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第 9 章 主要投資インセンティブ

3. 法人税一時免除制度の制定

(1) 制度のあらまし

インドネシア財務省は、2011年8月、“タックスホリデー”と呼ばれる一時的な免税措置 を規定する財務大臣令130/PMK.011/2011を発行し、即日発効された。特定条件を満たす投 資案件に対し、法人税を5年から10年間免除するほか、免除期間終了後も、2年間は法人 税を通常の 50%に軽減するというものである。政府の狙いは、これまで誘致が難しかった 先進業種の企業を呼び込むことにあるとされる。周辺のフィリピンやタイ等に比べ、投資 への優遇制度が少ないとされるインドネシアだが、同様の措置が導入し始めた。ただし、

この優遇の適用は上記法令の制定から 3年以内、つまり 2014年8月15日までに工業省ま たは投資調整庁に適用申請が提出された案件に限られる時限的なものであることには留意 が必要である。

(2) 適用の条件

タックスホリデー適用を受けるためには、以下の 4 つの条件を全て同時に満たすことが 必要である。

①先進的な産業に従事していること

②管轄官庁により承認済みの、総額1兆ルピア以上の新規投資案件であること

③投資金額の最低 10%以上をインドネシア国内の銀行に預金すること。なお、その資金 は投資が実現されるまで引き出すことはできない

④免税措置法令の制定の12ヵ月前以降(2010年8月15日以降)に設立されたインドネ シア法人であること

また、「先進的な産業」とは、広範な産業分野との関連を有し、新技術の導入を伴い、か つ、国内経済にとって戦略的価値を持つものとされている。具体例としては、

・ 基礎金属産業(鉄鋼業等)

・ 石油精製業、または石油・天然ガスを基にした有機化学物質産業

・ 機械産業

・ 再生可能エネルギー産業

・ 通信機器産業

の 5 分野が法令中で挙げられている。その他の分野についても、財務省がその業種の重要 性を認識すれば、タックスホリデーの適用が承認される可能性がある。

(3) 適用審査の要点

申請が受理されると、財務省の指定する検証委員会によって以下のような観点から国内 経済にとっての重要性と実現の可能性が検討される。

・ 投資先の地域で投資を実現するためのインフラが整っているか

・ 国内労働力をどれだけ雇用できるか

・ 先進的産業としての基準をどれだけ満たしているか

・ インドネシアへの段階的技術移転計画が明確で具体的か

・ 外国からの投資の場合、インドネシアでの税の軽減措置を承認する税務規則が母国に おいて存在するかどうか

適用の承認は財務大臣令によって発表・公開される。申請を拒否する場合は、その旨の 通知が申請者と申請受理機関に送られる。

(4) 適用承認後の義務

タックスホリデーの適用が認められた投資家は、国税局長および検証委員会に対し、イ ンドネシア国内の銀行に置いてある資金の状況報告と、投資の実現状況についての監査済 みの報告を定期的に提出しなくてはならない。

(5) その他の注意事項

そのほかの主な注意事項としては次のようなものがある。

・ 企業がタックスホリデー対象外の産業からも収入を得ている場合、その対象外の産業 からの収入に対しては通常の税務徴収手続きが適用される

・ 既に政府指定の特定業種または特定地域における税務優遇措置(2008年第36号法律所 得税法第31A条に規定)を受けている企業は、その同一の事業に関してタックスホリ デーによる優遇を重ねて受ける事はできない。またその逆に、上記のタックスホリデ ーの適用を受けた企業は、その対象となる同一の事業で政府指定の特定業種または特 定地域における税務優遇措置を重ねて受けることはできない

(6) 各企業の対応状況

タックスホリデー制度については、既に大企業の多くが進出済みであり昨今では中小企 業の進出が主流である日本勢にとっては、新規投資案件への限定条項や最低投資金額の大 きさが障害となって利用しにくいという声があがっている。これに対し、韓国勢をはじめ 幾つかの外資がこのタックスホリデー制度の適用に向けて積極的に名乗りを挙げている。

その主なものは、製鉄業界のPosco (韓国)、石油化学業界のクウェート石油公社(クウェ ート)およびロッテ(韓国)、機械産業のCaterpillar(米国)である。これらのうち、Posco とクウェート石油公社の案件については2011年11月末時点で既に政府による適用承認が与 えられている。

各 論

(地域編)

各論では、地域別の概要を俯瞰したのち、主な州について概観する。

第23章 地域別の概要