC、モバイル)
Eurostat の統計によると、ドイツのインターネット回線の契約率は 80%に達し
ており、ここ数年で項調に普及が拡大している(図表 3.4-1)。また、ブロードバ ンド回線の契約率も70%に近づいている(図表 3.4-2)。
ブロードバンド回線は多くの家庭で導入されており、画像が多用されているEC サイトの閲覧でも支障のないレベルに達している。また、DSL サービスにも多数 の事業者が参入したことによる低価格化やトリプルプレーサービスなどのサービ スの充実などによって、さらに導入契約者数が増加している。
図表 3.4-1 ドイツにおけるインターネット回線の契約率の推移
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
2006 2007 2008 2009
契約率(%)
EU27 ドイツ
出所:Internet usage in 2009(Eurostat)
179
図表 3.4-2 ドイツにおけるブロードバンド回線の契約率の推移
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
2006 2007 2008 2009
契約率(%)
EU27 ドイツ
出所:Internet usage in 2009(Eurostat)
2009年6月に実施されたドイツの大手テレビネットワーク事業者2社による調 査によると、日常的にインターネットを利用するドイツの消費者はおよそ4,350万 人で全国民の67.1%となり、前年同期の65.8%から1.3ポイント増加している。
インターネットサービスが普及したことによってドイツの消費者のインターネ ット利用時間は増加傾向にある。また、インターネットチャネルに対する信頼感も 増しており、様々な情報の検索や商品の購買やサービスの利用が進んでいる状況で ある。
他の欧州各国と比較してドイツの 3G 携帯電話の普及率は低く、2008 年時点で
11%である(図表 3.4-3)。ただし、SMS 以外の通信料金の比率をみると、3G 端
末の普及状況を考慮した場合、SMS 以外の通信料金の比率は比較的高い水準であ り、携帯電話を利用した通信に対する消費者の意向は高いものと推測される(図表 3.4-4)。
また、複数の携帯電話事業者が3G端末を利用したノートPC向けの高速無線通 信(UMTS:universal mobile telecommunications system)を提供し始めており、
今後はこのようなサービスの拡大やスマートフォンなどの端末の普及が進むにつ れ、屋外でのインターネットの利用も増加していくと想定される。
180
図表 3.4-3 3G契約者数の比率(2003-2008)【再掲】
7
3 3
32 23
11
20
83
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
3G契約者数の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
図表 3.4-4 SMS以外の通信料金の比率(2003-2008)【再掲】
7 6 10
81
24 22
32
100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
SMS以外の通信料金の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
3.4.1.2 インターネットサービス利用動向
Forrester の推計によると、ドイツにおけるインターネットショッピングの利用
181
者は2009年時点では3,700万人であった。今後もインターネットショッピング利 用者は増加していくとみられており、2014年には 4,700 万人に達すると推計され ている。また、典型的なドイツのインターネットショッピング利用者の支出額は 2009年時点で平均463ユーロである。今後、インターネットショッピングでの支 出は拡大し、2014年には年間583ユーロに達するとみられている。
図表 3.4-5 ドイツにおけるBtoC-EC市場規模
17,310
19,099
21,209
23,275
25,262
27,156
€0
€5,000
€10,000
€15,000
€20,000
€25,000
€30,000
2009 2010 2011 2012 2013 2014
Sales (million)
出所:Online Retail Forecast, 1/10 (Western Europe) (Forrester)
ドイツにおけるBtoC-EC の市場規模は2009年の 173億ユーロから年平均 9%
の成長率で拡大し、2014年には271億ユーロ規模となるとForresterでは見込ん でいる(図表 3.4-5)。
ドイツでは、比較的小規模で、一定のカテゴリーに特化したECサイトが数多く 存 在 し て い る が 、 従 来 か ら カ タ ロ グ 販 売 を 展 開 し て き た Otto グ ル ー プ や
Neckermann とった大手のインターネットショッピングサイトが市場の大部分を
占めている。これらのECサイトに掲載されている商品は、従来からの地域の店舗 でも購買することができるが、多くのドイツ人がインターネット上でこれらの商品 を購買するようになってきているという。同様に、旅行業界においてもECが主流 となりつつあり、大手のTUIやLufthansaなどではECと店頭での販売を並存さ せている。このようにECが拡大している理由として、ドイツでは店舗の営業時間 に関する制限(Ladenschlussgesetz)が厳しかったためであるといわれている。こ
182
の営業時間に関する規制は2006 年 11 月に自由化されているものの、ドイツの食 料品以外の日用品などの小売店は現在でも平日は 18 時、土曜日は 17 時に閉店し ており、通常日曜は休業である場合が多い。ベルリンなどの大都市圏でのスーパー マーケットなどでは長めの営業時間であったり、土曜、日曜でも営業していたりす ることも多いが、一般的には消費者にとって不便な小売事業者の営業時間帯がドイ ツにおいてECが拡大していった要因のひとつであるといわれている。
また、携帯電話を通じたECも拡大しており、従来のSMSや着信音のダウンロ ード販売に加え、近年では携帯電話による決済サービスの利用も拡大しているとい う。
本調査において実施したドイツの消費者を対象としたアンケートによると、
2009 年の 1 年間でインターネットショッピングの経験のある消費者の割合は
91.3%であった。また、月に1回以上インターネットショッピングを利用する消費
者の割合は52.6%であり、約半数がインターネットショッピングを定期的に利用し ている結果となった(図表 3.4-6)。
図表 3.4-6 インターネットショッピングの購入頻度(ドイツ)
半年に1回程度, 11.3%
2~3ヶ月に1回程度, 21.0%
月に2~3回程度, 21.8%
週に1~2回程度, 7.5%
週に3~5回程度, 2.6%
過去1年間なし, 8.7%
年に1回程度, 6.4%
月に1回程度, 20.7%
(N=1,000)
また、購入した商品・サービスの内容をみると、衣類・アクセサリー、書籍・雑 誌の購入経験が高く、それぞれ58.4%、55.5%となった(図表 3.4-7)。
183
図表 3.4-7 インターネットショッピングで購入した商品・サービス(ドイツ)
55.5%
6.5%
29.8%
13.3%
18.8%
9.2%
22.1%
24.3%
11.2%
58.4%
29.0%
10.1%
31.1%
12.3%
4.3%
15.2%
18.7%
20.0%
5.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
書籍・雑誌(電子書籍のダウンロードは含まない)
電子書籍のダウンロード 音楽・映像のソフト(CD・DVDなど)(コンテンツのダウンロードは含まない)
音楽・映像コンテンツのダウンロード コンピュータ・ゲームのソフト(コンテンツのダウンロードは含まない)
コンピュータ・ゲームコンテンツのダウンロード(オンラインゲームを含む)
パソコン・周辺機器 生活家電(冷暖房機・掃除機など)
AV機器(テレビ・ステレオなど)
衣類・アクセサリー 医薬・化粧品 食品・飲料・酒類 雑貨(玩具、花卉などを含む)・家具・インテリア 自動車・自動二輪車・パーツ 情報提供サービス(有料のウェブサイトとの利用契約など)
旅行サービス(パック旅行申込・ホテル予約を含む)
金融サービス(ネットバンキング・ネットトレーディングを含む)
各種チケット(交通チケット・イベントチケット・ギフト券を含む)
その他
(N=913)
インターネットショッピングを利用した理由については、移動や営業時間を気に することなく購入できることが最も多く選択され、ほぼ 70%となっている。イン ターネットショッピングでの購入価格が安い点も6割超となっており、ドイツでも 価格が重要な要素の一つとして認識されている(図表 3.4-8)。
図表 3.4-8 インターネットショッピングを利用した理由(ドイツ)
69.4%
44.9%
62.1%
50.6%
18.2%
22.8%
20.3%
39.5%
35.2%
25.6%
20.2%
34.5%
28.3%
12.3%
1.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
店舗までの移動時間、営業時間を気にせずに買い物ができるから 一般の商店ではあまり扱われていない商品・サービスの購入ができるから 実店舗で買うよりも価格が安いから 検索機能などにより、購入したい商品を探しやすいから ポイントがたまるなどの特典があるから 在庫が豊富だから/在庫状況を確認できるから 類似商品の機能や価格の比較ができるから 同一商品の価格の比較ができるから 商品を購入した消費者の評価(レビュー)がわかるから 商品を購入するための手続・操作が簡単だから 店員応対がわずらわしくないから 購入商品の持ち帰り、配送に手間がかからないから 様々な決済サービスに対応しているから 商品を購入後に、感想や使用感などを書き込むことができるから その他
(N=913)
184
一方、インターネットショッピングを利用しない理由をみると、最も高いのは「興 味がない/利用する機会がない」という消費者の割合が 57.6%と非常に高い割合と なり、ドイツでは元々インターネットショッピングに対して関心の薄い層が比較的 高い割合で存在すると推測できる(図表 3.4-9)。
図表 3.4-9 インターネットショッピングを利用していない理由(ドイツ)
57.5%
0.0%
36.8%
12.6%
20.7%
17.2%
19.5%
12.6%
10.3%
4.6%
11.5%
4.6%
9.2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
興味がない/利用する機会がないから 購入したい商品がどのサイトで売られているのか、探すのが大変だから 実物の商品を見てから購入したいから 購入時に店員からの説明を受けたり、店員への相談をしたいから 購入時の支払方法に不安があるから 購入後のアフターサービス(返品、交換、保証、故障対応等)に不安があるから 個人情報の取り扱いに不安があるから 商品の受取や配送に不安があるから 問い合わせやトラブルに対し、事業者が適切に対処してくれるかわからないから 以前にインターネットショッピングでのトラブルに遭遇したから ニュースや知人からインターネットショッピングでのトラブルを聞いているから 購入までの手続・操作方法がわからないから その他
(N=87)
デジタルコンテンツ関連の動向では、ドイツにおいても動画、音楽、ゲーム、ソ フトウェアなどのコンテンツダウンロード販売が大きな市場を形成している。特に、
ゲームや音楽コンテンツの人気は高く、ヨーロッパにおいてドイツは英国に次ぐ、
第2位の規模となっている。
ドイツIT業界団体のBitkomは2008年のドイツでのコンテンツのダウンロード 販売額はおよそ 2.1 億ユーロであったが、2009 年は対前年比 18%増の総額 2 億
5,000万ユーロに到達し、件数も前年比24%増の6,000万件となり、過去最大に達
する見込みであると発表している。ドイツにおけるコンテンツ関連のダウンロード 市場は過去数年間で年率30%前後という急成長を遂げており、2006年からの3年 で売上高・件数とも倍増している。さらに2010年も20%程度の成長が見込まれて いる。
また、オンラインゲームの人気も高く、Bitkom による別の調査では、オンライ ンゲームの利用経験者は1,000万人を越えており、特に14歳~29歳の年齢層では
経験率が45%に達しているという。現時点ではPCによるオンラインゲームの利用
が主であるが、今後は携帯機器による利用が増えていくと予想されている。