3.2 欧州のインターネットビジネスを取り巻く環境動向
3.2.2 技術動向
欧州各国では、2003年から2008年の間にブロードバンド回線が急速に普及して いる。英国のOfcom(Office of Communications:英国情報通信庁)によると、英 国の2003年からの5年間でのブロードバンド回線契約数は年平均成長率41%の伸 びを見せており、2008年の契約回線数は 1,700万回線となっている。同様にドイ
150
ツは2,300 万回線、フランスは1,800 万回線であり、2003年と比較するといずれ
も大きな伸びとなっている(図表 3.2-2)。
図表 3.2-2 ブロードバンド回線契約数の推移(2003-2008)
3
5 4
14 17
23
18
30
0 5 10 15 20 25 30 35
英国 ドイツ フランス 日本
回線数(百万) 2003
2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
ただし、ブロードバンド回線として計上する回線速度は、国によって定義が異な るため、普及率のみで各国を比較することは難しい。Ofcomの統計によると、ブロ ードバンド回線の速度について見た場合、8Mbit/s以上の回線の利用率は英国、ド イツはそれぞれ10%、16%となっている。一方、フランスでは26%が8Mbit/s以 上の回線となっており、フランスでは比較的高速な回線が普及していることが分か る(図表 3.2-3)。
151
図表 3.2-3 8Mbit/s以上のブロードバンド回線の利用率(2008年)
10
16
26
0 5 10 15 20 25 30
英国 ドイツ フランス
%
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
欧州では、各国ともブロードバンド回線の普及に向けた施策を打ち出している。
英国では、大手ISPのBTとVirgin Mediaが2008年に光ファイバーによる「超 高速」ブロードバンドネットワークを敶設する計画を発表しており、各々1,000万 世帯、1,200 万世帯をカバーするとしている。さらに、2009 年6 月に発行された 英国政府の「Digital Britain」では、2017 年までに「超高速」ブロードバンドネ ットワークを英国の全世帯の 90%に敶設するためのファンドを銅線電話線に対す る課税を基にして創設することを提案しており、今後のさらなる拡大が予想される。
ドイツでは、衛星やケーブルテレビなどによるブロードバンド接続も可能ではあ るが、ほとんどはDSLが利用されている。大手通信事業者のドイツテレコムでは トリプルプレーでの高速ネットワーク(VDSL)を推進しており、今後普及してい くとみられる。
フランスでは、2010年以降に建設される25世帯以上の集合住宅に対しては、光 ファイバー回線の敶設を義務付ける法律が制定済みであり、2011 年以降では新た に建設される全ての集合住宅に適用されることとなっている。
携帯電話の契約者数も各国とも伸びを見せており、利用者が拡大している。
Ofcomの統計によると、2003年から2008年の間に英国では年平均成長率7.7%で
伸び、7,700万回線に達している。同様に、ドイツ、フランスでも契約者数は伸び ており、ドイツは1億700万回線(年平均成長率10.5%)、フランスは5,800万回
152
線(年平均成長率6.8%)となっている(図表 3.2-4)。
図表 3.2-4 携帯電話の契約者数
53
65
42 77 80
107
58
106
0 20 40 60 80 100 120
英国 ドイツ フランス 日本
契約者数(百万)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
携帯電話の通信技術別のカバー率をみると、3G 端末の普及も進んでおり、対象 の3 カ国中で最も低いフランスで 80%に近づいている。また、HSPA による通信 整備状況も3Gとほぼ同等レベルまで提供されている(図表 3.2-5)。
153
図表 3.2-5 携帯電話の通信技術別カバー率(2008年)
100 99 99
93
85
77 91
85
77
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス
人口カバー率(%)
2G 3G HSPA
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
ただし、これらの数値は人口に対するカバー率である。Ofcomの統計によると、
3G携帯電話の契約者数の比率は英国で23%、フランスで20%、ドイツでは11%
とまだ低い状況である。欧州各国において、3G 携帯電話は現在普及が拡大してい る段階であり、2003年から 2008年の間に普及率は各国とも 3倍から7 倍程度に 急拡大している(図表 3.2-6)。
一方、通信料について、主にインターネットに利用されると考えられるSMS以 外の通信料売上の比率をみると、2008年の比率は各国とも20~30%である。ただ し、2003年からは大幅に伸びており、今後、さらなる拡大が期待される(図表 3.2-7)。
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図表 3.2-6 3G携帯電話契約者数の比率(2003-2008)
7
3 3
32 23
11
20
83
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
3G契約者数の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom)
図表 3.2-7 SMS以外の通信料金の比率(2003-2008)
7 6 10
81
24 22
32
100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
英国 ドイツ フランス 日本
SMS以外の通信料金の比率(%)
2003 2008
出所:The International Communications Market 2009 (Ofcom) 携帯電話メーカーの出荷状況をみると、IDCの統計では2009年第3四半期の携 帯電話出荷台数が15ヶ月ぶりに増加に転じている。2009年第3四半期は合計4,680
155
万台の出荷があり、対前年同期比5%増となっている(図表 3.2-8)。
図表 3.2-8 ヨーロッパの携帯電話出荷台数推移(2008 3Q - 2009 3Q)
(単位:百万)
携帯電話メーカー 2009 3Q
出荷台数
2008 3Q
出荷台数 増減
Nokia 16.5 16 3%
Samsung 14.3 12.9 10%
LG 5.1 2 150%
Sony Ericsson 4.9 7 -30%
Apple 2.1 2 6%
Research in Motion 1.4 0.8 87%
その他 2.5 4 -38%
合計 46.8 44.7 5%
出所: European Quarterly Mobile Phone Tracker (IDC)
Nokiaは依然としてシェア35%と首位を堅持しているが、2位のSamsungが項
調にシェアを伸ばしており、2010年にはNokiaと同等のシェアを確保するペース である(図表 3.2-9)。Samsungは欧州で近年特にシェアを拡大しているという。
図表 3.2-9 欧州における携帯電話メーカーシェア(2009年第3四半期)
Nokia 36%
Samsung 31%
Sony Ericsson 10%
LG 11%
その他 5%
Apple 4%
Research in Motion 3%
出所: European Quarterly Mobile Phone Tracker (IDC)
AppleやResearch in Motion(RIM)の提供するスマートフォンもシェアを拡
156
大している。AppleのiPhoneは世界中で高い人気を集めているが、これまでの各 国 1 通信事業者から複数事業者との提携への戦略転換によってスマートフォンと してのシェアはさらに大きく伸びているという。また、RIM のスマートフォンで
あるBlackBerryは87%と大きな伸びをみせている。同四半期におけるスマートフ
ォンでのシェアも13%から 16%に拡大しており、新しいショッピングチャネルと して消費者からの注目も高いという。