第 9 章 主要投資インセンティブ
3. 進出先としての企業の見方
駐在員にとっては家族、特に子供の帯同の可否が関心事であるが、教育環境面で言えば ジャカルタの日本人学校には小・中学部のほか幼稚部も併設されている。このほか、スラ バヤとバンドンにも小・中学部を持つ日本人学校があり、中学校までの子弟は帯同できる。
しかし、上記以外の都市には日本人学校が存在せず、現地学校に入学させない限りは、事 実上帯同を断念せざるを得ないのが実情である。
(2) インドネシアを有望視する理由と企業が指摘する課題
インドネシアを進出先として有望視する理由を尋ねる設問では、8割を超す企業が「マー ケットの成長性」を挙げている。次いで、「安価な労働力」、そして「現地マーケットの現 状規模」が続く。アジアの他の新興国と比較すると、インドネシアについては、中国と同 様に、将来性ある市場としての魅力が最も高い。(図表 20-3)
図表 20-3 有望とされる国とその理由(上位 3 項目)
1 現地マーケットの今後の成長性 81.6% 現地マーケットの今後の成長性 82.3% 現地マーケットの今後の成長性 70.5% 現地マーケットの今後の成長性 58.5%
2 安価な労働力 46.1% 現地マーケットの現状規模 46.4% 安価な労働力 63.1% 安価な労働力 41.5%
3 現地マーケットの現状規模 27.7% 安価な労働力 32.8% 優秀な人材 21.5% 組立てメーカーへの供給拠点として 33.3%
インドネシア 中国 ベトナム タイ
(注) パーセンテージの数字は、当該国を有望視する企業のうち、その理由として該当項目に回答した 企業の割合を表す。
(出所)JBIC「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」(2011年度調査)より作成
一方、インドネシアを進出先として有望視する企業が、投資する上で課題と考えている 項目が図表 20-4である。「他社との厳しい競争」と回答した企業が最多で約4割を占めた。
インドネシアへの日系企業の進出は1960年代から始まっており、特に大手企業の進出は既 に一巡している。そのため、新規進出する会社には既に現地で確立した他社の市場を自社 に取り込む努力が必要とされる。続いて、「インフラが未整備」な点と「法制の運用が不透 明」である点を指摘する企業も 3 割を超えている。インフラについては道路インフラの不 足や空港、港湾の容量不足から電力不足まで、ほぼあらゆる社会インフラが経済成長に追 いついておらず、事業コストの増大等の経営上の問題に直接繋がっている。法運用に関し ても、役所での許認可手続きをはじめ、特に税制に関しての不透明さに不満を漏らす企業 が多い。法律の記載に曖昧な部分が多いため、役所の担当者によって見解が違うことは日 常茶飯事であり、担当者の裁量で決定される事項も多い。このため、多くの企業では役所 への対応に要する労力が経営上無視できない負担となっている。
図表 20-4 有望とされる国が抱える課題(上位 3 項目)
1 他社との厳しい競争 38.7% 労働コストの上昇 74.0% インフラが未整備 44.6%治安・社会情勢が不安 45.1%
労働コストの上昇 38.3%
他社との厳しい競争 38.3%
3 法制の運用が不透明 31.9% 他社との厳しい競争 55.5% 労働コストの上昇 28.9%
インドネシア 中国 ベトナム タイ
59.9% 法制の運用が不透明 34.7%
2 インフラが未整備 35.3% 法制の運用が不透明
(注) パーセンテージの数字は、当該国を有望視する企業のうち、その課題として該当項目に回答した 企業の割合を表す。
(出所)JBIC「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」(2010年度調査)より作成
第21章 主要産業の動向と AFTA および FTA の影響
1.主要産業の変遷
実質GDPに占める産業の構成比を、2000年と2010年とで比較した場合、第1次産業(▲
2.5%ポイント)と第2次産業(▲4.8%ポイント)が低下する一方で、第3次産業(+7.3% ポイント)が大幅に伸長している。第 3 次産業を構成する商業・ホテル・レストラン業、
運輸・通信業、金融・不動産業、サービス業はいずれも構成比が上がっており、中でも運 輸・通信業の伸びが大きい(+4.8%ポイント)。
製造業の構成比は2.0%ポイント低下(27.7%→25.7%)。製造業のサブ・セクターの構成 比も軒並み低下しているが、その中で「輸送機械」のウェイト上昇が目立っている(4.9%
→8.2%)。また、輸送機械セクターの構成比は、2000年時に製造業の中で最も高かった「食 品・飲料、タバコ」を逆転し、足下は製造業の32%を占めるまでに至っている。
図表 21-1 実質 GDP に占める産業の構成比
2000 2010 (年率) 2000 2010 (差分)
全体 1,390 2,311 5.2% (100.0%) (100.0%) (+0.0%)
第1次産業 217 304 3.5% (15.6%) (13.1%) (-2.5%) 第2次産業 638 950 4.1% (45.9%) (41.1%) (-4.8%) 鉱業・採石業 168 186 1.1% (12.0%) (8.0%) (-4.0%) 原油・天然ガス 117 96 -2.0% (8.4%) (4.1%) (-4.3%) その他鉱業 39 68 5.8% (2.8%) (2.9%) (+0.1%)
採石 12 23 6.9% (0.8%) (0.9%) (+0.1%)
製造業 386 595 4.4% (27.7%) (25.7%) (-2.0%)
食品・飲料、タバコ 112 160 3.6% (8.0%) (6.9%) (-1.1%) 繊維、革製品、衣料 45 52 1.4% (3.2%) (2.2%) (-1.0%) 木材・木製品 20 19 -0.5% (1.4%) (0.8%) (-0.6%)
紙・印刷 20 28 3.3% (1.4%) (1.1%) (-0.3%)
石油精製 23 21 -0.6% (1.6%) (0.9%) (-0.7%)
液化天然ガス 32 24 -2.7% (2.2%) (1.0%) (-1.2%) 化学・ゴム 43 73 5.4% (3.0%) (3.1%) (+0.1%) セメント・非鉄 10 16 4.9% (0.7%) (0.7%) (+0.0%)
鉄鋼 9 8 -1.5% (0.6%) (0.3%) (-0.3%)
輸送機械 69 190 10.7% (4.9%) (8.2%) (+3.3%)
その他製造業 3 4 3.8% (0.1%) (0.1%) (+0.0%)
公益業 8 18 8.0% (0.6%) (0.7%) (+0.1%)
建設業 77 150 7.0% (5.5%) (6.4%) (+0.9%)
第3次産業 535 1,056 7.0% (38.4%) (45.7%) (+7.3%) 商業・ホテル・レストラン業 224 401 6.0% (16.1%) (17.3%) (+1.2%) 運輸・通信業 65 217 12.8% (4.6%) (9.4%) (+4.8%) 金融・不動産業 115 221 6.7% (8.3%) (9.5%) (+1.2%) サービス業 130 218 5.3% (9.3%) (9.4%) (+0.1%)
実額(兆ルピア) 構成比
(出所)国家統計局より作成
輸送機械セクターの実質GDPに占める比率は、自動車生産台数とほぼ連動している(図 表 21-2)。1998 年のアジア通貨危機時には生産台数の減少と併せて構成比も低下したが、
その後の国内景気の回復や、自動車産業の保護政策の撤廃、小型の多目的車(MPV)に対 する奢侈税の引き下げ等から、生産台数は2001年を境に増加トレンドにある。
図表 21-2 輸送機械の実質 GDP 構成比と自動車生産・販売台数、二輪車販売台数
1%
2%
3%
4%
5%
6%
7%
8%
9%
93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(暦年)
0 10 20 30 40 50 60 70 80
(万台)90 自動車生産台数(右軸)
1993年基準(左軸)
2000年基準(左軸)
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11(暦年)
(万台)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
(万台)100 自動車販売台数(右軸)
二輪車販売台数(左軸)
(出所)国家統計局、PT. Astra International資料より作成
輸送機械セクターは、完成車メーカーだけでなく、1次部品サプライヤー、2次部品サプ ライヤーの他、販売スタッフ、補修サービス等、すそ野は広い。
インドネシア工業省の資料によると、四輪の完成車メーカーは20社、部品サプライヤー は1次から3次までで約800社あり、従業員数は9.7万人に上る。また、認定・非認定のサ ービス・スペア部品に従事するのは併せて約 55 万人。一方、二輪車では、製造企業が 40 社、部品サプライヤーが1次と2次を併せて800社弱。これらの従業員数は7.9万人に上る。
二輪はさらにすそ野が広く、特に非認定サービス・スペア部品に約 130 万人が関連してい る模様である。
図表 21-3 インドネシアの四輪のサプライチェーン
メーカー完成車
部品サプライヤー (Tier 1) (250社、4.2万人)
部品サプライヤー (Tier 2,3) (550社、2.8万人) 認定サービス/スペア部品
(22万人) 非認定サービス/スペア部品
(33万人)
820社9.7万人 (20社、2.7万人)
四輪の産業構造
(出所)インドネシア工業省資料より作成
図表 21-4 インドネシアの二輪のサプライチェーン
製造社
部品サプライヤー (Tier 1) (195社、3.9万人)
部品サプライヤー (Tier 2) (600社、1.2万人) 認定サービス/スペア部品
(26万人) 非認定サービス/スペア部品
(131万人)
835社7.9万人 (40社、2.8万人)
二輪の産業構造
(出所)インドネシア工業省資料より作成