地域の一員としての肝Co活動:各地の課題解決を視野においた活動事例
自治体に勤務する保健師として県の
な不安に対して向き合えていただろうか?」と。
それから子供が成長して、健診機関の看護師としてパートに 出る事にしました。平成26年、S県ではすでに職域出前による肝 炎の無料ウイルス検査が開始されていて、検査を希望すると採 血管が1本追加されます。採血前に「1本追加で採血します」と 伝えますので、そこから「肝炎ってどんな病気なの?」と聞かれ る事もたびたびありました。肝炎は自覚症状がない疾患でもあ り、知識がある人の方が少なかったことを覚えています。医療現 場から離れてしまって肝炎に関する知識をアップデートしてい なかった私は10年以上前の「治らない病気」として「肝がん」に なってしまう事のある病気ですよというような事しか伝えるこ とができず、周囲のスタッフが「自分もC型肝炎だけど健康食品 に頼っている」というような話をしていても専門的な適切な助言 はできませんでした。
拠点病院の相談員へ
その後、平成27年11月に拠点病院であるS大学附属病院の肝 疾患センターで相談員として勤務する事となりましたが、その理 由は以前に肝臓内科に勤務した経験があるから、その知識を活 かせるだろうという安直なものでした。しかし、この考えは甘 かったので す。大学は卒業時に保健師免許と看護師免許の2つ の国家試験が受験できるので、意図しない免許取得が役立って 保健師として採用されました。しかし、多くの方にこの言葉の持 つ意味が伝わるかどうかはわかりませんが「私には、保健師経 験がありません。」
拠点病院は、医療現場と行政の橋渡しのような役割を持って います。肝炎対策基本法などの法的根拠や行政の指針も大きく
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関わっての計画の立案や予算編成となります。まず初日に関連 の法律やら成り立ちやらをみっちり説明されましたが、当然わか る訳がありません。医療の現場でしか働いた事がない看護師と、
行政の立場で働く保健師の大きな理解の壁が法律や予算だとそ の時に痛感しました。ただ、私には「看護師としての経験がある」
という事はやはり大きな助けとなりました。実際に苦しむ患者さ んを目の前にした経験は、治療を勧める立場として、「あんな風 に苦しむ人を一人でも減らせたら」という想いにつながりました。
そして県庁の肝炎対策部署へ
さて、前置きが長くなりましたが、タイトル通り、現在、県庁で 保健師として勤務しています。県の肝炎対策を進めるため、各種 助成制度の運用や制度の周知、ウイルス性肝炎啓発資材の周知 を行っています。肝疾患センターで感じた法律と予算の壁はここ でも感じていますが、周囲の人々に助けられて、その壁で肝炎対 策の骨格、つまり家ができていると感じています。現場の意見を 聞き、制度化につなげる事でより多くの人々を助けることができ るのは、ここでしかできない事です。しかし、ここでは、やはり現 場と遠いと感じる面も少なくはありません。だからこそ、これま で様々な場所で肝炎に苦しむ人、そして、苦しむ人が少なくなる よう検査・治療を勧めてきた人々と共に歩んできた、色々な経験 がここでの業務の中で、役立っていると思います。
みんなで力を合わせる肝炎対策を
私は、冒頭で述べさせていただいたように結果として数奇と 言えるほど肝疾患という一本の軸ながら様々な場所での勤務を 経験しています。私のように、渡り歩いてみたい!と思ってくれた 人がいるとしたら、あえて助言したいです「効率が悪い。」と。現
在は、様々な場所に肝Coがいます。お互いが知らない事は補い 合えば良いのです。「医療」は主に苦しんでいる人に介入しますが
「行政」は苦しむ前に介入できます。「医療」の現場の痛み、「行 政」の現場の痛みそれぞれを共有し、「医療」も「行政」もお互い の強みを活かしながら、力を合わせることでより大きな力となり ます。みんなで力を合わせる肝炎対策を進めていきたいと思い ます。
樋渡 由希
編集後記 ①
この冊子の作成にあたって、様々な分野の専門家、また、全 国各地で活躍されている医療従事者や行政職員などから貴重 な原稿をお寄せいただきました。ご多用の折、ご執筆を快くお 引き受けいただいた多くの方々に、心から感謝を申し上げます。
この冊子を読めば、肝炎医療コーディネーターの活動が、幅 広く奥深いものであることが良く分かります。肝炎医療コー ディネーターの皆さんの中には、この冊子をみて、こんなに沢 山のことを知らなければならないのかと驚いた方もいるかも 知れません。でも、この冊子でも言及されているように、出来 ることから、少しずつ始めていただければいいです。普段の仕 事の中で、肝炎の患者や地域の住民のために、何か出来ること があるはずです。肝炎医療コーディネーターの研修を受けたら、
そして、この冊子を読んだら、とにかく何かを始めてみましょ う。分からないことや悩ましいことがあったら、都道府県や肝 疾患診療連携拠点病院の窓口、専門医や他の肝炎医療コーディ ネーターなどに相談できるように、日頃から人間関係を築いて いくことも大切です。この冊子も、はじめから全て読まなくて もいいので、興味を持ったところから目を通し、自分の活動に 合わせて読み進めればいいです。そして、大切だと思ったとこ ろは、何度も読み返してください。
肝炎医療コーディネーターに求められる資質として最も重 要なことは、患者に寄り添う姿勢です。この冊子でも紹介され