第 3 章 経済概況
2. 産業構造
インドネシアの産業構造は、農業主体から製造業、サービス業中心の経済へと移行して いる。スハルトが大統領に就任した1968年以降、第1次産業(農林水産業)中心の経済か ら第 2次産業(製造業など)中心の経済へと構造シフトが劇的に進んだ。1967年時に付加 価値の半分(実質GDP比51.8%)を占めていた第1次産業は、30年後の1997年には14.9% に低下する一方、第2次産業は14.2%から43.2%へと上昇した。なお、第1次産業のウェ イトは、アジア通貨危機の際に製造業が痛手を受けたことで一時的に上昇したが、2010 年 時点は13.2%の水準まで下がっている。
製造業を中心にウェイトが上昇してきた第2次産業ではあるが、2000年代に入ると鉱業 部門の減速に加え、製造業の比率がユドヨノ政権開始の2004年をピークに頭打ちになった ため、構成比は2000年の45.9%から2010年には41.1%へと低下している。
代わってウェイトが上昇しているのが、通信、民間サービス、商業が牽引する第 3 次産 業である。第3次産業の構成比は2000年の38.4%から2010年に45.7%と7.3%ポイント上 昇。中でも通信が+4.4%ポイント(1.3%→5.7%)、民間サービスが+1.1%ポイント(4.3%→
5.4%)、商業が+1.0%ポイント(13.3%→14.3%)と伸びている。
図表 3-4 産業別実質 GDP 比率の推移
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
55%
60 65 70 75 80 85 90 95 00 05 10
(暦年)
第1次産業 第2次産業 第3次産業
スハルト独裁期 民主化移行期 ユドヨノ政権期
基準変更 基準変更 基準変更
①
③
②
(出所)国家統計局資料より作成
2000 年以降、経済成長の牽引役がサービス業となる中で、製造業にあって構成比を大き く伸ばしたのが自動車や二輪車が含まれる「輸送機械」である。2010年までの10年間の実 質成長率は年率10.7%と、経済全体(同5.2%)の2倍以上の伸びを記録し、実質GDPに 占める比率は 4.9%から 8.2%に上昇。それまで製造業の中で最もウェイトの高かった「食 品・飲料、タバコ」(2010年:6.9%)を上回る水準にある。
また、国内の旺盛な建設投資の影響もあり、第 2 次産業の中では「建設業」のウェイト が0.9%ポイント上昇していることも特徴的である(5.5%→6.4%)。
図表 3-5 産業別 GDP(実質)の詳細と構成比
2000 2010 (年率) 2000 2010
全体 1,390 2,311 5.2%
第1次産業 217 304 3.5% (15.6%) (13.1%) (-2.5%) 第2次産業 638 950 4.1% (45.9%) (41.1%) (-4.8%) 鉱業・採石業 168 186 1.1% (12.0%) (8.0%) (-4.0%) 原油・天然ガス 117 96 -2.0% (8.4%) (4.1%) (-4.3%) その他鉱業 39 68 5.8% (2.8%) (2.9%) (+0.1%)
採石 12 23 6.9% (0.8%) (0.9%) (+0.1%)
製造業 386 595 4.4% (27.7%) (25.7%) (-2.0%)
食品・飲料、タバコ 112 160 3.6% (8.0%) (6.9%) (-1.1%) 繊維、革製品、衣料 45 52 1.4% (3.2%) (2.2%) (-1.0%) 木材・木製品 20 19 -0.5% (1.4%) (0.8%) (-0.6%)
紙・印刷 20 28 3.3% (1.4%) (1.1%) (-0.3%)
石油精製 23 21 -0.6% (1.6%) (0.9%) (-0.7%)
液化天然ガス 32 24 -2.7% (2.2%) (1.0%) (-1.2%) 化学・ゴム 43 73 5.4% (3.0%) (3.1%) (+0.1%) セメント・非鉄 10 16 4.9% (0.7%) (0.7%) (+0.0%)
鉄鋼 9 8 -1.5% (0.6%) (0.3%) (-0.3%)
輸送機械 69 190 10.7% (4.9%) (8.2%) (+3.3%)
その他製造業 3 4 3.8% (0.1%) (0.1%) (+0.0%)
公益業 8 18 8.0% (0.6%) (0.7%) (+0.1%)
建設業 77 150 7.0% (5.5%) (6.4%) (+0.9%)
第3次産業 535 1,056 7.0% (38.4%) (45.7%) (+7.3%) 商業・ホテル・レストラン業 224 401 6.0% (16.1%) (17.3%) (+1.2%) 卸売・小売 185 331 6.0% (13.3%) (14.3%) (+1.0%)
ホテル 9 16 6.1% (0.6%) (0.7%) (+0.1%)
レストラン 31 53 5.7% (2.1%) (2.2%) (+0.1%) 運輸・通信業 65 217 12.8% (4.6%) (9.4%) (+4.8%)
運輸 47 84 6.1% (3.3%) (3.6%) (+0.3%)
通信 18 133 22.0% (1.3%) (5.7%) (+4.4%)
金融・不動産業 115 221 6.7% (8.3%) (9.5%) (+1.2%)
銀行 55 90 5.1% (3.9%) (3.9%) (+0.0%)
証券その他 8 19 8.5% (0.6%) (0.8%) (+0.2%) 金融サービス 1 2 5.8% (0.0%) (0.0%) (+0.0%) 不動産賃借 32 67 7.8% (2.2%) (2.9%) (+0.7%) ビジネスサービス 19 43 8.2% (1.3%) (1.8%) (+0.5%) サービス業 130 218 5.3% (9.3%) (9.4%) (+0.1%)
一般政府 69 93 2.9% (4.9%) (4.0%) (-0.9%)
民間 60 125 7.6% (4.3%) (5.4%) (+1.1%)
実額(兆ルピア) 構成比
(差分) (100.0%) (100.0%) (+0.0%)
(注) 実質GDPは2000年基準価格
(出所)国家統計局資料より作成
経済全体の中心が第1次産業から第2 次、第3次産業へと移行するのに伴い、産業別の 雇用者数の内訳も変化している。
インドネシアで生まれた雇用機会の多くは第 3 次産業によるものである。1990 年から 2000年にかけて増加した約1,400万人の雇用者数の内、第3次産業は1,100万人を吸収して いる。またさらに2010年にかけて増加した約 1,800万人中では1,200 万人近くの就労機会 を創出している。特に、接客業である商業・ホテル・レストラン業では、当該20年間で雇 用者数が1,140万人増えている。
第2 次産業においても雇用者数は増えているが、いずれの期間も第 3 次産業のほぼ半分 の水準に過ぎない。また、第1次産業については2010年の雇用者数は1990年比で僅かに 減少している。
雇用者数の構成比でみると、1990年には全体の56%を占めていた第1次産業が 2010年 には38%に低下し、代わって第3次産業が30%から42%に上昇している。
図表 3-6 産業別雇用者数の推移
増減 増減
(万人) (構成比) (万人) (万人) (構成比) (万人) (万人) (構成比)
全体 7,585 100% +1,399 8,984 100% +1,837 10,821 100%
第1次産業 4,238 56% -170 4,068 45% +82 4,149 38%
第2次産業 1,042 14% +472 1,514 17% +577 2,091 19%
第3次産業 2,306 30% +1,097 3,402 38% +1,179 4,581 42%
【参考】
製造業 769 10% +395 1,164 13% +218 1,382 13%
商業・ホテル・レストラン業 1,107 15% +742 1,849 21% +400 2,249 21%
1990 2000 2010
(出所)国家統計局資料より作成