近年C型肝炎ウイルスに対する直接作用型抗ウイルス薬が登 場し、将来的にHCV感染者は減少すると見込まれています。ま たHBV感染者もゆっくりとではありますが減少してきています。
一方、B型・C型肝炎ウイルス以外を原因としたいわゆる非B非 C型の肝硬変・肝がん患者さんが増加してきています。
非B非C型肝硬変・肝がんの原因のほとんどは、非アルコール 性脂肪性肝疾患かアルコール性肝疾患が原因で、早急な対策が 求められています。O県は日本全体での傾向とは異なり、肝硬変 の原因としてアルコールによるものが最も多く、死亡率も高率の まま推移しています。従ってO県の肝硬変・肝がん患者さんを減 少させるためには、アルコール性肝疾患、強いてはO県における 飲酒習慣に関する対策が重要です。
多量飲酒に関する問題点
肝臓病(肝硬変・肝がん)を発症する危険性が上昇する 高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を発症する危険性
が上昇する
肝がん以外の悪性疾患を発症する危険性が上昇する 依存症になり、社会的な問題も発生する
これらの多量飲酒による問題は、患者さん本人の問題だけに 留まりませんので、ご家族の協力や社会全体での飲酒に関する 正しい知識を共有することも非常に重要です。
アルコール性肝疾患への対策は、患者さんの飲酒を含む生活 習慣における行動変容が大前提なので、なかなか簡単ではあり
ませんが、中長期的に患者さんを減らすことを目標として地道な 情報提供・啓発活動を継続する必要があります。このためには多 方面からの啓発が重要で、肝臓専門医だけではなく、地域の肝 Coの活躍にも期待されています。
啓発の方法は?
(1)市民公開講座や肝臓病教室
患者さん自身が勉強する機会を提供する場です。医師だけで はなく、より患者さんに近い肝Coの立場からの情報提供が有効 です。(行動変容にはあの手この手で啓発を!)
(2)多量飲酒者や患者さん個々への情報提供
肝臓専門医をはじめ多くの医師は病院内でしか患者さんのお 話を聞く機会がありません。でも患者さんは病院では正直に飲 酒習慣について話してくれ ないことがあります。そのため病院 内でだけ話を聞くのではなくて、可能なら患者さんの自宅などに 訪問して、できるだけ緊張感を持たない環境をつくり、情報収集 や飲酒習慣などの健康アドバイスを行うととても効果的です。
これは医師にはできない、コメディカルの肝Coが行える大きな 強みと言えます。
(3)ラジオなどメディアを通した啓発活動
地域全体にラジオで情報提供を行う試みをはじめています。
啓発の効果はまだまだ検証中ではありますが、拠点病院の肝Co による情報提供が聞きやすいとか、理解しやすいなどの感想を 頂いています。
個人としての肝Co活動:職種や立場を最大限の強みとして活動するには?
現在アルコールや非アルコール性の肝疾患が増加傾向にあり、
対応が求められています。肝臓病のエキスパートとしての肝Co の皆さんの活躍に大きな期待が寄せられています。
☆ポイント☆
飲酒の諸問題では患者さんと医師には距離感がでてしまいが ち。そこで飲酒に関する支援こそ多職種からなる肝Coの腕の見 せどころ!
前城 達次