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第 9 章 主要投資インセンティブ

7. 電力

(1) 電力概要

インドネシアでは、国営のインドネシア電力公社(Perusahaan Listrik Negara:PLN)が発 電と送電事業を行っている。うち、送電事業はPLNが独占しているが、発電事業に関して は民間事業者(IPP: Independent Power Producer)の参入が認められている。PLNの発表デー タでは、2010年の総発電力約1,700億kWhのうち、IPP等の寄与分は約381億kWhで、全 体の2割強を占める。

インドネシアの電力生産のエネルギー源別割合(図表 19-18)を見ると、国内で産出され る石炭と天然ガスへの依存度が高い。今後、期待される電源は火山国の特性を活かした地 熱発電である。インドネシアは世界随一の地熱資源を有している。足下の地熱発電容量は 米国の3,000MW、フィリピンの2,000MWに次ぐ世界第3位の約1,200MWだが、政府はこ れを2025年までにさらに9,500MWまで増強するとしている。

図表 19-18 インドネシアの発電エネルギー源の内訳(2010 年)

発電エネルギー種別 発電電力量

(100万kWh) 構成比(%)

石炭 68,040.5 41.1

天然ガス 51,977.8 31.4

石油・ディーゼル 19,104.4 11.5

水力 17,031.9 10.3

地熱 9,305.2 5.6

バイオマス 87.5 0.1

太陽光・風力 0.5 0.0

総計 165,547.9 100.0

(出所)エネルギー・鉱業省資料より作成

(2) 需給状況

インドネシアでは近年の人口の増加と経済規模の拡大に伴い、電力需要が毎年急増して いる。金融危機の影響があった2009年こそ需要の伸びが4%と若干鈍ったものの、景気が 回復した 2010年の需要は前年比で9%増加するなど、実質経済成長率プラスアルファのペ ースで電力需要が拡大している。通年での発電量は消費量を 1 割以上超過し続けているも のの、乾季における水力発電能力の低下や定期点検での発電所停止などが重なると一時的 に需要過多となって停電が起こる可能性がある。特に2008年には電力需給が逼迫し、ジャ ワ島とバリ島で工場の操業日を土日に振り替えるようにとの要請が政府から企業に出され た。政府は電力不足対策として2006年以降2次にわたる緊急電源開発計画を発動している。

現地の声によれば、その計画の進捗につれて電力事情は改善されつつある模様である。

近年の電力消費の分野別内訳では、工業分野での消費割合が減少する一方、商業と家庭 分野での電力消費が徐々に増大している。2010年の総消費に対する割合は工業が35%、商 業が18%、公共部門6%、家庭部門41%となっている。

図表 19-19 インドネシアの電力需給の推移

0 30 60 90 120 150 180

04 05 06 07 08 09 10

(10億kWh)

発電量 消費電力

(出所)エネルギー・鉱業省資料より作成

図表 19-20 インドネシアの電力消費の分野別割合(2010 年)

電力消費部門 消費電力量

(100万kWh) 構成比(%)

工業 50,985 34.6

商業 27,157 18.4

公共部門 9,330 6.3

家庭 59,825 40.6

総計 147,297 100.0

(出所)エネルギー・鉱業省資料より作成

(3) 工業団地での最近の電力事情の実態

ジャカルタ東部の工業団地周辺では、現地の民間電力業者の存在やPLNとの優先供給契 約を結んでいる影響で、最近は特に深刻な電力不足は報告されていない。停電の頻度も年 に3回程度、1回あたりの停電時間も平均で1時間に満たない。

ただし、時折電圧が不安定になり、電圧の変動幅によっては機械が停止する可能性があ る。このため、企業によっては電源の安定化装置や非常用電源装置を導入している。

電力料金価格は、工業団地内であっても企業と電力会社との個別契約によって決定され、

業種、契約容量、利用時間帯等によって異なる。ジャカルタ東部の工業団地における一般 的な電力料金は概ね 600~800ルピア/kWh程度であるが、バタム島の工業団地では、1,000 ルピア/kWhを超える工業団地が多い。