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法制度動向(消費者保護など)

3.2 欧州のインターネットビジネスを取り巻く環境動向

3.2.4 法制度動向(消費者保護など)

英国では、2000年に制定された電子通信法によって EC での信頼性を確保する ことを目的として電子署名の法的な位置づけが定められている。政府は法的な取引 においても電子署名の利用を徐々に認めており、例えば、自主規制ベースの

tSchemeというスキームが企業間の取引などで導入され始めている。

ドイツでは、2001 年に電子署名の効力を手書き署名と同等とする法案を可決し ているが、ECにおける電子署名の活用はあまり進んでいない。電子署名に関して は、トラストセンターという認可事業者が消費者に署名カードや読取装置を無償配

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布しているものの、技術的、法的な取扱いの煩雑さとコスト高のために採用は進ん でいないのが現状である。これを打破するため、2008年の7月に政府が新しいID カードの導入を発表し、インターネットによる取引を促進させようと試みている。

個人情報保護については、各国とも強化の方向に動いている。

英国では、2000 年に個人情報保護法を改正し、企業に無限責任を課することを 決定しており、企業トップは個人的に個人情報を保管したデータベースの正確性に 責任を持つこととなっている。ただし、この法律の施行には多尐の混乱もあり、の ちに政府は個人情報の規定方法についてのガイドラインを発行している。

ドイツでは、2001年に制定された消費者・個人情報保護制度が強化され、2007 年3月にオンラインサービスとECに関連する法律や規制が整理、整備された。こ の法律によると、EC事業者は個人の特定が可能な情報を収集する際には事前に消 費者に通知する義務を負っている。広告目的である場合は、消費者の同意が必要で あり、同意がない場合、EC事業者は個人データを削除しなければならない。一方、

請求書送付を目的とした場合は個人情報を収集することが可能となっているが、第 三者がアクセスすることは認められていない。また、同法律ではEC事業者にウェ ブサイトに関連する URL、電話連絡先、納税者番号などの情報を提供する厳格な ルールも定めている。さらに、Eメールによる広告は、受信者の同意が必要である 上、件名に広告であることを明記することも必要である。スパムメール送信や個人 情報保護違反の場合、5万ユーロを上限とした罰金制度も整備されている。

フランスでは、EU1995年の個人情報保護に関する指令を2004年に適用し、既 存の法律を改正している。このEU指令、およびフランスの法律は独立行政機関で ある「情報処理および自由に関する全国委員会」によって、対象者の同意なしでの 個人情報の収集と利用に対する規制が行われている。特にECに関連する事頄とし ては、EEA(European Economic Area)以外へ消費者情報を送信する際には、当 該国が十分なレベルの情報保護を行っていない限り禁止するものである。

EUでは、電子的なコピーやオンラインでのデータ交換などの電子的な環境にお いても既存の法律体系で著作権を保護するため法律を規定しており、その指令は 2003年10月より施行されている。また、上記にあるようにEUでは、該当国で十 分なデータ保護の環境が整っていない限り EU 外への消費者データを送信するこ と自体を禁止する指令を出している。さらに、EUはISPや通信事業者に対し、通 信日付、対象、通信時間などの顧客の通信履歴の保持を6ヶ月から2年間の期間保 持するように要求する指令を議会で通過させている。これはテロや組織犯罪を防止 するための措置であり、2007年より有効となっている。

英国におけるインターネット関連のデータ保護に関する規制については、2009

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年4月より施行されている。この規制は2007年施行の内容を受け継ぎ、事業者側 はインターネットアクセス記録、Eメール、インターネット電話の記録を12 ヶ月 間保管することを定めている。また、インターネット上で送受信、またはウェブサ ーバー上に保管されているコンテンツに関しての著作権は一般的には他の媒体と 同様に法律で保護されている。インターネットのドメイン名に関しても商標に関す る課題が挙がっており、1998 年には英国の裁判所が、有名ブランド名をブランド の所有者の許諾なしにドメイン名として取得し、後にドメイン名を販売するという 行為は商標権の侵害にあたるという判決を出している。ただし、ドメイン名に関す る規制は英国外では適用できないため、似たような商標を海外の企業が取得してい る場合については未だ課題が残っている状態である。

ドイツでは、ソフトウェア自体は特許の対象外となっているが、内容に関しては 著作権に関する法律で保護されている。2003 年に施行された法律では、違法なソ ースコードを基に作成された電子的な複製ソフトウェアは私的利用であっても違 法とされている。さらに、コピー防止機能を解除するような機器自体も違法として いる。2007 年の法改正では、いくつかのケースにおいて私的利用でのコピーを許 可したが、コピーしたファイルを交換できるファイルシェアリングサイトは禁止と なっている。また同法律では、ライセンス料をコピー機器やストレージ機器の価格 に乗せることを著作権者、アーティスト、機器メーカーなどに認めさせている。

ドイツの電子メディア法では知的財産権保護を目的とした場合、関連当局がISP に対して消費者の個人情報を消去することを要求できることを認めている。2008 年9月より施行された著作権保護強化に関する法律では、著作権者は商用サイト上 の商品に対する権利侵害が疑われる際には情報提供を求めることが可能となって いる。対象サイトは通常の小売を目的としたサイトだけでなく、オークションプラ ットフォームなども含んでいる。

フランスではECにおける知的財産権に関するほとんどの法律の制定をEUの指 令を基にしているが、2009年4月のP2Pダウンロードに関する議論では、EU指 令とは異なった方向性を持っている。EU 指令では、いくつかの例外措置を設け、

利用者にとって、利便性が高まるように配慮している。その一方で、スリーストラ イク法(HADOPI 法)という違法ダウンロードを繰り返している利用者のインタ ーネット接続環境を切断するという厳しい法律を制定している。これは、当局が違 法ダウンロードを繰り返し行っている利用者に対し、当初は手紙での警告から始ま り、3度目の正式な警告を受けた利用者のインターネット接続環境を1年間停止す るものである。この法案は初め6月にフランスの国民議会で可決されたが、当初は 違憲であると判断された。その後の修正法案では、違法ダウンロードを行っている 利用者のインターネット接続環境切断の判断を、判事が下すように定めることで、

当初担当機関による切断判断が違憲であるとされていた部分を回避している。

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通信販売に関しても各国で対応が異なっている。

英国における通信販売における消費者保護対策としてはEUのECに関する指令 を基にDSR(Distance Selling Regulations 2000)が定められている。これによ ると、EC事業者は決済、配送、キャンセル・返品に関する権利などの情報提供な ど一定の基本的な条件を満たしていることが求められている。これら通信販売など の従来型の売買に関する法律はインターネット販売にも同様に適用されている。そ の他、欧州委員会(European Commission)では、消費者に関連する既存の様々 な法律の置き換えを求めているが、英国においては2009年9月現在、これらの提 案は交渉中となっている。

ドイツでは、EU、およびドイツにおける EC(電子商取引)法により、ドイツ 国内でのECの紛争に関して2つの原則が適用される。第一に、消費者については 管轄地域が常に居住国であること。第二に、事業者については国籍(Country of

Origin:寄留国)の原則が適用される。代替として、事業者は管轄地域を契約や約

款に定めることも可能となっている。この規定によって複数の地域の規制を考慮す ることなく事業を展開できるようになるため、EC事業者にとっては利点の多いも のとなっている。一方、消費者の権利を含む紛争時には法廷側はEC事業者の国籍 を考慮した審議が必要となっている。インターネットを介した契約については、従 来型の契約と同等の扱いを受けることとなっており、消費者は食料品と旅行チケッ トを除き、ほとんどの契約において2週間以内に契約を解除することができるよう になっている。EC事業者が消費者に問合せ先を明記していないなど、規制に違反 している場合、契約解除期間は最大で6ヶ月まで延長される。

フランスでは EC サイトは経済・財政・産業大臣の下部機関である、DGCCRF

(競争・消費・不正行為防止総局)の基で管理が行われており、そこではECに関 して特別の監視部隊が存在する。これらの部隊は通信販売規則に則り、特に製造事 業者表示や誇大広告などの監視を行っている。この機関による調査は2007年のEC 関連法の改正によって強化されている。また、フランスの食料品小売業団体や通信 販売協会では、「L@belsite」(www.labelsite.org)という ECサイトへのトラスト マークを設けている。このマークはECサイトがEUの行動規範に遵守しており、

EUおよびEEA諸国での法廷外紛争処理ネットワークであるEEJ-Netと連携して いることを示している。加えて、欧州委員会では、複数言語におけるオンライン消 費者紛争処理機関である ECODIR(www.ecodir.org)の支援も行っている。その 他、Cofrac(Comite Francais d’Accreditation: www.cofrac.fr)は電子署名など の電子的なサービス提供企業に対する認可を与えている。また、リバースオークシ ョンに関しては、フランスの法制度では他国の企業によって開催されたものであっ ても、消費者の不利益については全てフランス管轄の法律で判断されることとなっ