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4.3 越境電子商取引に関する事業者動向

4.3.1 日本

日本のインターネットビジネス事業者(ネット販売事業者や、CGM系事業者な ど)は、国内需要の冷え込みや、尐子高齢化による市場縮小などに対する懸念から、

総じて海外市場への進出意向は強いといえる。特に近い将来、大規模な市場となる 中国市場については、何らかの形で進出する必要があると、多くの事業者は認識し ており、実際に進出を決定している事業者も一部ある。

ただし、その際に、いわゆる本調査でいう「越境電子商取引(以下、越境EC)」

という形態を取るかどうかは、ケースバイケースである。また、大半の事業者は、

海外進出の必要性は認識しているが、そのタイミングとして「今」が適切であるか どうか、様子をみている状況であると考えられる。

近年、これら海外進出を目指す事業者を支援する、EC支援事業者が多数出現し、

様々なサービスの提供を開始した。特に中国への物販越境ECをサポートする事業 者が多く現れている。まだ現時点では、開始直後のサービスが多いため、目立った 成果は公表されていないが、今後の拡大が期待される。

以下、具体的にインターネットビジネスの海外展開や越境ECの展開を実施、も しくは予定している事業者を紹介する。

楽天は、2010年1月、中国の検索大手百度と、BtoCインターネット・ショッピ ングモールを運営するための合弁会社を設立すると発表した 。出資比率は、楽天 51%、百度 49%である。同社の持つショッピングモール運営の技術、ノウハウと、

百度の持つ集客ノウハウ、マーケティングノウハウをあわせて、中国当局の許認可 を前提とし、2010年後半を目処にサービス開始する予定であるという。

また、同社は、2009 年より、特に需要が高いと想定される中国、台湾、韓国、

米国の利用者をターゲットとした、英語・中国語・韓国語サイトを開設している6。 また、日本語サイトの自動翻訳機能(25カ国語に対応)も提供し、12カ国に対 する国際配送にも対応している。さらに、2009年6月には「海外販売推進チーム」

を設置し海外マーケティング機能を強化、2010年2月からは、楽天市場の出店事 業者が、商品ページの英語版を作成できる機能(自動翻訳結果の修正が可能)を無 償提供するとしている。

現在、楽天市場には、70 カ国以上の利用者から注文が寄せられている。海外利 用者の国・地域別傾向は、香港、米国、中国、台湾の項に多く、その大多数は在留 邦人ではなく、現地の利用者とのことである

今後は、現在1日あたり数百万円に留まっている海外向け売上高を、1日あたり

6 2009622日付 日経MJ

57 1億円に引き上げる意向である。7

CGM系のサービスを展開する事業者も、市場規模の拡大が目覚しい中国に積極 的な展開を図っている。日本最大の化粧品クチコミサイト「@cosme」を運営する アイスタイルは、海外向けサービスとして、中国で「BEAUBEAU.COM.CN(美 優網)」という中国最大のコスメ情報ポータルサイトの出資およびノウハウ提供を 行っている。

三井物産株式会社などと共にビューネット・メディア・コンソーシアム(上海)

へ出資、ビューネット社に事業モデルおよびクチコミ情報データベース運営のノウ ハウを提供して、2007年1月に開設した。

美容情報専門のフリーマガジンなども発行し、認知度向上に努めることで、同サ イトは、2010年3月までに、会員数20万人、月間3,000万PV、クチコミ数は40 万件という規模のサイトに成長している8

また、SNS大手ミクシィは、現在、中国(上海)にて、β版として蜜秀(mixiu)

を運用している。フィージビリティスタディとしての位置付けで運用しており、

2009年11月時点で、会員数は数万人程度であるという。

更にインターネット広告大手、サイバーエージェントも海外展開を予定している。

同社は2010年春を目処に同社が国内で展開するコミュニティサイト「アメーバピ グ」を海外展開する。まずは世界最大のSNSサイト「Facebook」上でアメーバピ グの英語版を提供する。Facebookの開発仕様公開により、集客の足がかりができ、

進出が可能になったという9

日本から米国を含む各国への越境ECを展開する事業者として、ネットプライス グループがある。同グループは、越境ECサービスとして「sekaimon(セカイモン)」、

更に越境ECを支援するサービスとして「転送コム」を展開している。

「sekaimon(セカイモン)」は、世界最大オークションeBay(米国)の日本向け 公認サービスであり、eBay で出品された商品を日本語サイトで購入することが可 能である。2009年は、円高の影響も追い風となり、利用が拡大したようだ。

「転送コム」は、2008年10月にスタートした、日本のECサイトの商品を国際 配送する海外発送代行サービスであり、既に50以上の国・地域に商品転送を行っ ている。

商品を購入する消費者は、サービス開始当初は、主に海外在住の日本人駐在員や 留学生が中心であったが、最近では日本に興味のある外国人購入者も増加している。

7 2010217日付 日経産業新聞

8 20103販促会議

9 2010122日付 日経MJ

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また、「転送コム」を利用して越境 ECを行う国内 EC事業者も次第に増加して おり、「転送コム」は、BtoC-EC及び、BtoBtoC-ECの双方で利用可能なプラット フォームの位置付けとなりつつある。

「転送コム」のサービスに対するニーズは非常に高く、同梱サービスなどの拡充 の希望も多いという。利用者数はまだ多くはないが、「海外からも日本の商品が気 軽に買える」ことに対する認知は、まだまだ低く、今後さらに認知が広がればサー ビスの利用も進むとみている。

海外の様々な国へ越境ECを展開する際、本格的な仕組みを構築して参入する場 合に必要なサイト構築や、物流、決済手段を提供するEC支援事業者も存在する。

WIP ジャパンは翻訳サービス、ローカライゼーション、通訳、海外調査、海外 ウェブマーケティング、多言語ウェブ制作サービス、海外向けECカートのサービ スなど、多言語サービスを中心に事業を展開する事業者である。取り扱い言語数は 139言語、在外日本人スタッフ登録国数は85カ国、402都市に及んでいる。

同社の提供する「マルチリンガルカート」は、11言語、24通貨に対応した海外 向け多言語ネットショップASPで、月額9,700円から利用が可能となっている。

配送にはEMS(国際スピード郵便)、FedEx(国際航空貨物輸送、国際エクスプレ ス輸送)、UPS(米国宅配会社)などの利用が可能であり、決済システムとしては、

イプシロン、24 カード決済.jp、ペイパル、アリペイ、GMO ペイメントゲートウ ェイ、RBS WorldPayに対応している。

同社によれば、海外に対して販売しやすい商品とは、希尐性があるもの(日本独 自の文化に根ざしたものなど)、普遍性があるもの(現地と仕様が異なるものは販 売が困難)などであり、成功する事業者は、入念な現地マーケティングを実施して いる事業者であるという。サイトを開けば売れるというものではないため、現地に おけるダイレクトメール発信など、インターネットとは関連のないプロモーション を地道に展開する事業者が成功を収めるということである。

現在、同社に対する中国向けの引き合いが非常に多いが、実際に事業が軌道にの る割合は、欧米向けが多い。欧米の市場と比較して、中国市場への販売は価格の面 で、難しい点が多いという。中国で販売する場合、商品単価に加えて関税、消費税

(例として、綿製のワイシャツの場合、関税と消費税を合計した税率は30%前後)、 送料、代金未回収リスクなどの金額が付加されるため、金額は日本での販売金額の

1.2~1.5倍にまで膨れ上がるケースが多々ある。これを更に人民元に換算して販売

するため、中国国内における物価の感覚からいうとかなりの高額商品になってしま い、富裕層以外はターゲットとならない価格帯での販売となる。

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インフォキュービック・ジャパンは、米国インフォキュービック・LLC(Info

Cubic LLC)がグローバルSEM事業を展開するに当たり、グローバル戦略の一環

として設立した日本法人である。日本独自の事業として海外EC向け多言語カート の「iEC」販売を行っている。海外EC向け多言語カート「iEC」は、2009年の9 月に開始したサービスである。

ECサイト構築は現在、11言語に対応しているが、実際にサイト構築の依頼があ る言語は、英語と中国語がほとんどであるという。また、配送手段は、EMS、FedEx、

UPSに対応しており、208カ国に配送が可能である。決済手段は、WorldPay、ペ

イパルPayPal、支付宝(アリペイ)、各種クレジットカードを用いた決済の提供が

可能であり、17通貨に対応している。

現在サービスを開始した直後であるため、実際に契約している事業者は限定的で あるが、無料試行を行っている事業者は、数十社程度存在する。

同社は、越境ECで成功するためには、現地におけるマーケティング調査が非常 に重要であると認識しており、従来から提供している情報リサーチサービスなどに 加え、最近、中国市場に知見のある事業者と協力して、中国市場で「売れる」商材 であるか、査定し、アドバイスを提供するサービスを開始している。

更に近年サービスを開始した、中国への物販越境ECを支援するショッピングモ ール型事業者を紹介する。極めて低い初期投資で、ある意味気軽に出店可能であり、

すぐにでも中国に対して販売可能となる点が特徴である。

決済代行を手がける SBI ベリトランスが運営するバイジェイドットコムは、同 社の銀聯(ぎんれん)カードの取扱いを発端として、物流・翻訳・決済などを含め た越境ECを全体的にサポートするため開始したショッピングモールである。

バイジェイドットコムを利用する事業者は、利用開始の次の日からでも、商品を 中国に販売する体制が整う。

中国からの購入があった場合、出店事業者はバイジェイドットコムが指定する倉 庫に出荷すれば良く、それ以降は、バイジェイドットコムで集約して、中国へEMS で発送する。物流諸経費として、中国側購入者から、1注文ごとに一定額を徴収す る。現在の日本側利用企業(顧客)はの洋服の青山、ヨドバシカメラ、コメ兵など であり、比較的大手の事業者が多い。利用料はこれまでは月額20万円弱程度であ ったが、11 月よりライトプランとしてそれまで人手で行っていた翻訳部分を自動 化して価格を下げたサービスも開始している。

中国側の利用者(消費者)は、バイジェイドットコムのサイトでのショッピング にあたっては、会員登録をする必要があり、2009年10月時点の登録者数は10万 人を超えている。SBIベリトランスでは、タイムセールなど、様々なキャンペーン