も現時点で得られる利得の方が価値が高いと判断する傾向です。
先ほどの例を用いて説明すると、テストで良い成績を取るという 将来の利得よりも遊んで楽しい時間を過ごすという現在の利得 の価値の方が高いということです。また、テスト勉強をしている 時点で勉強をするのがしんどいと、それがコストとなってしまい テストで良い成績を取るという利得の価値が割り引かれること となります。このように将来の利得の価値観が低く認識されて しまうから「先延ばし行動」が生じることに繋がります。
事例でのやり取りではどこに「現在バイアス」が生じているの か紹介します。
肝Co:肝炎予防のための精密検査を受けてくださいね。
患者さん:今何も問題ないし大丈夫だよ。そこら辺の同年代より元 気でお酒も楽しんでるよ。
肝Co:血液検査の結果は陽性だったんですよ?
患者さん:うーん、まぁ大丈夫でしょ。時間もないしもう出ますね〜。
先ほど紹介した例を踏まえて事例を見ると、精密検査を受診 し肝炎を防ぐことで生じる将来の利得の価値の高さより現在の 生活をそのまま送ることの価値の方が高いと判断されることに 納得がいくでしょう。
しかし事例のような場面で「先延ばし行動」をしてしまうと、
将来、取り返しのつかないことになります。
現在バイアス(先延ばし)
「先延ばし行動」を避けるための行動経済学の知見
今回のやり取りでは、患者さんは今は健康だし何も問題はな いと感じていると思います。そして、肝Coに将来起こりうる肝 炎を予防するために精密検査の受診を勧められるも検査を受け る時間や手間、金銭面のことを考えると肝炎の予防のために精 密検査を受ける利得は低く、むしろコストがかかって損失と捉え て精密検査の受診を躊躇しています。
そのため、次の3点を意識してやり取りを工夫するといいかも しれません。
① 精密検査を受診しないことで生じる将来の損失について具 体的に説明する。
② 精密検査を他の患者さんも受診していることを伝える。(ピ ア効果)
③精密検査の受診による利得の大きさと損失の低さを伝える。
1度だけ説明しても中々精密検査の受診には繋がらないかも しれませんが、この3点を意識して繰り返し説明すると効果が 現れてくると思います。
3点を意識してやり取りを工夫したやりとりをご覧ください。
肝Co:肝炎予防のための精密検査を受けてくださいね。
患者さん:今何も問題ないし大丈夫だよ。そこら辺の同年代より元 気でお酒も楽しんでるよ。
肝Co:そうですね、確かに今は同年代の方より元気かもしれませ んが、もし肝炎が発症して重症化していくと、今楽しまれて いるお酒は一滴も飲めなくなりますし、肝臓の移植手術が 必要になることがありますよ。
患者さん:そ、そんなことないでしょ(笑)。それに結構費用もかかる かもだし、みんな受けてないから大丈夫でしょ。
肝Co:実は肝炎の精密検査って皆さんの多くが受診されているん ですよ。それに、費用もほとんど掛かりませんし、ご自身の 将来やご家族のことを考えられてる方が多いみたいですね。
精密検査自体もすぐに終わりますし、長い期間楽しくお酒 を飲める生活が送れるならってことで。
平井 啓
ピア効果の提示
受診しないことによる具体的損失 の提示
受診による損失の低さの提示
受診による損失の低さの提示 受診による利得の高さの提示