肝硬変や肝がんへの進行予防という点で肝炎ウイルス検査の実 施は重要であり、「健康経営銘柄」の審査における調査項目の一 つにも挙げられています。
(2)肝炎検査結果の取り扱いについて [ 資料2、3]
肝炎ウイルス検査は、労働安全衛生規則の定めにより会社が 実施する法定健康診断の検査項目には含まれていないため、職 場で実施した場合は個人情報保護法に従って要配慮個人情報と して取り扱うことが求められます。厚生労働省の通達の中でも 肝炎検査の結果については医療機関から直接本人へ通知するよ う繰り返し示されています。本人の同意を得ずに事業主などの 会社側へ結果を通知してはいけません。
(3)職域での肝Coの役割
産業医や産業保健職が関与している職場では、これらの医療 職が中心となることが望まれますが、医療職が関われない場合 でも地域の肝疾患診療連携拠点病院の支援を得ることで以下の ような役割が可能です。
①職場における健康教育
B型やC型の肝炎ウイルスは血液によって感染しますが、尿、
涙、汗などによって感染することはまず考えられないため、医療 職等の血液に触れることがある職場以外では、ほとんど感染す るリスクはありません。ウイルス性肝炎に関する正しい知識の普 及を図ることで偏見や差別が生じないようにします。また、B型・
C型肝炎の治療は、以前は重い副作用などにより仕事を休んだ り休養をとる必要がありましたが、今では新しい治療薬により通 常勤務に従事しながら治療できるようになっていること、検査や
治療に対する費用面での助成制度があることを伝えることが重 要です。
②肝炎ウイルス検査の実施
実施方法としては大別して、ⅰ)会社が独自で実施、ⅱ)健康保 険組合として実施、ⅲ)自治体の検診事業を利用する方法があり ますが、それぞ れ の実施上の注意点については、肝炎セキュリ ティHP[資料2]にまとまっています。事業所での実施が難し い場合でも協会けんぽの場合、被保険者の自己負担額は600円 程度で受診できますし、自治体によっては無料で検査を受ける こともできることを伝えましょう。
③受診、受療への支援について
肝炎ウイルス検査の結果が陽性とわかっても、その後に精密 検査を受診しない人、治療のための受診をしてない人、あるいは 治療を中断してしまった人がいます。特に職域では、忙しいこと や日中に仕事を休めないことが原因となることが多いようです。
休日、夜間にウイルス性肝炎の治療が可能な診療所、病院もあり ますので、こういった情報も提供しながらぜひ受診を勧めて下さ い。治療中であれば就業上の配慮(長期海外出張を避ける等)が 必要になる場合がありますが、治療と仕事の両立支援を参照下 さい。
職域での検査や就業上の配慮については各都道府県の産業 保健総合支援センターでも相談可能です。
参考資料
1) 健康経営のため のウイルス肝炎対策HP https://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/
sanhoken/hcv/index.html
2) 肝炎セ キュリ ティHP https://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/sanhoken/kan-en/index.html
3) 事 業 場 に お け る 労 働 者 の 健 康 情 報 等 の 取 扱 規 程 を 策 定 す る た め の 手 引 き https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf
古屋 博行 1) 健康経営のための
ウイルス肝炎対策 2) 肝炎セキュリティ 3) 事業 場に お ける労 働 者の 健 康 情 報 等 の取 扱 規 程を策 定 するための手引き