電機・情報関連機器などの業界においては、大手企業の受発注 EDI 化は以前か ら進んでおり、現在では100%近くに達している企業も珍しくない。
ある大手電子部品メーカーでは、調達のほぼ 100%(金額ベース)が EDI 化さ れている。そのうち、約6 割はVAN が利用されており、残りの4 割はWeb-EDI を利用しているという。近年、VANから、Web-EDIに乗り換える事業者が増加し ており、VAN 経由での EDI の利用はどちらかというと減尐傾向にある。新たに EDIを開始する取引先との間ではWeb-EDIを利用することが多い。
また、同社は販売も約95%(金額ベース)がEDI化されているが、近年、海外 への販売先において、導入が比較的容易なWeb-EDIを採用する事業者が多く、更 に EDI 化が進展している。また、アジア地域ではメールにファイルを添付してデ ータ交換を行う方式の浸透が著しいという。
一般にアジアの事業者は、いかに「早く、安く導入・運用ができるか」という視 点から、利用するEDIを選択する傾向が強く、サーバー接続型のEDIを利用する 企業は、一部のトップクラス大手企業に限定されている。但し、現在、日系の大手 システムベンダーが積極的に中国で、調達ソリューション事業を展開していること もあり、今後、EDIでの取引が更に拡大する可能性は高いと考えられる。
一方、調達、販売を問わず、XMLなどを利用した次世代EDIの普及は、やや低 調である。特に2009 年は、不況の影響などにより、コスト削減のため IT投資を 抑制する事業者が多く、同業界では進展がみられないという。ヒアリング対象の一 部事業者からは、従来の EDI 標準や、技術で十分ニーズは満たせるため、リスク を負って投資し、新技術を導入するメリットが見出せないという声もあがった。
同業界では、受発注周辺の取引に欠かせない各種データのシステム連携も進展し つつある。電機・情報関連機器業界では、受発注を含む、サプライチェーン全体に 渡る情報の連携、可視化の取り組みが進展しつつある。
例えば、2009年10月に稼動を開始したシャープの堺工場では、サプライヤーと の情報連携をリアルタイムで実現する仕組みを構築している。「コンバージェンス サプライチェーンマネジメントシステム」というこの仕組みは、複数企業間で情報 を連携し、生産計画から工程管理、出荷に至るまでの過程をITによって可視化し、
統合管理するものである。
また、環境に関連し、化学物質関連情報の事業者間共有も進展している。2009 年12月にセットメーカー大手7社(パナソニック、東芝、三菱電機、リコー、富 士通、日立製作所、NEC)が JAMP(アーティクルマネジメント推進評議会)の 構築した製品含有化学物質の情報共有データベースからの情報取得を開始するこ とを明言したことを契機とし、部品メーカーの JAMP 共通形式の利用が急速に進
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欧州が採択したREACH規則では、製品含有化学物質についてサプライチェーン 全般での登録や情報提供が義務化される。ところが、高懸念物質(SVHC)の数は 膨大であり、川下メーカーが含有確認を行うことは困難である。そのため、サプラ イヤーが含有情報を提供する必要が生じているが、各メーカーの情報伝達フォーマ ットの違いからメーカーの情報を集約し、情報提供するための負担が大きく、問題 とされていた。
この問題に対処するためJAMPが構築したJAMP-GPは、化学物質に関するデ ータ交換の基盤としての役割を果たすシステムであり、製品含有化学物質情報の開 示・伝達を大幅に効率化することを目的としている。
具体的には、複数の企業との情報交換に一括して対応可能なグローバルポータル
(GP)を介して、情報伝達の共通シートMSDSplus、AISの受発信を行う。これ により情報提供側(サプライヤー)は従来のように複数の顧客に対する個別対応を 行う必要がなくなり、データ連携の作業負荷が軽減されるとともに、情報精度の向 上が可能となる。
これら環境規制への対応に関する情報連携は、今後大きな課題となることが予想 されるが、これに関する課題としては、業界などをこえての標準共通化があげられ る。業界などの単位で、複数の標準が並立すると、多くの業界と取引をする業界の 事業者は、対応の負荷が大きくなることが懸念される。
同業界では商品マスタのデータ交換も、浸透している。但し、原則、これらのシ ステムのデータフォーマットなどは、各社が独自に定義し、システムも独自に構築 したものを使用されるケースが多い。JEITA(電子情報技術産業協会)は、部品情 報の共通データベースECALSを運営しているが、実際の利用はやや低調であると いう。
実際に部品を利用する際には、スペック情報だけでなく、図面情報など広範な情 報が必要となるため、ECALS上の情報だけでは、必要な情報が全て揃うわけでは ない点などが、1つの要因であると考えられる。
また、ある事業者へのヒアリングによると、商品検索などのため顧客に提供する システムは、その機能や使い勝手が、自社の差別化要素となりうるものであるため、
共通化は困難ではないかという声もあがった。
同社が EDI 接続で交換している情報は、受発注、納期情報のほか、商品マスタ 情報である。同社は、CTO(Configuration To Order:受注仕様生産)を行ってい るため、特に商品マスタの構築には自社独特のノウハウをつぎ込んでいるという。
同社の仕組みを利用すると、顧客が指定する商品仕様毎に1つの商品構成番号が発 行される。このような商品データベースや、そのもとになる部品情報のデータベー
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スは、共通化されたものを利用することは困難であるという。
但し、ECALSが定めるような形で、部品情報に関するデータフォーマットを統 一することは非常に重要であるとの声は、多くのヒアリング対象事業者の共通的な 見解であった。
化学業界においては、一部大手企業で、グローバルスタンダードである Chem eStandardsを導入する動きが進展している。2004年のChem eStandards実用開 始時点では、採用企業数は4社であったが、2009年5月のCEDIフォーラムでの 発表によると2008年時点では11社に増加している。
大手総合化学メーカーのA社は、2009年、取引先の大手総合商社との間で、Chem
eStandards による接続を実現した。同社は他にも化学メーカー3 社と、Chem
eStandards によるデータ交換を行っており、化学業界における先進的な事例とし
て注目される。
同社は、現在、主として調達においてChem eStandardsを利用しているが、今 後は徐々に販売側への適用も推進する予定である。既に、大手タイヤメーカーとの 間の取引では、Chem eStandardsを利用している。この際、同社を含む化学メー カー8社が協力して、別々の仕様ではなく標準仕様を使用することの意義を、ご理 解いただいたことで、導入に結び付けたという。
ある事業者へのヒアリングによると、日本の化学業界では、欧米と比較して、販 売へのウェブサイトの活用が不十分であるという。一部の樹脂などの商品はウェブ 販売が定着しているが、他の化学製品に関しては、ほとんどウェブ販売は行われて いない。一方、欧米では、大手化学メーカーは、通常、化学製品の販売ウェブサイ トを構築している。
この点に関して、日本の事業者も取り組みを拡大に向けた努力を継続している。
三菱ケミカルホールディングス傘下の企業は、グループ内で共同して、販売用ソリ ューションサイトを運営している。
一大化学企業のグループである、同グループ内には、多様な化学製品を扱う企業 が多数あり、顧客側からみると、どの企業のサイトで製品を探せばよいか不明瞭な ことが多い。また、問合せやカタログ請求の際にも、どの企業へ接触するのがベス トであるか、判断がつかないことも多い。これらの課題を解決するため、同社はグ ループ共同の、ソリューション紹介サイトを立ち上げた(図表 2.2-1)。
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図表 2.2-1 三菱ケミカルホールディングスのソリューションサイト
出所:三菱ケミカルホールディングスホームページ
サイト上では、各種製品情報や、技術情報、カタログなどを参照することが可能 となっている。また、グループに関連するニュースや、化学業界に関するマーケッ ト情報も掲載されており、化学製品に関するポータルサイトとしての機能も保有し ている。また、同サイトからの問合せは、グループ各社が参照することが可能であ り、最適なソリューションを保有するグループ企業から、問合せへの回答がなされ る仕組みとなっている。
現時点では、直接ネット購入することはできないが、実質的には販売窓口として 機能するサイトであり、今後のウェブサイトからの販売拡大に向けた第一歩といえ