3.3 英国
3.3.1 消費者動向
3.3.1.1 インターネット利用動向(PC、モバイル)
Eurostat の統計によると、英国におけるインターネット回線の契約率は項調に
増加しており、2009年は80%に近づいている(図表 3.3-1)。また、ブロードバン ド回線の契約率も同様に伸びている。2009年には70%に近くに達しており、イン ターネット利用者の多くがブロードバンド回線を利用している(図表 3.3-2)。
図表 3.3-1 英国におけるインターネット回線の契約率の推移
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
2006 2007 2008 2009
契約率(%)
EU27 英国
出所:Internet usage in 2009(Eurostat)
163
図表 3.3-2 英国におけるブロードバンド回線の契約率の推移
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
2006 2007 2008 2009
契約率(%)
EU27 英国
出所:Internet usage in 2009(Eurostat)
携帯電話の利用状況をみると、Ofcomの統計では英国の携帯電話契約者のうち、
およそ1/4が3G端末となっている。携帯電話とその他の無線通信機器は近年浸透 が進んでいる。特に新しい端末の登場はメディアの拡大につながる可能性もあり、
広告事業者などにとって重要性を増しているという。2003年時点では、3G端末は 全体のおよそ7%の普及率であったが、2008年には23%まで急増している。ただ し、日本における3G端末の普及状況と比較すると1/3以下であり、相対的には浸 透率はまだ低い状況である(図表 3.3-3)。
通信料金に対する SMS 以外の通信料金の比率をみると、3G 回線の増加に伴っ て、SMS以外の通信料金売上も伸びている(図表 3.3-4)。これまで、携帯電話か らのインターネットアクセスがそれほど利用されていなかった英国においても、
3G 端末の普及や欧州全体の動向にあるようなスマートフォンなどの普及によって 携帯電話からのインターネット利用が増加していることが伺える。
164
図表 3.3-3 3G契約者数の比率(2003-2008)【再掲】
7
3 3
32 23
11
20
83
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
3G契約者数の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
図表 3.3-4 SMS以外の通信料金の比率(2003-2008)【再掲】
7 6 10
81
24 22
32
100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
SMS以外の通信料金の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom) また、英国の国立統計局(Office for National Statistics)によると、2009年の
第1四半期のWi-Fiホットスポットでの接続者数は前年同期と比較しておよそ70
165
万人増加し、合計250万人に達している。このように、英国では屋外におけるイン ターネット通信環境が整いつつある。
3.3.1.2 インターネットサービス利用動向
Forrester の推計によると、英国では、今後のインターネットショッピングに対
する需要は拡大する見込みである。2009 年に 3,100 万人であった利用者は 2014
年には4,000万人に達すると見込まれている。また、2009 年時点の典型的な英国
のインターネットショッピング利用者の支出額は、平均717ポンドである。今後、
インターネットショッピングでの支出は拡大し、2014年には年間899ポンドに達 するとみられている。
図表 3.3-5 英国におけるBtoC-EC市場規模
24,739
27,615
30,573
33,627
36,760
39,826
€0
€5,000
€10,000
€15,000
€20,000
€25,000
€30,000
€35,000
€40,000
€45,000
2009 2010 2011 2012 2013 2014
Sales (million)
出所:Online Retail Forecast, 1/10 (Western Europe) (Forrester)
インターネットショッピングの拡大により、英国におけるBtoC-ECの市場規模 は2009年の247億ユーロから年平均10%の成長率で拡大し、2014年には398億 ユーロの規模となると推計されている(図表 3.3-5)。
英国の経済誌エコノミストによると、購入している商品は、映画、音楽が上位で あり、次に衣服、スポーツ用品が多く、その他、家庭用品や旅行の宿泊、雑誌・書 籍が主に購買されている。また、消費者の属性をみると、インターネットショッピ ングは現在では世代、性別に関わり無く幅広い層で受け入れられているが、特に学 歴、収入が比較的に高い層に受け入れられやすい傾向があるという。消費者の購入
166
チャネルの傾向に関しては、インターネットショッピングへのチャネルシフトは確 実に進展しているとされており、英国のインターネットショッピングの利用者の半 数以上が複数のチャネルを利用しているという調査結果も出ている。ただし、これ らの利用者は特定のチャネルやブランドへのこだわりは薄く、インターネット上で 情報を検索、参照した後にこれまでと違うブランドの商品を購買したり、店舗へ買 いに出かけたりすることも多いという。
本調査において実施した英国の消費者を対象としたアンケートでは、2009 年の 1年間でインターネットショッピングの経験のある消費者の割合は93.3%であった。
また、6割以上の消費者が月1回以上インターネットショッピングを利用している と回答しており、インターネットショッピングが浸透していることが伺える(図表 3.3-6)。
図表 3.3-6 インターネットショッピングの購入頻度(英国)
年に1回程度, 3.1%
2~3ヶ月に1回程度, 19.6%
月に1回程度, 20.8%
月に2~3回程度, 24.9%
週に1~2回程度, 12.5%
半年に1回程度, 7.8%
過去1年間なし, 6.7% 週に3~5回程度, 4.6%
(N=1,000)
また、購入した商品・サービスの内容をみると、音楽・映像ソフトが最も多く、
続いて、衣類・アクセサリー、書籍・雑誌の項で購入されている。また、英国の特 徴として、金融サービスの利用者が多い点が挙げられる。英国ではどの金融機関も オンラインバンキングサービスを提供しており、一般的に利用が広がっていると推 測される(図表 3.3-7)。
167
図表 3.3-7 インターネットショッピングで購入した商品・サービス(英国)
49.4%
8.9%
55.9%
25.3%
29.9%
11.7%
22.0%
22.7%
14.7%
53.9%
16.9%
24.8%
35.8%
8.1%
7.8%
37.5%
29.5%
33.1%
4.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
書籍・雑誌(電子書籍のダウンロードは含まない)
電子書籍のダウンロード 音楽・映像のソフト(CD・DVDなど)(コンテンツのダウンロードは含まない)
音楽・映像コンテンツのダウンロード コンピュータ・ゲームのソフト(コンテンツのダウンロードは含まない)
コンピュータ・ゲームコンテンツのダウンロード(オンラインゲームを含む)
パソコン・周辺機器 生活家電(冷暖房機・掃除機など)
AV機器(テレビ・ステレオなど)
衣類・アクセサリー 医薬・化粧品 食品・飲料・酒類 雑貨(玩具、花卉などを含む)・家具・インテリア 自動車・自動二輪車・パーツ 情報提供サービス(有料のウェブサイトとの利用契約など)
旅行サービス(パック旅行申込・ホテル予約を含む)
金融サービス(ネットバンキング・ネットトレーディングを含む)
各種チケット(交通チケット・イベントチケット・ギフト券を含む)
その他
(N=933)
インターネットショッピングを利用した理由については、移動や営業時間を気に することなく購入できることが最も多く、70%近い割合となっている。また、回答
者の 50%以上が同一商品の価格比較が行える点を選択しており、インターネット
ショッピングの利用は利便性が大きな要因となっている。また、販売価格が店舗よ り安いことを利用の理由として挙げた割合は63.8%と2番目に多く、インターネッ トショッピングに販売価格の安さを求めている消費者も多い。(図表 3.3-8)。
一方、インターネットショッピングを利用しない理由としては、実物を見たいと いう理由が最も多く、44.8%となった(図表 3.3-9)。英国のように比較的ECが普 及している国でも、未だに実物を確認したいというニーズは強いようである。EC 事業者にとっては、いかにこの課題を克服するかは継続的なテーマとなっている。
168
図表 3.3-8 インターネットショッピングを利用した理由(英国)
67.5%
44.6%
63.8%
46.9%
17.5%
44.7%
46.2%
54.3%
37.6%
29.4%
20.3%
40.2%
15.4%
8.9%
3.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
店舗までの移動時間、営業時間を気にせずに買い物ができるから 一般の商店ではあまり扱われていない商品・サービスの購入ができるから 実店舗で買うよりも価格が安いから 検索機能などにより、購入したい商品を探しやすいから ポイントがたまるなどの特典があるから 在庫が豊富だから/在庫状況を確認できるから 類似商品の機能や価格の比較ができるから 同一商品の価格の比較ができるから 商品を購入した消費者の評価(レビュー)がわかるから 商品を購入するための手続・操作が簡単だから 店員応対がわずらわしくないから 購入商品の持ち帰り、配送に手間がかからないから 様々な決済サービスに対応しているから 商品を購入後に、感想や使用感などを書き込むことができるから その他
(N=933)
図表 3.3-9 インターネットショッピングを利用していない理由(英国)
25.4%
0.0%
44.8%
10.4%
26.9%
14.9%
19.4%
7.5%
7.5%
4.5%
6.0%
10.4%
11.9%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
興味がない/利用する機会がないから 購入したい商品がどのサイトで売られているのか、探すのが大変だから 実物の商品を見てから購入したいから 購入時に店員からの説明を受けたり、店員への相談をしたいから 購入時の支払方法に不安があるから 購入後のアフターサービス(返品、交換、保証、故障対応等)に不安があるから 個人情報の取り扱いに不安があるから 商品の受取や配送に不安があるから 問い合わせやトラブルに対し、事業者が適切に対処してくれるかわからないから 以前にインターネットショッピングでのトラブルに遭遇したから ニュースや知人からインターネットショッピングでのトラブルを聞いているから 購入までの手続・操作方法がわからないから その他
(N=67)
オンラインコンテンツの利用状況をみると、ブロードバンド回線の普及もあり、
オンラインビデオの視聴が広がっている。
2009年4月に実施されたcomScoreの調査では、オンラインビデオの閲覧回数 は47億回に達しており、2008年の同時期と比較すると47%の増加となっている。